「人材豊富」
「おぉ!さすがオーム様だ!!」
「いや…間一髪じゃなかったか??」
魔王軍の一般兵士や亜人達が見守る中、各所で続々と1回戦の決着が着いているようだ。
「はぁ、はぁ、はぁ…中々やるなウッド!だが甘い。詰めが甘いんだよお前は」
「バカな…。運が、、、良過ぎ、、、る、、、」
ウッドがトレントとして種族的に持つ能力を切り札として使い、オームの足を地中からツタで固定したまでは良かったのだが…
「適当に投げた棍棒がトレントの弱点である年輪に直撃するって…どんな運なのよ」
シャーリーが呆れるのも無理は無い。はっきり言ってオームは終始押されっぱなしだった。
それが苦し紛れに適当に投げた一撃で呆気なく終わったのだから。
「おお!リザロ様も勝ち上がってるみたいだぞ!」
「流石はリザロ様。貫禄の勝利だな」
オームの相棒であるリザロも順当に勝ち上がっているようだ。
「グォォオオオオン!!」
会場の一角に、倒れ臥す対戦相手を前に巨大な斧を振り回し一際大きな雄叫びをあげる者の姿があった。
「え?!ミノタウルス君も出てんの?!?!あの強さは反則でしょ!」
「しかしゴブ一郎殿も出てますからな。なんとも言えないですぞ」
「それに…見てみなさいよ。正しく猛者達が勝ち残ってるわね」
利央達の視線の先には1回戦を勝ち残り、2回戦へと駒を進めた者達の姿があった。
「猛虎に白虎。ヴァンパイアに人狼。種族的に強者は勿論のこと、オークにリザードマン…それにコボルドと言った種族的特性があまり無い者達も残ってますな」
「それに見てよ!!ジーバさんが生み出した"スケルトンソルジャー"もどうやら勝ち残ってるみたいよ」
「おお、これは中々。シャーリー殿と魔改造を施した甲斐がありましたなぁ」
え?!
この人達、俺の知らないとこでそんなもん作ってたの?!?!
…
ま、まあいっか。
「そ、それに見てよ!俺が直々に勧誘したホークマンのホー君に竜人のドラ男君も勝ち残ってるっぽい!!!」
「ホークマンはずるいわよ。ずーっと空から一方的に攻撃してたわよ?」
「へっ!全然おっけーだね!!それも戦術の一つだもんね!!逆にそんなこずるい作戦を実行する辺り…俺の中の評価は一気に上昇するね!」
「あんたね……」
利央はおもむろに立ち上がると、1回戦の勝者達が見渡せる場所に立ち、高らかに宣言する。
「おめでとう1回戦を突破した諸君!!えー、本来なら徐々に勝ち上がっていくトーナメント形式で進めようと思っていたんだけども。飽きてき………諸事情によりここからはバトルロワイヤル形式に変更します!」
「おお!!」
「なんとっ!」
利央は続ける。
「乱戦の中で生き残る事は非常に重要な能力です!えー…それすなわち"強さ"なのです!!」
「絶対今考えたでしょ…」
「ですな…」
「兎に角!!!そういうことですから!みんな頑張って!ルールは簡単!最後まで立ってた奴が優勝!見事幹部入りという訳よ!」
「おぉ!!!幹部だと!!!」
「まことか!!これはやらねばなるまい…」
猛虎や白虎も一段とやる気を見せている。
「ふっ、いよいよこのオーム様も幹部入りか…」
「おいおいオーム、気が早いだろう?」
オームとリザロはいつもと同じ様子である。
「ふんっ、魔王様の側近になるのはこの俺だぜっ」
「ホークマンか…また空から一辺倒に攻撃する作戦か?強者達の中では厳しいのではないか?」
「ふんっ!おいらにはまだ切り札があるんだぜっ!!お前こそ大丈夫か竜人?火は吐けないんだろう?"龍"と違ってな!!」
「貴様…貴様こそ長時間は飛べないだろう?"鳥"と違ってな」
「お前ぇ…」
各所で火花が飛ぶ中、いよいよ魔王軍天下取り武闘会のバトルロワイヤルが始まろうとしていた。
「ジーバ君!ちょっと数人連れて"収容所"の方に行ってくれない?…ほら、"例の"やつ」
「わかりましたぞ」
「良しっ!…それでは、、、、始めっ!!!!!」
「しゃぁぁぁあ!!」
「グォォオォォォオオオオオ!!!!」
「やったるぜっ!!」
「この私が最強だ!」
「どけどけどけぇー!オーム様のお通りだぜぇ!!」
魔王軍の面々は次々とぶつかり合うのだった。




