「鍛錬の乙女」
「こらっ!リア!そうじゃないと何回も言っておろうが!」
「す、すいませんっ!こうですか??」
「違う!!こうやって水晶の中に魔力をじゃな…」
ナオス騎士団所属。対闇属性魔法部隊(仮)の隊長であるリア・タナルカ・アーネルは占い婆こと"お婆ちゃん"の熱心な指導を受けている最中であった。
「お婆ちゃ〜ん!蜂蜜の入れ物が無くなってるんだけど〜?」
「そう!その調子じゃぞリア!…ん?蜂蜜は魔力が足りないとか言ってリアが全部食べてしまったぞハンナよ」
「えぇ?!そんなぁ〜!ずるいですよ隊長〜」
「はぁ、はぁ、…うるさいわねハンナ。私は毎日魔力切れを起こしてるのよ…」
現在リアとハンナは占い婆の元で暮らしている。
というのも占い婆がリアの中にある才能を鍛えたいとのことらしいのだが…
「取り敢えず当面は魔力量を増やさんとな。今のお前さんは正直ゴブリンといい勝負じゃ」
「ゴッ、ゴブリン…」
「そういえばあそこにいたゴブリンは普通のと違って強そうでしたよね〜。あそこのゴブリンって事ですって隊長!元気出してくださいっ!」
「ハンナぁ」
リアは初めてハンナに感謝するような気持ちになったが…
「いや、そこら辺にいる普通のゴブリンじゃよ。…あそこにいた黒いのには足元にも及ばないじゃろうなぁ」
「「…」」
「私…水汲み行って来ますねっ!!」
ハンナは気まづさに耐えられなくなったのか、適当な理由を見つけて飛び出して行った。
「兎に角魔力量は努力次第でどうとでもなる。お前さんは"才能"があるんじゃからな」
「あの〜、何回も聞くようで悪いんですけど…私には一体どんな才能があるんですか?」
「…」
またか。
お婆ちゃんにこの質問をすると、必ず黙り込んでしまう。
そんなに教えてたくないのだろうか…
そろそろ教えてほしいのだが。少し…というか、かなり気になっている。
何故なら何を目指すのかわからないのに日々修行させられているのだから…
「まあ…いずれな」
「もう、またですか…」
「そんなことは良いのじゃ!!早くこの水晶を自由に扱えるようにするのじゃ!!」
「あっ痛っ!」
毎日毎日杖で叩かれるので、こっちも必死になってやるしかないのだ。
それにしても…頭を叩かれるのって、当たり前だけど痛いし嫌だね…。
これからはハンナに優しくしよう…
乙女の鍛錬はまだまだ続くのだった。




