「トーナメント」
「おい!この度"看守長"から"切り込み隊長"、そして"部隊長"へと昇進を繰り返し、今最も勢いに乗っている男であるこのオーム様に挑むってのか?!」
「ああ!ワームだかオームだか知らねーけどよ、この俺がオークの下に付くなんて…。魔王様の命だから仕方なかったけどよ、こんな機会があるなら挑むに決まってんだろう!!」
最近バフース郊外に造られた、魔王軍専用の巨大な訓練場において、利央を初めとした魔王軍の主要メンバーの面前では配下の者達が熾烈な"口撃合戦"を行なっている。
キッカケは利央の気軽な一言であった…
「ここんとこ暇だし…武闘会でもやらない?天下で一番を決める武闘会的なね??」
「左様ですかリオ様?!是非とも私も参加させていただきたいです」
真っ先に反応したのはゴブ一郎だった。どうやらこの前ナナに手も足も出せずに敗れた事がかなり応えたらしい。
あっ、そういえばナナなのだが…どうやらチャカとかなり気が合ったらしく、今はドラゴン…龍探しに行ってもらっている。
「………一緒に居たい………だめ?」
と可愛い顔で言われてしまい、かなり迷ったが…心を鬼にして魔王軍全体の戦力強化の為に出掛けてもらったのだ。
兎に角、かなりのやる気を見せたゴブ一郎の強い希望で、適当に言った俺の一言が見事実現された訳だ。
まあ、丁度良かったかもね。これでトーナメント勝ち残った奴を四天王とか強キャラっぽいポジションにつけよう。
良いねえ、より魔王軍っぽくなってくねぇ。
「そもそもおめえよりもリザロ"さん"の方が力は上だろうがよ。なんでお前の方が上の地位にいるんだ??」
誰でも参加可能な下克上でもなんでもありのトーナメントの為、さっそく上司であるオークのオームと部下である"トレント"のウッドがバチバチにやり合っているようだ。
ちなみにトレントとはその名の通り、人型の木の亜人である。
「相性ではオームに分があるようね。トレントは打撃に弱いわ」
シャーリーは最近のクーズー帝国の発展により開発された、リンゴジュースを飲みながら優雅に観戦モードのようだ。
幹部からはゴブ一郎のみの参戦の為、他のメンバーは俺と一緒に観戦している。
「多種多様な亜人が我が軍にはいますからな、観ているのは良い勉強になりますな」
ジーバ君の言う通り、この世界…ここでは"魔力量"という根底的な強さの個人差はあるものの、魔法の"相性"次第では強者と呼ばれる者も弱者に敗れ得るので、戦闘における個人の閃きや知識はそのまま"強さ"になるのだ。
だからいくら強者とて日々の訓練や勉強は決して無駄になることは無く、必ずプラスになるのである。
トーナメントに参加しているのはおよそ100人の強さに自信を持った者たち。
そして1回戦が訓練場内の様々な場所で、審判を務めるブラックゴブリン軍団の元で同時に開始されたのだった。
「てめぇ!!ウッド!!それだけは言っちゃいけねぇ事だぞ!!!!!!」
「へっ!図星かよ!行くぞっ!この豚野郎!!」
オームの梱包とウッドの木刀が激しい音を立ててぶつかり合うのだった。




