2.知らない天丼
天丼は大切です。
意識が浮上する。
ぱちりと目を開けてみれば、日本家屋ではありえない程高い所にある石造りの白天井が、揺れる炎に照らされている。
「知らない天井だ」
…これはお約束。
背中の痛みから、どうやら床も石畳らしい。
視線を動かしてみれば、教室程の広さがある正方形の部屋で、四隅の柱にはランプが下げられ、壁には幾何学模様が描かれたタペストリーの様なものが下げられている。
出口と思われる両開きの扉の前には、全身金属鎧に槍斧で武装した二人の騎士?と、ズルズルとしたローブを着た老人が立っている。
僕の周囲には、カリスマ・大津君と女王新垣さん、スポーツメン小沢君とチャラ男な倉本君、小柄な小柳君が倒れている。
カリスマ・大津君と女王新垣さんが抱き合うように、スポーツメン小沢君が大の字で仰向けに、チャラ男な倉本君と小柄な小柳君はヤムチャの様に倒れているのだが、こんな細かい部分でも、リア充補正が掛かっているのだろうか。
全員がほぼ同時に意識を取り戻したらしく、程なく上体を起こして周囲を見回し始めた。
「ようこそおいでくださいました、異世界の勇者様方。このような場で詳しいお話をするのは失礼と思います。宜しければ、別室までご同行いただけませぬか?」
ローブを着た老人が、丁寧な口調で話しかけてきた。
明らかに日本語では無い言葉で話しかけられているのだが、脳に届くと日本語として理解できる。
なんと便利な。
「わかりました、アカリ、立てるか?」
「ん、大丈夫」
カリスマ・大津君は女王新垣さんをエスコートしつつ、目線で僕たちを立つ様に促した。
連れていかれた場所は、テンプレらしく王様との謁見の間と言う奴で、これまたテンプレらしく王様と王族、騎士たちが立ち並ぶ中で、現状に対する説明を受けた。
細かく描写すると、長くなるので纏めると、こんな感じになる。
ここは5大国の第一位ヘレナディア王国。
その首都であるヘレナリスの王城である。
この世界は、ターラースと呼ばれる世界で、2つの大陸…西に魔族が住む魔大陸、東に人や亜人が住む人大陸、そして無数の小さな島々で構成されているのだという。
人大陸は、中央の5大国と無数の都市国家で構成されており、中央の5大国は人の住む領域として安全が確保されているが、それ以外の場所は魔の領域と呼ばれる魔物の生息領域が数多く存在し、都市国家と間を繋ぐ街道だけが人類の領域である。
魔大陸は魔王を頂点とした中央集権国家として統一されており、平時は小規模ながら交易をしたりもしているが、好戦的な魔王が立つと、しばしば攻めてくる事もあり、人大陸の西側の都市国家が奪われていた時代も過去にはあった事もあるが、今は一応の平和が保たれている。
…では、倒すべき魔王も居ないのに、なんで勇者召喚しているのか。
実は、この世界では4年に1度という頻度で、定期的に勇者召喚を行っており、神からの恩寵である勇者の力で魔の領域を解放する事業を推進しているのだという。
神は勇者召喚にチートを与えて降臨させ、この世界に揺らぎと発展を期待する。
人族は召喚勇者に高待遇と名誉を約束して魔の領域を解放して貰ったり、様々な技術を得て発展する。
召喚勇者は神からはチートを、人から高待遇と名誉を得て、命を懸けて闘う代わりに、元の世界では得られない波乱万丈な人生を楽しむ。死んでも元の世界に帰るだけだから、リスクは無い。
こうして3者に利益があるように調整して、世界をより良い方向に進める為のシステムが、勇者召喚なのだ。
ババーン。
…はい、ダウト。
多分、召喚勇者は死んだらそれまでなので、リスクあるよね。
チームの仲間は気づいて居ないっぽいから言わないけど。
話を元に戻そう。
過去、4年ごとに召喚された勇者達は、当然の様に何人も生きていて、でも魔の領域を解放する為に戦っていたり、高難易度な冒険ミッションに挑戦していたりするとのこと。
なお、このヘレナディア王国に召喚された勇者は、72年前に召喚された魔術師を筆頭に40人以上も居て、その大半がまだなお現役として王国各地の魔の領域やダンジョンで戦っているらしい。
ただし、勇者と言っても「成長しやすい」「成長補正が高い」「成長上限が無い」という部分以外は、普通の人族と余り変わらず、召喚されたばかりの勇者は、2年ほどは身分を隠して冒険者として経験を積むのが基本とのこと。
冒険者として普通の依頼を請けつつ、神から下される神託をこなして、大体、最初の2年で5から7レベルに達し、冒険者として一流の腕になり、3から5年で7から10レベルと言う、人として最高レベルに達した後は、勇者として大々的にデビューし、貴族身分と魔の領域に隣接した領地を貰い、魔の領域を開拓していく事になるのだという。
まずは、支度金と、身分証を渡すので、修行の旅に出るがよい!
