「探り合い」
「くっ…なんて卑怯な奴だ」
翼を羽ばたかせ宙に浮いたアンドレは利央たちに向かってそう言い捨てる。
「ふんっ!知るか!これが俺のやり方だ!!」
一方の利央は自信満々にそう言い放った。
「それならばこちらにも考えがある…」
アンドレはそう言うと指笛のようなもの鳴らす。
すると…
「うわっ…あいつも来んのか」
様々な生物の頭や腕、脚が生えた悍ましい見た目の生物…合成獣がやって来た。
「合成獣にも参加してもらうが…文句無いな?」
利央はアンドレを無視して2人と作戦会議を始める。
「あの獣に俺の魔法は効かないっぽいからな…そうなるとゴブ一郎も無理だから、獣の方はジーバ君頼むわ」
「了解ですぞ」
「じゃあゴブ一郎と俺であのハエをやるか」
「かしこまりました」
「それとさ…」
それからと3人の作戦会議は続いた。
やがて、なかなか終わらない会議にアンドレが痺れを切らす。
「おい!まだか!!もう攻撃していいか?」
「そろそろ終わ…はっ!!!!」
「?!?!」
利央は再び不意打ち気味に魔法を飛ばす。
「やったか?…」
漆黒の闇に包まれていたアンドレだったが、やがて闇の中から光が差す。
「また不意打ちとは…魔王が聞いて呆れる」
「むっ、、、なんかムカつくけど…俺の魔法を2発も耐えるとは。なかなかやるな…てか、強えな」
「生意気な奴ですね。リオ様の魔法を受け止めるとは」
アンドレはやや怒りの表情を見せると、
「そろそろこちらから行くぞ!!光の槍!!!」
「ひえぇ!!出た!!!技の名前喋りながら攻撃する奴!!」
「リオ様…実は私もたまにやってしま…いえ、なんでもないです」
槍の形をした光の塊が強力な魔力を帯びて呑気な会話をしている2人へと迫るが…
「ふんっ!」
利央は軽く片手を出して闇の膜のようなものを作り相殺させた。
「何?!」
「甘いねぇ〜アンドレア君。弱いというか脆弱というかさぁ」
「流石ですリオ様!」
利央はふざけたポーズなどを繰り返しアンドレを挑発する。
「私の名はアンドレだ!!セオス様から頂いた名前とこの力を愚弄するのか貴様」
「ああ、愚弄するね。だって神とか信じてねーし。アンドーナツ君」
「貴様ぁぁぁああ!!!」
怒りが限界に達したのかアンドレは2人に向かって突撃を始めた。
「馬鹿め」
小声で利央がそう呟くと、突撃して来たアンドレは利央たちの直前で動きが急に止まった。
「なん…だ…これ…は??」
アンドレは身動きを取ることが出来ず、空中で静止していた。
「貴様ぁぁ!!何をした!!」
空中で静止するアンドレは利央を睨みつけながら発狂するが…
「ふっふっふっ、馬鹿なハエだぜ!!戦闘狂の癖に気配の察知には疎いみたいだな」
「何?」
「俺がたった3人で戦場に来るわけねーだろバーカ!!」
「なん…だと…」
そして利央たちの背後からは複数の人影が姿を見せたのだった。