漕ぎ出そう。新たな未来へ、突き進め! その14。
ただの妄想ではありません。
ひとまず、終わります。
「最初から……こうしてたら良かったんだよ」
ヒロインたるべき台詞を放つ。
鬱陶しそうに、前髪にため息を放ちながら。
三人組を代表して。
「でもーー、ヒナちゃん……」
神妙な面持ちにならざるを得なかった。
幼い頃からの付き合いだったから。
萌えキャラを目指したような、ツインテールが棚引いている。
いつしか姉妹のように感じていた。
カナミは彼女に決断を委ねるように、ただ眼差しを向ける。
まるで、女神に祈るように。
「だったら……イクしかないよな!!」
後ろなんて振り向かない。
まるで勇者のような佇まいのーー武士がいた。
こんなJKはかつて居なかっただろう。
由来は北欧神話からだったのかどうかは知らない。
名付け親に、わずかに覚える違和感。
「ちょっと、トール! そんな簡単に言わないでよっ!」
カナミがプンプンと頬を膨らませていた。
ただ、どこか。
やっと終わるんだなと、嬉しさが混じってはいた。
「さぁ……、全部。 やっちまうよ!!」
これは、かなり昔に描かれた。
笑いに富んだ未来を夢見る異世界物語らしかった。
ドラゴンが笑っている。
泣いている、鳴いている、哭いている。
溢れた水晶球から、改竄を願うようにして。
面白ければ良いだろうと、ただーーー
また、新たに。
まだ、続いて欲しいとさえ。
無責任に託されていたのであった。
サイコロを転がして、やり直しを強要される。
まるでそれはTRPGのようだ。
打ちきりからまた、第一話へと。
JK、三人組は永久ループの道へと、また踏み出してゆくのだ。
「ねぇ、ドラゴンの涙って知ってる?」
また、始まる。