ババーン。
以上、ダイジェストというには長い説明終了。
ちなみに、チュートリアル的に色々指導してくれる先輩冒険者を付ける事も出来たのだが、カリスマ・大津君が断った。
王様いわく、過去の勇者も大体断っているらしく、念のための確認だそうで。
続いて、テンプレその2。
冒険者ギルドでの登録ー。
…の前に、装備を整えよう。
実は、この辺りの部分は、もうしっかりとしたノウハウが確立しており、国の筆頭魔術師だという最初に会ったローブの老人に、鑑定の許可を出すと、スキル構成に応じて最適な装備を見繕って貰えるのである。
修業が目的なので、最初から強力な魔法の武具なんて、当然もらえないけれど、魔法剣士を目指しているカリスマ・大津君には、ロングソードと魔法の杖代わりの指輪、将来的には魔術師でも装備できる聖銀製の軽装鎧を目指すので、それに近い重さと防御力のブレストプレートが支給された。
女王新垣さんには、体力に合った長さの魔術師の杖、そして緋色の美しいローブ。
重戦士を目指すスポーツメン小沢君には、バスタードソードとシールド、フルプレートアーマー一式。
精霊使で戦士のチャラ男な倉本君には、ロングソードと、将来的に聖銀製の鎖帷子を目指すのだが、当面は硬い皮鎧一式が支給された。
さて、問題になったのが、小柄な小柳君だった。
神様を選ぶときに、自由の神を選んだのだけれど、王権が支配するこの世界だと、反体制勢力に繋がる邪神として扱われている神様だったらしい。
すわ邪教徒、として処分されるかと思われたが、ヘレナディア王国の国教である光の神への改宗を条件に許されることになった。
光の神は正義神であり、正義と秩序を重んじる神だから、嘘は禁止、悪即斬とか、収入の中から一定額の献金とか色々と面倒な制約が多く、小柄な小柳君「マジか!?つれーんだけど(シュタッ)」と叫んで、改宗の儀式を行った神官に睨まれていた。
さて、装備だが、正義の鉄槌と正義の鎧が支給されていた。
どちらも光神殿における聖騎士の装備なのだとか。
久しぶりに、光の神を信仰する勇者が出たとして、張りきった結果らしい。
なお、特に魔術的な効果は無い。飾りが立派なだけである。
最後に、自分の装備だが、、探索者用のショートソードに魔法の杖代わりの指輪、魔術師でも着る事が出来る中で最も頑丈な皮の服である。
魔術師でも装備できる聖銀製の軽装鎧は、探索者だと隠密行動が出来なくなる為に装備非推奨であり、最終的には布系装備で固めていくしか無いらしい。
これ以外に、支度金の中から色々な細々とした道具を買ってはマジックバッグに放り込んだ。
なお、マジックバッグより高位で、物置とか小さな馬車1台分の荷物を格納できるマジックウェアハウスの呪文を覚えているはずの女王新垣さんは、着替えとか着替えとか着替えで一杯らしく、パーティの荷物の大半は、カリスマ・大津君と僕が手分けして持つ事になった。
装備を整えたら、ようやくテンプレ展開へ戻ろう。
冒険者ギルドでの登録、恙なく終了。
あれっ、絡んでくる先輩冒険者は?
