「リッチの狙い」
「クソッ!あいつは魔王軍の幹部の奴だ!」
「本当かライナス?!だとしたら不味いぞ!このままだと俺らの計画が…」
扉を破壊して現れたのはリッチとして知られる生きる屍であった。
「フォッフォッフォッ。"計画"とはなんですかな??皆さん武装までして」
先の戦いで恐ろしい程の強さを見せていた、世にも奇妙な黒い肌をしたゴブリンを数人引き連れて現れたリッチは2人に向けそう言うのだった。
「どうするライナス?!計画は中止か?!」
タバタの言葉にライナスは一瞬躊躇いを見せるが…
「いや…今しかチャンスは無い!やるぞ!!!」
ライナスの目はどこか殺気立っていた。
その様子にタバタは驚くものの
「皆!ここでやるぞ!!」
「ほほう。やるのですな。果たして何をするのやら…では皆さん、お願いしますぞ」
ブラックゴブリン軍団が倉庫内に会していた元帝国兵に突撃していく。
「くっ、来るぞ!!」
「みんな頼む!!帝国の為にライナスを守ってくれっ!!」
倉庫内では元帝国兵とブラックゴブリン軍団が激突したが…
「ぐはっ!!」
「なんなんだよこいつらは…」
文字通り溶けるように元帝国兵はやられていく。
「悲しいですな…。失う必要のなかった命が次々と消えていく…」
ジーバ君の表情は骸骨である為にその喜怒哀楽を見抜くことは叶わないが、どこか雰囲気は寂しそうであった。
だが…
「それ程までに…命をかけるまでに彼の力とやらは重要ということですかな」
虚空の瞳はライナスを見据えているようであった。
「どうするんだライナス!!このままだと奴らいずれここまで…」
「クソが!!…使えない奴らだ」
タバタの知るライナスとは思えないセリフに、思わずタバタは静止する。
「いま…なんて言ったんだライナス?」
「使えねぇ奴らだって言ったんだよ!」
普段のライナスからは想像持つかない暴力的な表情に、思わずたじろくタバタであったが…
「兎に角、逃げるぞライナス!一回態勢を立て直そう」
「ああ、"セオス様"もどうやらここは引くべきだと仰っているらしい」
「セオス様?!…お前、急にどうしたんだ?!?!」
ライナスのあまりの変化に、タバタはただただ驚いてしまっているようであった。
「…ほう?"セオス"と言いましたな??これは興味深い」
「「!!!」」
背後にはいつの間にか不死者の王、リッチが立っていたのだった。




