「決起前夜」
「良し…タバタ、みんな揃ってるな?」
「ああライナス。これで全員だ」
バフース郊外にある人間収容所。その中にある巨大な倉庫には、元帝国軍兵士や元バフース守備隊兵士などおよそ2千人が集まっていた。
そしてライナスは覚悟を決めた表情を浮かべ、集まった者達へと語りかける。
「みんな!聞いてくれ!!看守供の話から推測するに…明日、奴らは何やら催し物を開催するらしい」
「俺も聞いたぞ」
「俺もだ!なんでも訓練場?に集まるらしい」
ライナスは続ける
「それで…その時を見計らって"例の"計画を実行に移そうと思う」
ライナスの言葉に倉庫内は騒つく。
「本当に…やるのか??」
「俺たちにも家族が…」
兵士達のためらいを余所に、ライナスはとても厳しい表情を見せるが…
「やりたくない者はやらなくてもいい…これは帝国の為の行動なのだから。亜人に家族を…友人を奪われた者の戦いだ。隣人に同じ思いをさせたくない者だけ参加してくれれば良い」
「くっ…。俺も、、俺もやるぞ!」
「ああ、俺もだ!!」
ライナスの言葉には、帝国の臣民を納得させざるを得ないワードがふんだんに使われていた。
ほとんど全員の参加を確認したライナスとタバタは、いよいよ計画を進めるべく動く。
「いいぞライナス!これでやっと始められるな」
「ああタバタ。それで、帝国じょう…」
その時だった。
ライナスの言葉を遮るような形で、固く閉ざされていた倉庫の扉が激しい音を立てて吹き飛ばされたのだ。
「なんだ?!?!」
「どうした!!」
破壊された扉の向こうに姿を見せたのは、虚空の瞳を持つ歩く骸だった。
「何をしてるのですかな??」
ライナスとタバタの表情は見る見るうちに険しくなっていったのだった。