どうやら、身分を隠して登録するとは言っても、最初から装備が整いすぎている勇者一行は目立つので、ベテラン冒険者にはバレバレなのだという。
そして、目端の利かない低ランク冒険者だと、実力が足りなくて、立派な装備の勇者一行に喧嘩を売るなんて事はしない。
そして最初の依頼は、薬草採取…じゃなくて、ゴブリン退治だった。
これは、最初の神託の定番で、受付のオッサン曰く、レベル4の戦士が3人もいるチームで、薬草採取とか人材の無駄遣いにも程がある、と言う事らしい。
ヘレナリスから乗合馬車で2日ほどの場所にある農村に隣接する森に、ゴブリンが棲みついたので、討伐…全滅させて欲しいという依頼である。
大陸中央のヘレナディア王国領内には、領域主が居る魔の領域は存在しておらず、よっぽど僻地の山の上にでも行かない限り、凶悪な魔物は居ない。
しかし、ゴブリンやコボルド、オークと言った定番の下級魔物は、つがいで逃がしたら半年から一年で十数倍に増える迷惑な繁殖力がある為、大陸中央領域でも、根絶できていない魔物の一つである。
数匹程度なら、村人でも討伐できるのだが、2桁になると手に余るので、こうやって冒険者に討伐依頼が出る事になる。
乗合馬車は、正式料金を払って乗れば、食事も出るのだけれど、冒険者が護衛を兼ねて無料で乗せてもらう場合は、食事は出ないし、夜番も引き受ける義務がある。
普通の冒険者は、保存食である干し肉と固焼きパンを齧って水で流し込むものなのだが、料理人スキルと猟師スキルを持つ僕が居ると、道中で小動物を狩り、精霊術の水作成で安全な水を作り出し、携帯コンロで湯を沸かしてスープも作れる。
干し肉も固焼きパンも煮込めば柔らかくなる。
つまり、温かく美味しい食事が摂れる。
夜番も、猟師スキルがあるので、警戒もきちんと出来るから、本職の護衛達にも信頼された。
一応、女王新垣さん以外は夜番に参加していたのだが、途中で寝落ちてたり、警戒していた筈なのに魔物の接近に気が付かなかったり、という失態が続いて本職の護衛達に怒られたら、プライドが傷ついててしまい、最終的には僕一人だけが夜番に参加する事になった。
…解せぬ。
さて、ゴブリン退治だが、巣穴さえ見つけてしまえば、レベル4とレベル3の戦士と魔術師が繰り出す過剰火力の前に、20匹に満たないゴブリンが耐えられるはずも無く、あっさりと全滅。
時間内訳で言うなら、巣穴を見つける為の探索が4時間、殲滅15分、帰り道が1時間というオチ。
初めて生き物を殺す経験は、乗合馬車の護衛中に体験しているが、罪悪感とか精神的なアレコレは一切なく、唯一の女性である女王新垣さんですら、ゴブリンの醜悪さに対する嫌悪感はあったが、火球の呪文で吹き飛ばす事については、特に何も感じて居なかった様子。
もしかしたら、何かしらの加護が掛かっているのかもしれない。
ヘレナリスに戻って、報酬の分配だったり、装備の修理や補充といった雑用を終わらせると、すぐに次の仕事が始まる。
ゴブリン退治の次は、オーク退治だ。
オークはゴブリンと違って、体格の良い成人男性と同等以上の力と体力がある為、レベル3の冒険者辺りだと、返り討ちに遭う事もある危険な討伐任務であり、普通なら2つ目の依頼でなんかお目にかからないのだけれど、勇者チームには関係ないようだ。
乗合馬車は利用したくない、と言う他の面々の希望で、徒歩で依頼の村まで移動したのだが、夜に何度か襲撃を受けて、到着した時には疲労でボロボロになっていた。
なので、村で一日休養してから、オーク退治へと洒落込む。
この時も、ゴブリンと同様に巣穴を見つける為の探索が4時間、殲滅15分、帰り道が1時間というオチ。
…このチーム、殲滅力が高すぎませんかねぇ?
