抗えば。抗うほどに、螺じ曲がる。その2。
エロ、百合成分多め?の現実世界です。
茶番なので、お気をつけください。
あ、いつものことか(爆)
「ねぇねぇ。アタシだよアタシ」
新手の詐欺だろうか。
「ちょっとだけで良いから」
更に如何わしい。
「先っちょだけで良いからぁ!」
先端が誘う。
ごくり。はぁはぁ。
「あ、ちょっ……ダメよダメダメ。ダメなのよう」
某新喜劇か?
「アッーーー!! そこ、らめぇ!!」
え。なになに。ナニしてんの。
裸待機して良いですか?
「あ。また引いちゃった……」
………………
『二人ババ抜き』ほど、つまらないものはない。
互いにジョーカーを引き合うこと数回。幾星霜。
いつの間にか居なくなっていたトールを余所に深夜、女子高生のカナミとヒナは二人でトランプに興じていた。
何故、彼女は居なくなったのか。
それはカナミがヒナにKissをするという悪乗り行為にしかならないであろう。
一頻りナニを済ませ、ふと、ふたりが意識を取り戻してみたら、既にトールは居なかった。
仕方がないので、気を取り直してトランプでもしようか?という流れになったのである。
ともあれ、二人だけの女子会。
何だか期待してしまいますよね。わくわく。てかてか。
「ヒナちゃん。そろそろ、お風呂にしよっか~」
「ん。そだね~……あ。また引いちゃった……」
ガックリと項垂れるヒナ。
このまま続けていては、多分、永遠に勝負はつかないであろう。
何せカナミは、終わらせようと思えば簡単な筈なのに、それをヒナの反応をいちいち楽しむ為に延々と繰り返していたのだから。
ヒナは二枚のカードを、カナミは一枚のカードを床に伏せる。
……まだ、続ける気は満載みたいだ。
「じゃあ、一緒に入ろっか~……」
うひひ。
何処と無く厭らしい笑みを浮かべオッサン臭い目付きでヒナに滲み依るカナミ。
対して、ヒナは全く何も気にしていないのか、素直にそれに従う。
大雑把に布団の上に用意されていたバスタオルを拾い立ち上がる。
そして、力強い手でカナミの小さな掌を掴み、ちょこんと可愛らしく女の子座りをしていた彼女の腰に手を回し、優しく引き起こす。
「ん。良いよ♪」
純粋な慈しみが心地好く、暖かいぬくもりがカナミの心を解し萌やす。
だが、それは行く末の、予期せぬ結末を招く事になる伏線なのだが、今は二人とも知る由もなく。
オタク成分で満たされた部屋を出て、廊下を、ラブラブカップルの如く恋人握りをしながら風呂場へと向かうふたり。
仲良く鼻唄などを伴いながら。
行き着く先は、ガラリと勢いよく開かれた脱衣場。
そそくさと脱衣を済ませようとするヒナに注がれる眼光には殺気すら感じられる。ぶひぃ。
ぐいっと引っ張りあげられたシャツに顔が覆い隠されると、細やかながらも、重力に反発して揺れる双丘が垂涎を誘う。
ぶ、ラジャー!
細緻な刺繍が施された高級品ではないようだ。
至ってシンプルに纏められた、いわゆるスポーツブラというもの。
色気こそあまり感じ取られないが、だが、そこが良い。
カナミは今、ヒナの脱衣シーンに釘付けだった。
然らば……
麗若き、瑞々しい裸体が慎ましいタオルで微かに隠されてしまった。あふん。
何故か、カナミはそんなヒナの様子を見て、荒い鼻息を、我慢できずに噴き散らかす。
「ん。どうしたの? 早く脱ぎなよ?」
咄嗟に、僅かに垂れた鼻血を手の甲で拭き取る。
普段から、日焼けなど問わずにひけらかされた健康的な肉体美が。
カナミの本能を性欲を呼び起こす。いや、もて余す。
「ん~……脱がして~……」
子供か。
両手をあげて瞳を閉じるカナミ。
「もう。しょうがないな!」
おかんか。
ヒナは彼女に抱き付き、背中に手を回しながらシャツをぐいっと引っ張りあげる。ふぁさり。
次いで、純白の胸当ての留め金を指で優しく外し、淡いピンクの苺ちゃんが露になる。ぽろん。
慎ましい胸部に立派に聳え立つ登頂部は何故かピンと隆起していたのだが、そんな事には全く気付いていない様子の鈍感系女子高生ヒナ。
『視られている』快感に恍惚の表情を浮かべては、成されるがままにその身を委ねる。
いや、脱がしてって言ったのは貴女ですよ。
「ほら。ちょっと脚を拡げて……」
はぁはぁ。
いや。
決して興奮しているのは俺ではない。
断じて違う!
