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クズが異世界を通ります  作者: 山崎トシムネ
第2章「魔王と王国」
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「闇属性魔法」

シャーリーとドンファンの言い争い…というか罵り合いは熾烈を極めた。





少なくとも1時間以上は、これまで溜め込んでいたらしいお互いの嫌なところだったり、不満をぶつけ合っていた。




永遠に続くかに思えた罵り合いも、最後にはシャーリーが折れて



「もういいわ、貴方みたいなのと同じパーティだったなんて信じられない。もう話しかけないで」



と一方的に拒絶していた。






うん、女の子って喧嘩するといつも最後はそんな感じになるよね。



男としては罵倒よりも無視、無関心の方がきついんだよなあ…。






「それでリオ様、男の方ですが…例の魔法を使ってみては?」


「…!!そうだねジーバ君!人間に使ったことは無いし試しに使ってみてもいいな」



ジーバ君との話が聞こえたのか、ドンファンの顔色はみるみるうちに悪くなっていく。







「リ、リオ様??私をどうするおつもりで…?!」


「ドンファンさん…いや、ドンファン君。ちょっとだけ俺の力の実験台になって欲しいんだ。大丈夫、痛くはないと思うから」


「じじじじじ実験台?!?!?!」


「そうそう、じゃあ早速いくよー」


「あっ、ちょ、リオ様!?!!」





最近では毎日の練習の甲斐もあって、黒いモヤモヤを好きな時に出せるようになっていた。



さっそく黒いモヤモヤを出し、ドンファンに触れてみたのだが…








「ひっ、ひぃぃぃぃいい!!!お助けをー!!………ん?!」


「あれ?!」








いつもならば、うまく言えないがお互いに繋がったような感覚になるのだが…


「ドンファン君、なんか身体の変化とかある?」


「い、いえ。特に何も…」


「あれー?!どうしてだろうジーバ君」




ジーバ君はしばらくの間悩む素振りを見せ、やがて口を開く。



「うーむ…恐らくですがリオ様の魔法は闇属性魔法と見て間違いないですな」


「闇属性魔法??」


「そうですな…伝承や神話、お伽話に出てくるような力で、"神の力"とも言われる魔法ですぞ」


「ええ?!凄くねそれ!!」


「もう凄いなんてもんじゃないですぞリオ様!!いや、神様!!」


「ちょっとちょっとジーバ君!神様だなんて気が早くない?もう、俺照れちゃうなー」


「いやいやー、リオ様は今でも充分に神に値しますぞー?」


「いやいやいやジーバ君!お世辞もそのくらいに…」





「んっ、んんーー!!」





シャーリーの咳払いで利央は本題へと戻る。








「とにかくその闇属性魔法って何がそんなに凄いわけ?」


「それはですなリオ様…リオ様がケル吉殿やスネ夫殿、ゴブ一郎殿と心を通わせている、それこそが闇属性魔法の最大の特徴なのですぞ」


「ええ?!それが?!?!」


「ですぞ!本来ケルベアーやヴェノムボアは同種ですら群れる事は無い魔獣…それが圧倒的な魔力による恐怖とも安心感とも取れる感情を受けて、リオ様に従う…いや、心が通ったんだと思いますぞ」


「ああ、そういえばジーバ君も俺の魔力量はやばいみたいな事言ってたよね?」


「そうですな、リオ様の魔力量はやばいなんてものではないですぞ。強いて表現するならば…魔龍を軽く超えていますな」






「まっ、魔龍を超える?!?!だと…」


「そんな人間がいていいっていうの?!…ありえないわ、ありえていいはずが無い!!!」




ドンファンとシャーリーは驚愕しているようだ。それを見てゴブ一郎はまるで自分が褒められているかのように得意げな表情を浮かべている。





「あっ!そういえば黒い球みたいなので攻撃も出来たんだけど…あれ、かっこいいからもっと使いたいんだよね」


「それは練習すれば操る事が出来ると思いますぞ、このジーバが練習にお付き合いさせて頂きますぞ!!」


「お?まじかジーバ君!さんきゅう!!」



「当然の事ですぞ!フォッフォッ!…おっと、話が逸れてしまいましたな。どうしてドンファンとやらに闇属性魔法が効かないのかと言ったことですが…」






そこでジーバ君は黙り込んでしまう。






「どうしたのジーバ君?」


「正直に申し上げますと、私にも分かりません」


「うんうん…って、あれ?!まじ?!」


「正確に言うと正しい理由は分からないといった所ですかな。ほとんど情報が無い故、お伽話の中の情報で良ければお伝えできますが」


「まあそれで良いや」


「たしか闇属性魔法は"人間種"には効果が無いとされていました。それは神が人間種に加護を与えたからだと言う話もあれば、かつての魔王が人間種によって討伐されたからだと言う話もありますな…まあとにかく人間種には闇属性魔法は効果が無いと言った事実があることは分かっているらしいですな」


「へえ、なんかややこしい話だな。それじゃあ2人はどうすれば良いのかな?」






利央とジーバ君は2人の冒険者の方を見る。





「ひっ、ひぃぃぃい!!命だけわお助けを!!」


「…」


初めて会った時のオラオラ系ファイターのような気迫はドンファンからは完全に消え失せ、情け無いと言わざるを得ない態度に利央は複雑な表情を見せる。





そんな中、ジーバ君が突然



「あ!!!そういえばリオ様、私の持つ魔道具の中に"支配の輪"と言うものがありましてな」






「魔道具?!何その凄そうな響きの道具は?」


「その説明はまた今度、暇な時にでもするとして…とにかくこの腕輪を付けてみてくだされ」


「うーん、まあそれでいいか、俺たちって基本的に暇だしな。それで…これでいい?」



利央は金色に輝く腕輪を右腕に着ける。




「大丈夫ですな、それで今度はこっちの"隷属の輪"をドンファンとやらに…」


「だっ、大丈夫なんだ…なんですかこれ?」


「ああ、お主が契約を破らん限りは特に害は無い」






「もし契約を破ったら…?」









「呪いの効果でお主はアンデットになるな、しかも知性を持たないスケルトンなどの下級のアンデットに」


「ひっひぃぃぃぃい!!!」




まあ死ぬぞと言われてるみたいなものだからな、怖がるのは当然か。






「大丈夫じゃぞ、契約を守れば済む話だしのう。お主もリオ様の為に働きたいと言っていたではないか」







「そうじゃんドンファン君!これで堂々と君に仕事を頼めるわー!!うん、良かった良かった、殺さずに済みそうだわ」


「そ、そうですねリオ様…これからよろしくお願いします…」



ドンファンは既に何かを諦めた様子だった。行くも地獄戻るも地獄といったところだろうか。




「それではこれから腕輪を着けるのだが…リオ様、契約の内容を指定しなければならないのだが…」



「そんなのはもう決まっているぞジーバ君!」


「おお、流石はリオ様であるな。では私が着けるので契約をお願いしますぞ」






ジーバ君はドンファンに腕輪を着ける。すると禍々しいオーラが腕輪から出てきてドンファンの身体へと入っていく。



「ひぃぃぃぃぃぃいいいいい!!!」



ドンファンは今にも泣きそうな顔で利央を見つめる。





「今ですぞリオ様!」

















「俺を裏切るな!!以上!」


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