再びヘレナリスに戻ったが、やはり道中の夜襲で疲労しており、皆が宿屋で休んでいる内に、冒険者ギルドで報酬を受け取り、分配して、装備の修理や補充といった雑用を行った。
ついでに依頼を探したが、受付さんから「ダンジョンに行く事」を勧められる。
辺境ならともかく、魔の森から遠く離れた中央領域では、そうそう討伐以来なんてある訳でもないし、移動が下手な我がチームの場合、迷宮都市に腰を据えて仕事をした方が、効率が良いだろうとの事。
宿に戻って皆にその件を話すと、全会一致で次はダンジョンへ行く事、乗合馬車に乗るけれど、今度は料金を支払って乗り、夜番免除で行くことが決まった。
ヘレナリスから北へ10日。
乗合馬車で出された食事が、美味くなかったという理由で、今回も道中の食事は、僕が作った。
…解せぬ。
迷宮都市レノウスに到着。
こちらの冒険者ギルドにも話が通っており、まずは迷宮での常時依頼である採取を中心に請けて潜るように言われる。
迷宮都市レノウスにある迷宮は、魔法生物が多く出現する迷宮で、非人工洞窟をベースにしている。
地下48階層まで踏破されているが、そこに居る階層主である灼熱竜が倒せないし、溶岩だらけの階層で、そこまで行ける冒険者が少ない事もあり、攻略は停滞して久しい。
一方で、出現する魔法生物が落とす素材は、魔法薬の原料として珍重されている事もあり、ギルドでは無理に踏破して迷宮を滅ぼすより、生かして利用する方針にするべきだという意見が強くなっているのだという。
かくして、レノウスは魔法薬と迷宮産の様々な素材を目当てに数多くの商人が訪れる近隣有数の迷宮都市として知られるようになった。
我がチームの平均レベルから推奨される迷宮階層は、15階層まで。
危険を覚悟で挑むなら、20層が限界だろう。
平均レベル5の優秀なベテランパーティで、30層が限界と言われており、過去48階層まで到達しているチームは、平均7から8レベルのエース達だったらしい。
余談だが、勇者パーティがふらりと立ち寄って攻略した際には、あっという間に下層へと突入して行ったのだが、30層からの氷結迷宮で「寒いから帰る」とビキニアーマーの戦士が言い出して帰ったという。
多分、氷結迷宮を突破しても、45層からの灼熱迷宮で、フルプレートの戦士が「暑いから帰る」と言ったのではないか、とまことしやかに噂されている。
迷宮踏破は、魔の領域解放と異なり、勇者にとってはあまりメリットが無い為、あまりこうした人気迷宮に勇者が挑む、というのは珍しい事なのだと言う。
さて、迷宮探索だが、仕事を挟みつつ15階層までは順調だった。
いや、正確には、戦闘に限れば楽勝だったと言っても良かった。
しかし、探索者レベルがようやく2になったばかりの僕では、罠を見つけても解除できなかったり、折角宝箱を見つけても鍵が開けられなかったりする事が多かった。
宝箱は惜しいので、罠発動を覚悟して女王新垣さんが「魔法の鍵」の魔法を使って開けていたため、その度に罠が炸裂して、女王新垣さんが不機嫌になる負の連鎖。
前衛の戦士レベルは5に達し、レベルが上がりにくい魔術師である女王新垣さんもレベル4に達する状況で、未だに僕のレベルは最高が猟師と探索者の3と言う状況では、20階層の壁をなかなか越えられず、迷宮探索は停滞する事になった。
