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ドラゴンNO涙  作者: caem
第1章・竜と悪魔と魔術師と
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むりやり喚ばれて、冒険者になったJK達。その9。

 悪魔ベルトーグは魔族としてはかなりの実力者である。

 魔界での階級争いに於いても、その地位を譲った事が無かった。


 だが、そんな魔界での暮らしに飽きていたベルトーグは、自分の力を見せ付けるように、度々地上に降りては自由気ままに生きてきた。


 西に行っては人を殺し、東に行っては魔物を殺し。

 南に行っては妖精を殺し、北に行っては天使を殺す。

 または、同族の悪魔ですら、殺しの対象としていたのだ。


 だが、ある時、完膚なきまでに叩きのめされる。

 それが【偉大なる魔術師・バレンシア】その人だった。


 彼女の魔法には全く以て歯が立たなかったのだ。

 しかも、彼女はベルトーグを殺さなかった。


 その為ベルトーグは、復活しては、その都度、何度も何度も彼女に挑んだ。

 何を以てしても勝てない、傷つけられない、殺せない…

 やがてベルトーグは、自分の不甲斐なさを痛感し、引き籠るようになってしまった。


 だが、ある時。運命的な出逢いをする。


「俺と共に来い。ならば力を授けよう」


 独り、引き籠っていた廃墟に突然現れたその者は、全身から、周りの大気が歪む程の強烈な魔力を放っていた。

 【悪魔・グランヴィア】。

 目の当たりにするだけで、指先ひとつ動かせない程の絶対なる存在。


 真に仕える者を見出だした彼女は。

 あの魔術師への恨みつらみすら忘れさせていたのだった。






 ただひたすらに続いていた迷路を、一度だけ通り過ぎた確かな記憶に従い。

 カナミは、ヒナとトールを引き連れ、個人的には全速力で駆け抜けてゆく。


 竜と戦っていた迷宮の中の広場では、辺り構わず破壊・吸収をし続ける悪魔ベルトーグ。

 その巨大化してゆく『竜のような塊』を相手にするには余りにも分が悪いと即座に判断したのだ。


 地上に出て、広範囲の戦場を確保し、僅かな勝率を確かなものにする為であろうか。

 などと、他の2人も推測はしていたが。


 元来、カナミは他の誰よりも頭脳明晰と自負しているものの、体力的には誰よりも劣ると自負している。

 現代世界でも幼少の頃から、その運動音痴を理由に苛められた事があり、その度、ヒナやトールに助けられてきたのだ。


 なので、特に…

 不覚にも?【魔術師・バレンシア】に召喚されてしまったこの異世界では。

 皆の負担に成らぬように精一杯どころか、それ以上に確実に成果を出せるように。

 常日頃から、頭脳をフル回転させているつもりなのだ。




「さぁ、さぁ、さぁ!! どういたしましたの!? かかってきてごらんなさいなぁ!?」


 悪魔ベルトーグは、自らが支配した竜の頭頂部辺りにて。

 自身の上半身だけさらけ出し、恍惚の表情を浮かべている。




「ったく……。好き勝手に暴れてくれてッ!!」


 悪態をつくヒナが奮い立ち、携えていた弓を構え相対しようとする。


「こんな不条理な現場でやり合おうったって、分が悪過ぎるのよ~!」


 カナミはこんな時、やはりヒナは無駄に武勇が過ぎる事に嘆きつつも彼女を諫める。


「とはいえ、奴に勝てる算段はあるのか?」


 例えどんな状況に於いても冷静沈着……いや、寧ろ。

 何も考えていないのではないかと畏怖すら覚えてしまう。

 彼女、トールは剣を構えつつも冷や汗ひとつ掻いていない。

 最早、立派なこの異世界の武人だ。


「えっとね~。とりあえず地上に出ること!んで、出れたら勝率アップかな~?」


「その心は?」


「……。見てのお楽しみかな~?」




 不安しかない気がする。

 が、乗ってみるのも一興か?




「逃げ惑うのが、貴女達の戦略なのかしらぁ? ほら、ほら、ほらぁ! もっとワタクシを…悦ばせてくださいなぁッ!!」


 辺り構わず洞窟を破壊しながら、または、その瓦礫を更に取り込み巨大化するという能力にて。

 ヒナ達、3人を執拗に追い続ける悪魔ベルトーグ。


 に、対して最早、3人は防戦一方であった。


 時折、ベルトーグによる洞窟自体への破壊活動により、剥がれ落ちてきた瓦礫や衝撃の余波などのせいで、自分達3人も、そこかしこにダメージを受けている。


 一応、狂った精霊や竜との戦闘でも活躍していた。

 『防護壁』の御札が残ってはいるのだが、もう残すところ1枚程度。




「……。お風呂に入りたいッ!」


「……。飯だ、な。」


「……。ネットしたいよ~」


 などとブツブツ文句を言いながら疾走しつつ、その視線の先には、ようやく、地上からの『希望の光』が射し込まれていた。



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