「バフース陥落」
「マオウサマ!テキハアラカタカタヅキマシタ!!」
「おう!ミノタウルス君!お疲れ様。グッジョブグッジョブだよほんと〜」
切り込み部隊の隊長を任せていたミノタウルスからの報告に対して、利央は労いの言葉を掛ける。
「何よグッジョブって…それにしても、やけに簡単だったわね。2時間くらいしかかかってないんじゃないかしら?敵の援軍も来なかったし…」
「え?俺らの手際が良すぎて敵も援軍を送る暇が無かったんじゃね??」
「いや、シャーリー殿の言う通り…少し妙ですな。周囲の街に配置した者から、部隊の動きがあれば直ぐに連絡するように言っておいたのですが…」
「え?!そんなことしてたんだ…」
「どうやら全く動くような気配は無かったそうですな。まるでこの街を最初から捨てていたような感じがしますな」
「ちょっとジーバ君。そんなまさか…」
「いや、ジーバさんの予想が当たっていたら少し不味いわね」
「なんでよ?」
「少しは考えなさいよ!…私たちの戦力を見極めるって意味もあったんじゃないかしら?」
「でも市民は普通にいたし、守備隊もいたで??」
目の前には部下たちによって連行されていく市民の姿がある。
「貴方が怒りそうな事を言うのだけど…もしかしたら…」
「もしかしたら?」
「見捨てていたのかもね…最初から。私たちの力を測るために…」
シャーリーは悲しそうな顔をしていた。
「…やっぱり帝国はクソだな」
「…そうね」
一同がやるせない思いを感じているの中、ゴブ一郎が駆けつけて来た
「リオ様!生き残りの守備隊は"例の"部隊に加えるとして…市民はどうしますか?」
さて、どうしようか。
いくらクズの極みみたいな帝国の奴らだとしても…
市民も同じ被害者なのではないか?
帝国に見捨てられた訳だし…
虐殺するのは流石に可哀想かな。
「取り敢えずどっかにまとめて置いといて!まあ、後でまた考えるわ」
「了解いたしました」
ゴブ一郎は軽快な動きで去っていった。
「それで…この後はどうするの?」
「帝国軍に動きがあるまではここで待ちますかな?」
2人は利央に問う
「そうだな…しばらくここに立てこもるか。"城壁"はいつでも作れるしね」
薄らと邪悪な笑みを浮かべる利央の視線の先には、以前に奴隷にした人間の部隊が映っていたのだった。