迷宮都市に到着してたった2か月、この世界に召喚されて3か月目には、パーティ全体の不満は、どうしようもないレベルまで高まってしまったのである。
結果、足を引っ張る低レベル探索者を外し、新たに高レベル探索者を仲間に入れる事が決まり、僕はチームをクビになった。
カリスマ・大津君曰く「すまない。今日から喜一はチームから抜けて貰う事になった」
事前の相談も無し、しかも断定形と言う奴である。
「・・・・・・」
「そして、こちらは、これから一緒に迷宮に潜る仲間になった、レベル6探索者のスナイクさん」
スナイクは如何にも凄腕っぽいひょろりとした男で、声も渋かった。
「よろしく、ボウズ達。これからはガンガン潜れるぜ」
女王新垣さんは清々したという表情で笑顔を浮かべており、スポーツメン小沢君も少しバツが悪そうな表情でこちらを見たが、何も言わなかった。
チャラ男な倉本君は、露骨な蔑みの目を向けていたし、小柄な小柳君も、役立たずは首になって当然と言う顔でこちらを見ている。
「明日、ギルドで除名の手続きをしたら、僕たちはそのまま迷宮に向かうので、後は好きにして欲しい」
カリスマ・大津君はそう言うと、あっさり解散した。
僕としても、流石にこの空気の中、居座れるほどには図太くは無かったし、空気の読めるキョロ充としては、お助けキャラの出番が終わったのだ、と諦めが付いた。
その後の話は、まあ言葉通りになったとしか言いようがない。
迷宮に向かう足でギルドに寄り、チーム除名手続きを終えた僕は、共益金から自分の分を受け取って、チーム共有の荷物を返した。
マジックバック一つ分の荷物程度なら、女王新垣さんのマジックストアハウスに余裕で入るし、引継ぎするほどの話も無かったので、ギルドの入り口で別れたら、あとは自由になったのである。
ギルドの人に聞いたところによると、勇者パーティの解散は珍しくなく、最初の2年間はあらゆる経験が糧になるので、特に相談を受けた場合を除き、最低限の支援以外はノータッチだという事だそうだ。
この3か月で受けた神託の結果、6000ポイントほどが追加で増えていたので、レベルは探索者を3、精霊使を2まで上げていた。
探索者は、迷宮内の罠解除や鍵開けの為だが、精霊使は15層の不死系魔物対策で上げていたのだ。
本来なら、神官レベル3で覚える聖光の術で追い払うのが正解なのだが、小柄な小柳君は、それでなくても制約が多いのに、正式な神官として扱われるレベル3には上げたくない、と駄々を捏ねたのである。
そこで調べてみると、精霊使はレベル2になると、精神の精霊をぶつける事で、MPダメージを与える特殊攻撃が可能になり、不死系魔物は、MPダメージで消滅させる事が出来るので、自分で神官をレベル3にするよりポイントが少なく済む事に気が付き、レベルを上げたのである。
ここでふと気づく。
はて、神官レベル2と精霊使レベル1しか居ない彼らは、どうやって15層の不死系魔物を倒す気なのだろうか…。
まあ、倒せなくても逃げればいいので、問題ないか。
と考え直す。
このまま迷宮都市レノウスに居て、また会うと気まずいので、別な街に行こうと決めた。
MP攻撃手段を得た時に、思いついた、とある経験値稼ぎを試してみるのも良いかもしれない。
僕は除名手続きを終えたばかりのギルドに踵を返し、受付に幾つか質問を終えると、自分の思い付きに自信を深め、街を出る為の乗合馬車溜まりへと歩き出した。