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クズが異世界を通ります  作者: 山崎トシムネ
第5章「セオス教」
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「啓示」

「終わったか…」



オームは黒焦げで地面に横たわる翼の生えた男を見ながらそう呟いた。




「お、オーム様ぁぁあああ!!大丈夫ですか?お怪我は?!」



「おお、オータム。無事だったのか」




オークの兵士がオームの元へ駆けてくる。




そして少し離れたところでは…





「ソフィー…見てたか?今の戦い」



「はい先生。あのオーク、特異的な体質ですね。あの強力な魔力の魔法を受けても傷一つできて無いですね」



「ああ、研究者としての本能が抑えられん。あの肌に触れて確かめたくて仕方が無い…」



「やめて下さい先生。殺されますよ?」




フォーブルとソフィーがひそひそと話し合っていた。






「それで…あいつらは何だ?」



「はっ!村の中で不審な動きをしていたので捕らえました!!更にエルフの女が魔王様の名前を語って私を騙そうと…」




「何だと?!」




オームは2人へと近づいて行く。




「すいません先生…私が余計な事をしたせいで…」



「なに、あんな特異的なオークと接触を持てたんだ。気にしないさ」



「…」





「それで…お前らが魔王様の名を語った不届きも………!!!!!」



2人の前まで来たオームはジロジロと訝しげな視線を送ると、急に動揺したような素振りを見せる。



「「??」」



不思議そうな2人をよそに、オームは急にもじもじと身体をくねらせ始めた。




「…お、お前。お前はエルフか??」




「はい…私はエルフですが?」





顔を真っ赤にしたオームは続ける。




「エルフというのは…その…お前のように美し…か、可愛い容姿を…その…」




オームの言わんとすることが分かったのか、フォーブルとソフィーはお互いに顔を見合わせる。




「どうしたんですかオーム様?!まさか魔法をかけられてそのような"気持ちの悪い"動きを?!…くそっ!お前たち!ついに手を出したな?」




「?!…ま、待てオータム!!そいつらは関係無い。…それで、お前…貴方達は何者なのだ?」




相変わらずもじもじしながら上目で様子を伺っているオームだが…





「私どもはあなた方の様な"亜人"を研究している者です」



「そして私はフォーブル。亜人研究家として活動している」




2人の答えにオームは



「亜人研究家?…亜人を標本にしたり解剖ふるというのか?!?!」




「いえ!違います!私たちは亜人の生態を知り、種族の保存を…」



ソフィーの懸命な訴えにオームはたじろいでしまう。



「あ、そうなのか…うん。それならいいのだ」




その様子を見たソフィーは心なしか悪い顔を浮かべると…



「ありがとうございます!オーム様というのですね!!先の戦いもとても格好良かったです!」



「!!!本当か?!エルフ…お前の目からして格好良かったか?!」



「ええ!!思わず見惚れてしまいました!!」



ソフィーの様子を見てフォーブルはやれやれと首を傾げる。



そして先程オームによって倒された、ホークマン、ハーピィにも似た世にも奇妙な亜人の事を思い出し、そちらに目を向けると…




「無い!!!!!!」



フォーブルは大声を出す。



「どうしたんですか先生?!」



「さっきの男の死体が無くなっている!!」



フォーブルの指の先には、先程黒焦げになって横たわっていた翼の生えた男の姿が無くなっていた。




「何?!確実に雷は直撃したはずだが?!?!」



一同が動揺していると、





「なかなかの腕前ですね。"使徒"をここまで追い詰めるとは」




丁寧な口調に穏やかな声が聞こえてきた。




見るとそこには教会の天井にぶら下がる翼が生えた男の姿があった。



そして右手に抱えているのは先程オームに倒された黒焦げの男。




「誰だ?!どこから入った?!?!」




「貴方がたの上司に伝えておいて下さい。"啓示"は下った…とね」




そう言い残すと、男は左手を振りかざす。




オームは何かに気づいたのか



「出るぞ!!早く!!」



フォーブルとソフィーを抱えて教会から急いで出る。




「ふっ」



その直後、男は左手からは目が潰れる程の眩しい光が生みだされ、天に向かって放出された。




「何ですか?!?!この魔力の流れは…」




そして光は教会の天井を突き破り、意図も簡単に教会は崩れ落ちた。




そして男は彼方へと飛び去って行く。






「何なんだあいつは、それに俺が倒した男も…。ジーバ様が何か言っていた気がするが…駄目だ、思い出せん」




オームは手に抱えていた2人を下ろす。




「大丈夫か?ソフィー」



「はい先生。ですがあの魔力…あれは…」




ソフィーの言葉を遮る様にオームは先程までの表情とは変わり、非常に真面目な表情で2人に通告する。




「お前たちには魔王様の元まで来てもらう。亜人研究家と言ったな?魔王様は亜人に理解のある人間には好意的だ。だから心配するな」




「もちろん大丈夫ですけど…何故私たちを??」








オームは極めて真面目な口調で言い放った。




「魔王軍にエルフが1人もいないからだ」

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