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クズが異世界を通ります  作者: 山崎トシムネ
第4章「開戦」
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「ナナ」

「あら可愛い"お嬢さん"だねぇ〜。どこの子かしら?」






ナナの1番古い記憶はそこから始まっていた。





目の前にいたのは老婆だった。微笑みを浮かべ、優しく自分に話しかけていたのを覚えている。




老婆と会ったのは帝国の辺境にあった小さな村だった。




どうして自分がそこに居たのか…どうやってそこまで行ったのかは何も覚えていなかった。




気づいたら目の前に老婆がいた…そんな状況だったと思う。






「お父さんやお母さんはいないのかい?」




「…分からない」





不思議と言葉は理解できた。




それに自分に声をかけて来たのが、その老婆1人だけという事も。




「ちょっと!-さん!その子変だよ!」



「騎士の人呼んで来た方がいいんじゃないかい?」




遠目から他の人が老婆に何かを言っていたが、老婆は



「大丈夫。何も心配いらないよ。とにかくうちに来なさいお嬢さん」




老婆は自分の硬くて気持ちの悪い腕をしっかりと掴んで、家まで連れてってくれた。






それが私に残っている最初の記憶…。

















「おい!どうしたんだよ?」





「………!」





目の前の少女はしばらくの間ぼーっと虚空を見つめていた。





「一応戦いの最中なんだけど…」




「…そうだった。排除しないと…」




少女はそう言うものの



「えーと…大丈夫??」



利央は魔法が飛び交う戦場には、かなり場違いな言葉を発し、少女を心配する。




「…何が?」



「いや、だって君…泣いてるじゃん」




ナナの目からは涙が流れていた。本人も気づかないほど自然に。




「…きみ………」



「ん?どうした??」




ナナには目の前の存在が何なのか、どうしてそのような…あの老婆のような言葉を私に掛けるのかが分からなかった。




「…貴方は………何?」




「え?!?!いきなりどうした?!…何って言われれば…まあ、人間?いや、魔王??」





2人は戦闘の手を止める。




そしてナナは利央に向かって自分の腕を見せる。鱗が生え、硬くて歪な腕を。




「…ん!」



「は?」




「………ん!!」




「いや…なんなのさっきから」




ナナには分からない。何故目の前の人間は自分の腕を不気味がらないのか。何故自分を"化け物"と言わないのか。




「…この腕…どう思う?」




「腕?…腕か…うーん。いやー、ちょっとね〜」




ああ、やっぱりこの人間も同じか。ナナは普段と同じ気持ちになり、普段通りに仕事を再開しようとするが









「うちのリザードマンよりも龍っぽくてかっけぇぞそれ!」




「……………!!!!!」





ナナの顔は驚きに満ちているようだった。


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