抗えば。抗うほどに、螺じ曲がる。その17。
遅ればせながら……申し訳ありませんっ!
(;>_<;)
かなりマニアックなネタを交えています。
茶番ですが、どうか御容赦願いたく……
( ノ;_ _)ノ
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「きゃあああああッ!!」
「うわあああああッ!!」
「いやだあああああッ!!」
「たすけてくれえええええッ!!」
「おぎゃあ! おぎゃあ!」
「ばうわうッ!! ばうわうわうッ!!」
「ヒヒーンッ!! ブヒヒーンッ!!」
「ぶるるるあああああッ!! ちっくしょおおおおおッい!!」
─────────
最後のは謎だが。
悲鳴が木霊して、辺りの一切合切をも埋め尽くしてゆく。
だが、囀ずるもたかだか束の間。
彼の化け物が一睨するだけで皆は忽ち彫像へと変貌するのだ。
やがて、辺りは静寂に包まれていった。
「 ─── く……。くくくく……ッ!! 実に! 実に素晴らしいッ!!」
『バオオオオオオン!!』
巨大化の一途を辿る毛むくじゃらの、漆黒を身に纏うひとつ目玉の怪物『バグベアード』は、指揮者でありながら実の父親である彼に促され歓喜に湧く。
にちゃっとした瞳が更に混沌を放出させては、気色悪さを醸し出していた。
「さてさて……次は何処を目指そうか……」
化け物に騎乗しながら悦に浸る彼は、さぞ狡猾な笑みを浮かべ、手にした闇を思わせる輝きを放つ水晶球を見つめながら更なる行方へと思考を巡らす。
そして、眼下の夥しいまでの数の彫像で埋め尽くされた街を眺めては、一際邪悪に其の表情を歪ませる。
─── 突然ではあるが。少々、解説をさせて頂く事にする。 ───
彼等は決して死んだ訳ではない。
彫像として生きているのだ。
魂は留まり、鼓動の高鳴りこそ、ひっそりと潜めてはいるが。
時折、極僅か一瞬にだけ赦される時間が訪れているようであった。
よく目を凝らしてみると、極めて些細な変化が見てとれる。
例えるならば『生き人形』といった類いに近い。
しかし、其れは永遠の魂の牢獄。
被害者である皆は絶え間無く続く人生。
つまり、『不老不死』を手にしながらも、完全に自由を生きる喜びを奪われてしまったのである。
当然、耐えきれず精神が崩壊する者も居れば。
結果、諦めるしかないと、受け入れるしかないとする者達で埋め尽くされるであろうか。
其れこそが、バルテズールの思惑なのだ。
『有りとあらゆる生命の諦念こそが異世界大陸ファンタジスタでの恐るべき天災【虚無】を産み出す』
辿り着いた真理に基づき、彼は偉大なるは狂喜に満たされた計画を、ほぼ最終段階へと移行していたのだ。
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「 ─── くくく……ッ。もうすぐ……もうすぐですぞ。グランヴィア様……」
双眸を閉じて押し寄せる感慨深さに胸を奮わせては、夜の闇を全身で感じ、空いた拳を血が滲むほど強く強く握り締める。
やがて、感極まり、頬を伝う涙が月明かりに儚気に照らされていた。
しかし、ふと何かの気配を察知した彼は咄嗟に視線を中空は後方へと向け、瞳を細めて其の先を追う。
「む、ヤツは確かに始末した筈……」
片眉だけをぴくりと吊り上げ、怪訝な表情も宛らに、軈て苛立ちは募り口惜しげに歯軋りをした。
「見つけ、た……ッ!!」
「ちょ……トール~~~……House!」
「そうよ! 何であんたはこうも喧嘩っ早いのか……」
「まこと、その通り。『急いては事を仕損じる』じゃぞ?」
「ですが、どうやら気付かれた模様です」
月明かりを味方に付けて、夜空を堪能する女子高生3人と愉快な仲間達。
もとい、トールが駆る自転車の後部座席を占拠する魔術師バレンシアと。
見た目、なんの変鉄もない手鏡ではあるが意思を持ち命を宿した妖怪『照魔鏡』は互いに検討し合う。