カナミは迸るリビドを必死に抑え込もうとするも、するりと脱がされた下着から一筋の光が輝きを落とす。
「あ。もう……直ぐに洗濯しないと」
それが何だったかは追及せずに、傍で大きく口を開けて、今か今かと待ち受ける。
洗濯機に、清らかな愛で濡れた下着が食べられてしまった。ごくん。
「あ。髪もほどかないと」
一糸纏わぬ姿を晒し、まるで赤子のように甘え続けるカナミ。ばぶー。
頭を軽く撫で、ツインテールの結いをひとつひとつ丁寧に解き、傷付かないように櫛で鋤くう。
「えへへ~……ありがとう~……ヒナちゃ~ん♪」
「わっ。ちょっとカナミ! 危ないなぁ、もうっ」
ピョンと飛び付きヒナに抱き付く。
キャッキャうふふとは、正にこの事をいうのではないだろうか。
互いの肌と肌が触れ合い、密着し、辺りには百合の華が咲き乱れている。
実に羨ましい。
是非とも変わって欲しいものだ。
とはいえ、このままだと二人とも風邪を引いてしまいますよ。
てか、さっさと風呂に入りなさい。
かぽーーーーーん。
「わーーーいッ♪」
浴室に入るや否や。
掛け湯をせずに、いきなり湯船に浸かろうとするカナミの腕はぐいっと引き留められてしまった。
「こらっ。ちゃんと洗ってからだよ!」
『めっ。』された。
少しシュンとした演技をしてみるカナミは上目遣いで、まだヒナに甘えようと調子に乗る。
「んぅ~……じゃあ……洗ってくれりゅ?」
決して噛んだ訳ではない。
『かみまみた』に限り無く近いわざとらしさ。
まるで幼児退行したかのように、語尾を濁らせりゅ。
「もう。しょうがないな~……ほら、こっちおいで!」
何処までも、マリアナ海溝の如く深い愛情は母なりゅ如し。
地母神ヒナは迷い子を甲斐甲斐しく懐へと承けたまわれたもう。
並んだ椅子に腰を掛けさせ、壁台にありゅシャワーの温度と勢いを掌で確認すりゅ。
……りゅ、しつこいので、この辺で辞めておく事にすりゅ。
適温に調整したシャワーから温もりがカナミの白い肌を桃色に染め付けてゆきゅ。
「あつい?」
「ん~う。らいじょおぶ♪」
ばぶー。
まだ、継続中。
というか、どんどん退行してゆきゅ。
「こんなに長いと洗うのも大変よね~……」
「んぅ? そおれもないお?」
「まぁ、昔から長かったモンね~……慣れてて当たり前か」
途中から、ちょいちょい変な話術を使っているカナミに何も違和感を覚えないヒナに敬意を表したいれす。
至って冷静に、そして愛でるように、彼女の髪の毛1本1本を湯で浸しゅてゆきゅ。
「ほら、こっち向いて?」
ねぇ、ムーミン。
じゃあ、無かった。
カナミは今更ながらに、照れた仕草で顔を両手で覆い隠しゅ。
「ほらっ。しゃんとしなさいっ」
はい。すみませんでした。
ヒナはカナミの両腕を掴み顔から引き剥がそうとする。
それでも抵抗し続けていたのだが、体育会系のヒナのpowerに勝てる筈もなく、やがて素顔とbodyが御目見えされた。
「あうぅ~…………」
「……ど……どうしたの……?」
紅潮した頬を、止めどなく溢れる涙が伝う。
込み上げる嗚咽を必死に堪えながら、カナミは噦り上げて泣いていた。
思わず身体は、自然と彼女を抱き締めていた。
「だいじょうぶ……だいじょうぶだよ……」
「うぇぇぇ……うぇぇぇ……」
実は、こうなってしまったのには訳があった。
カナミは独りっ子である。
幼少の頃はよく苛められていたし、その都度ヒナやトールに助けられていたものだった。
と、その件は解決したらしいとは以前にも解説したが。
異世界に召喚されて以降……
『死』を必要以上に、身近に感じてしまっていたのだ。
それは、今は亡き祖父の有り難みを思い出してしまったせいかもしれない。
ドワーフの神官・ガガザーザに祖父の面影を感じてしまったからかもしれない。
だからこそ、姉妹同然の大切な二人を絶対に失いたくない。
そして、やはり、自分だって死にたくない。
その甲斐があって回復魔法を身に付けたのだろうか。
気丈に、たまにはおちゃらけて振る舞いつつも、いつも何処か気を抜けずにいた。
それが今夜、現実世界の実家という唯一安全な場所で、そして二人きりの裸同士の付き合いで。
絶え間無く注がれるヒナの愛情によって遂に瓦解したのだ。
ぽんぽんと優しく背中を叩きながら、次第に泣き声を掻き消していく浴室内をやがて、流しっぱなしのシャワーの音だけが響き渡っていった。
「怖かったんだね……よしよし……」
「ヒナちゃん……ヒナちゃん……大好きだよ~……」
ん……あれ?
