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ドラゴンNO涙  作者: caem
第1章・竜と悪魔と魔術師と
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むりやり喚ばれて、冒険者になったJK達。その8。

「お初にお目にかかります。わたくし、ベルトーグと申します」


 中空に浮かぶ、それは。

 御丁寧にも、人間の言語で自己紹介をする。


 腰まで届くぐらいの長い黒髪の美少女。

 年の頃は15歳ぐらいだろうか。


 だが、その額には鋭く輝く3本の黒い角。

 背中には、王族が着用する高価な外套の如く、美しい真紅の翼。

 そして、正しく『悪魔』を象徴するかのような三角形の尖端を

 長く艶やかに滴る漆黒の尾を片手で遊んでいるように見えた。


「貴女達がその竜から涙を獲得出来たのなら……。それを回収するだけで良かったのですけれども……」


 明らかな敵意こそ感じられはしなかったのだが。

 殺意だけはその全身からはっきりと感じ取ることが出来た。


 今、ヒナ達の目前には疲れきった竜と、新たに現れた【悪魔・ベルトーグ】。


「まぁ、良いですわ。だって、これ……どう視ても、真竜じゃあないですし」




 ……………




「えぇ……とっ……。どういう事……でしょう、か?」


 機嫌を損わないようにと、恐る恐る、ベルトーグに伺うヒナ。


「壁画をよく御覧にならなかったのかしら? あぁ、それともご理解なさらなかったのでしょうか、ね」


 確かに、彼女達3人は洞窟内部の壁画を見てはいたのだが。

 こちら異世界での古代言語等を好んで学んでいたカナミでさえ、その内容を完全に把握する事が出来なかったのだった。


「というか、ベルトーグとやら。貴女も『真竜の涙』が欲しいのか?」


 目前の『悪魔』に畏れることなくトールは疑問をぶつける。

 片手に携えられた剣はいつでも対処出来るように抜き身の状態で。


「わたくしは、正直それが『真竜の涙』であっても、只の『竜の涙』であっても、どちらでもよろしくてよ?」


 トールに対して、そう告げたベルトーグの表情には凶悪な笑顔が浮かんでいた。

 ちなみに、カナミは会話に混ざらず…終始、目を逸らしてしたのだが。




『バオオオオオオオオオオオッッッ!!!!』




 そんな彼女達の会話の最中、遂に痺れを切らしたのだろうか。

 竜が再度、咆哮をあげた。




「煩いですわねぇ……。今はお話しの最中ですのよ?」


 そう言うとベルトーグは片手を竜に向け『暗黒の雷撃』を放つ。




 この異世界に於ける魔法は、基本的な効果はほぼ等しい。

 ただ、その術者の性格や好みによって、顕現されたビジョンが異なるようである。


 つまり、只の『雷撃』の魔法であろうものでも、ベルトーグが使えば、『暗黒の雷撃』として顕現されるのだ。




「………ッ!!」




 刹那、3人は、その衝撃に身構えた。

 実は『雷撃』の魔法、それ自体は、何度か見た事がある。


 少し前の依頼で、別の冒険者達と協力した事があった。

 彼等の中に魔術師がいて、戦闘の最中に『雷撃』の魔法を使っていたのだ。


 だが今、放たれたそれはあの時の魔法ではないのではないだろうかと。

 何せ、あの時の『雷撃』とは違い、明らかに、数倍の破壊力があったのだから。




 ブスブスと、肉の焦げた臭いを撒き散らしながら竜は、ふらつき壁に寄りかかる。



「全く……。話の腰が折れてしまったではないですか……」


 竜のせいではないと思うが、そこは口に出さないでおく3人。


「さて……。貴女達の疑問にお応え致しましょうか。」


 そう言うと悪魔・ベルトーグは地上に降り立ち、改めてヒナ達と向かい合う。



「わたくしは、ロード……。上位種の命令により、貴女達を監視していました」


「貴女達は、只の、一介の冒険者でありながら『竜の涙』を集めようとしているらしいですね?」


「ですが……。少々、気になるところがありました。例えば、そう」


「どうやら、先程から煩わしい、『竜の咆哮』が貴女達には効果を及ぼさない件や……」


「地上にあった乗り物らしき謎の物体……。明らかに、この世界では見受けられませんし、ねぇ」


 非常に興味深いという表情をしながら、まるで独り言のように。

 ヒナ達の前で右へ左へと彷徨くベルトーグがピタリと立ち止まる。


「もしかして……。貴女達は『異邦人』ではありませんか?」



………………




 黙して、否を語らず。


 ベルトーグから告げられた『異邦人』という言葉にヒナ達は、正直驚きを隠しきれずにいた。


 自分達が地球……つまり現代から、この異世界へと転移・召喚されたという事実を、ベルトーグに見抜かれたに等しいからだ。


「な……んで……それを……」


「いえいえ、あなた達人類より遥かに長寿なわたくし達。魔族からしてみては珍しい事ではありませんのよ?」


 大袈裟に、両手身振りで開く。


「かつて……。幾度か『異邦人』と出逢った事もありましたし、ねぇ」


 過去、何があったのだろうか。

 その表情が歪む。


「貴女達には禍根は無いのですけれど……。あの『魔術師』には散々煮え湯を飲まされましてねぇ」


 それは私達には関係ない! と言いたかったのだが、グッと我慢した。



「……。で、どうすんの?」


 どうせ、こういう展開になるだろうな、と3人共、それぞれの得物を身構える。


「物分かりの良い方々で助かりますわぁ……。ではッ♪」






 それは突如発現された。


 周囲に散らばる瓦礫や、かつては何らかの生物であっただろう成れの果て。


 それらが一斉に悪魔ベルトーグに集積されていったのだ。

 その光景に呆気に囚われていた竜でさえも。

 その増幅し続ける異能に…一切抵抗する事も叶わず、取り込まれたのだ。




「さて……。愉しみましょうか!」




 今までに見たこともなければ感じたこともない圧倒的な破壊がヒナ達に迫っていた。


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