「ほほう。あれが此の世界に於ける奴さんであるか。ふむ。間近で見ると益々禍々しいものよのう」
「はい。私の術式でもあの者には叶いませぬかと……しかも……」
バレンシアは悔しげに、バグベアードの肩に乗る奴を指差した。
彼女の屋敷でトールを彫像へと化し、破壊の限りを尽くした。
否、張本人である暗黒の肌艶のダークエルフ。
さぁ、来いとばかりに自信満々に待ち構えるダークエルフのバルテズールを視界に収めては、どうしたものかと眉間に皺を寄せる。
「で。お願いできますか?」
「んむ。ちぃと待たれよ……んうぅぅぅッ!!」
『照魔鏡』は、まるで赤子を必死に産み出そうとする妊婦のように唸り声を発し、意識を集中させては汗を滲ませる。
其の時間は然程必要ともせずに。
やがて、導かれる最短の奇策を皆に告げようともせずに、黙りを極め込む。
「ふむふむ。成る程のう……」
一人納得して、頷く『照魔鏡』。
何がどう分かったのか。
陶酔している彼に、ヒナは勿体ぶるなとせっついた。
「ちょっと! お爺ちゃん!? 早くしてくんない!?」
何故ゆえ、彼を急かすのか。
其れは現状を垣間見たからに過ぎず。
遥か頭上高くではあるものの、バルテズールから差し向けられた人差し指からは、鈍い輝きが増してゆき、強力な魔術が襲い掛かろうとしていたのだ。
散らばる大気を寄せ集め、塊を徐々に膨らませるバルテズールは鋭い眼光を伴い殺意を告げる。
「デオブラドル……アナグジャーザ。ミジュブアーナ……レストワール……」
謎の言語が。 術式が。
か細く口許から発せられ、夥しく紡がれてゆく。
徐々に形を成してはヒナ達を見据え捉えた。
「な、なななッ!? 何かヤバイの来るッ!!」
増し続ける迫力に怯え堪らず、翻すにもままならず。
其の身をガチガチと震わせ強張らせるヒナは、皆に己が感じた恐怖を伝染させるべく訴える。
しかし、まだ続く様子なので固唾を飲みながら、静観を極め込むヒロイン達。
「ザーザード……ザーザード。スクローノー……ローノスーク……」
何処かで聞いたような気がする呪文の詠唱は、最早留まるを知らず。
変身HEROの演出が終わるのをじいっと見守る怪人のように、皆は成り行きを待ち焦がれる。
「……パーラノードイ……フォーモーブルール……ネーイヴァセ……イーダーイーエイター。……はぁはぁ。……ナールアイドール。ヘーブン。ン……ヘイル! イアイアン。ンマッ!! ……ダイオミ……くっ! ゲホッゲホッ……。ギーザオージ……ふぅ、ふぅっ。……ブラゴザハース……」
途中、幾度も息継ぎや咳が甚だ気になるも。
いったい、何処まで続くのか。
逆に気になり期待してしまう。
皆は月夜を背景に、何処からともなく取り出したるは湯呑みに。
身体を芯から温めてくれるぐらいに湯気を放つ茶を啜りながら和み、寧ろ自分達の見せ場を厳かに待ち侘びるのだ。
おっと。
まだ紡がれるらしい。
「地の召喚の五芒。火の召喚の五芒。水の召喚の五芒。風の召喚の五芒。大いなる王神よ……。ゴホッゴホッ……。我が四囲に五芒星。炎あげたりしは。天の六芒より御下りて我に力を与えん」
日本語を交えて、仰々しくなってきた術式。
だが、流石に飽きてきたのか。
カナミは掌に口許に添えながら。
可憐な女子高生に不似合いな、豪快な欠伸をしつつ、襲い掛かる睡魔に身を委ねようとしていた。
「アブドール。ダムラル……ベルエス! ホリマクッ!! 我と共にきたりて、我と共に滅ぶべしッ!!」
いよいよ以て、緊迫感は増し、皆は身構える。
「……リブレーデ……ジャゴールッ!! 逝け!! 奈落の爆炎よ!!」
待った甲斐があったのだろうか。
大気を闇で撒き散らかし、極大の黒い火球が彼女達全員どころか、背後に雄大に聳える月をも滅さんと放たれた。
次回は引き続きバトル回かと(ホンマか?
予定は……4日後は12月は11日辺りに。
何卒!
御容赦くださいませ……
(;>_<;)
…………
ってか、今話。
ヤバイかなぁ……
≡3≡3 シュッ




