「喧騒の中で」
戦端が開かれ、魔王軍の精鋭およそ50はそれぞれが相性の良いと思われる敵に突撃していった。
相手がこの前襲撃してきた氷系の魔法を使うのならば、種族的に氷に強い者…もしくは火の魔法に長けた者を。
そしてこの前のガテン系ファイターのような奴ならば、種族的に物理攻撃に耐性を持つ者…もしくは実態のないレイスのようなアンデット達を。
残りの敵も見た目から魔術師っぽい奴とビジュアル系みたいなファイターの奴には、同じような編成で突撃させているが…
白い髪の女の子に細長い不気味な男…
正直こいつらは底が知れないというか、得体の知れない感じがして少し怖い。
なのでこいつらには幹部以外はぶつけない作戦を取っているのだ。
「ほーう?…敵もなかなか賢いですねぇーえ」
「…早く排除しないと」
利央とジーバ君、それにシャーリーとゴブ一郎の4人は要注意人物である2人の元へと到着する。
「悪いけど排除はさせないよ!えーと…お、お嬢さん!」
「…お…じょうさん?…」
白髪の少女は不思議そうな顔をする
「え?!いや…じゃあ少女よ!!」
「…しょう…じょ??」
少女の表情はより一層思考の渦へと誘われているようであった。
周囲では魔法が飛び交い剣と剣がぶつかり合う喧騒が流れている中、ここでは何というか…微妙な雰囲気が流れる。
「もう何でも良いわ!!兎に角!そんなことは許さんぞ!!!」
「いやー、すいませんねーえ。この子…ちょっとばかり言葉が不自由なものでねぇ」
細長い男の言葉にすかさずジーバ君が反応する
「ほう?それは"人間"として…という意味ですかな??」
「おや!…貴方もーしかしてぇ、気づいちゃってまーすかねぇ?」
利央は2人が何を話しているのか、さっぱり理解できないのであった。
「えーっと…ジーバ君!どいうこと?!」
「リオ様!おそらくその少女は、に…」
そう言いかけたジーバ君は、いきなり丸い影のような物に拘束された。
「おっとぉ!言わせませんよぉ!!…気づかれてしまった以上、あなた方にはここで消えて貰うしかないようですねぇ。ナナ!行きますよぉ!!」
「…敵、排除する!!」
「来るぞ!!シャーリー!ゴブ一郎!」
「分かってるわよ!!この尋常じゃない魔力…ちょっとやばいかもね」
「シャーリー殿!!さっきまでのやる気を見せてくだされ!!いきますよ!!!」
「とりあえず…喰らっとけ!!」
極大の闇属性魔法が利央から放たれたのだった。




