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クズが異世界を通ります  作者: 山崎トシムネ
第4章「開戦」
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「逆侵攻作戦」

「やられたらやり返す!倍…」




「それで、質問のある者はいるか?」



「倍返…」



「どうやらいないようですな、フォッフォッ」



「…」



「どうしたのかしら?」



「…なんでもない」




何処か不機嫌な様子の利央をみて、一同は首を傾げる。




会議室に集まったのは、最近編成されたクーズー軍の指揮官に当たる亜人とシャーリー達幹部の面々である。





そしてたった今クーズー軍による帝国進行作戦の内容が決まったところだ。





あの2人…マッチョとエロい格好をした女がクーズー帝国で暴れた際には、亜人の女や子供も犠牲になった。




だから帝国が同じ目にあっても文句は言わせない。






今回の作戦で沢山の人間が犠牲になると思うが…



もはや俺に後ろめたさは無い。




この前、怒りのあまり我を忘れた時に分かったのだ。




自分が何者か、何のために戦うのかということが。








俺は魔王だ。



俺を慕う部下のために、仲間のために戦うのだと。






俺はこれまで誰一人として自ら進んで人間を傷つけた事は無い。




…だけど、大人しく森にこもっていても、この前のように"侵略者"に襲撃されるのだ。








ならばやる事は一つ…。










こちらから"ヤル"だけだ。












「…というわけでリオ様。出陣の準備が完了しました」



目の前には覚悟を決めた顔を見せるゴブ一郎と、いつの間にかクーズー城前に整列している10万のクーズー軍。




それとこの前奴隷にした人間達。


今回の作戦で重要になる奴らだ…

せいぜい頑張ってもらおう。





「それではリオ様、皆に一言お願いしますぞ」


「しっかりしめるのよ」




ここに来てから人前で話すことが増えたな。


前みたいに緊張することも無くなった。




「良し…皆!!聞いてくれ」




目下に広がる十数万人の注目を一挙に集めてもなお、利央は全く動揺することなく堂々と宣言する。



「…俺たちの前に立ち塞がるものは全て倒せ!俺は魔王リオ!!俺たちは"魔王軍"だ!奪われるより奪え!襲われるよりも襲え!!愚かな人間に、誰に喧嘩を売ったのか解らせてやれ!!!!」





「「「うぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!」」」




デスデモーナ大森林に獅子の如き雄叫びがこだまする。





「フォッフォッフォッ」


「なかなか頼もしくなったわね」


「流石リオ様」





「じゃあ…行きますか!」



クーズー軍改め、"魔王軍"は進軍を開始したのだった。


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