何か……違うかもしんない。
涙を流しながらも、ヒナの背中に、裸体に這わせる指使いが妙に艶かしい。
首筋を、背中を、腰の括れを、尻の股筋を。
おそらく、性感帯であろう部分を順次に撫で馳せてゆく。
「んうッ!?」
自然に喘ぎ声は漏れる。
敏感に仰け反る躰が快楽を誘き寄せた。
「ちょ……何してんのよ……らめぇ……」
はい。頂きました。
何処で覚えたテクニシャン。
くたりと、浴室のタイル床はしっとりと濡れており、ヒナはその身を預ける。
彼女を優しく押し倒した野獣は鋭い眼光を放ち、つい先程までの涙は垂涎へと変換されていた。
もう、なりふり構っておられずに、カナミは思いの丈を唇にのせて、重ね合う。
思えば、あの時。
悪乗りして接吻をしてしまったあの時にカナミは既に覚醒していたのだ。
そして、気付いてしまった。
自分が同性愛者だという事に。
「ヒナちゃん……はぁはぁ……好きだよ~……大好きだよ~……」
充血してゆく双眸が、完全なる変態へと進化する彼女を物語る。
唇を蹂躙したのち、頬に吸い付き、額を、瞳を、瞼を、顎を、首筋を、耳を、鎖骨をと立て続けに怒涛のkissの嵐。
それだけでは、飽き足らず、絡め合う指と指。
重なりあう躯と躯。くんずほぐれつ。
脳みそが蕩けるぐらいに、快楽に身を委ねていた。
最早、成されるがままのヒナ。
今まで、感じた事の無いエクスタシーに完全に囚われているようだった。
……暫くして、双方は互いに果てる。
それはそうだろう。
欲望に委せてヒナに襲い掛かろうとも、元々体力面において乏しいのだから、最後まで続けられる筈がなかった。
ましてや、高温多湿な浴室内で、一時間近くイチャコラしていたのだ。
流しっぱなしのシャワーも呆れ顔で眺めている。
ただでさえ、狭いんだから、ちゃんと換気をしなさいよ、と。
……そりゃあ、逆上せますよね。
ふと、気が付けばカナミは自室の布団に横たわっていた。
一糸纏わぬ姿で。
隣には、そんな彼女を愛しそうに、厳つくガチムチではないが、高濃度の筋肉で引き締められた腕枕で寝かし付けてくれるヒナが居た。
彼女もまた、全裸であったのだが。
ただ、ヒナは実家でも、大体は素っ裸である。
寝る時などに服を着る事など先ずあり得ない、いわゆる『裸族』なのだ。
すやすやと寝息をたてる彼女の顔をじいっと見つめる。
間合いを詰めて軽く唇を重ねたカナミ。
「ヒナちゃん。だ~い好きだよ~……」
彼女の暑い腕に抱かれて。
懐で、親鳥が卵を孵化させるが如くに、踞る。
そして、早朝の小煩い、雀達の鳴き声により目覚めるふたり。
ちゅんちゅん。朝ちゅん。
前日、深夜に起きた事件を思い出したのであろうか。
寝起き様、お互いに視線を合わせ、ぼんやりと惚けて見つめ合う。
だが、唐突に。
懐かしい響きが彼女達に指命を告げ、緩やかも甘い日常にお別れを言い渡す。
ピンポンパンポーーーン。
「竜の涙の波動が複数現れました。至急、此方へ皆さんを召喚致します。御了承くださいませ……」
全裸なので、ベッドから慌てて飛び起き、最低限の衣服を纏うカナミとヒナ。
脳内に語り掛けてきた偉大なる魔術師によって、またもや異世界大陸ファンタジスタへと誘われ、召喚されるのであった……
まだ……セーフだと思う。
運営さんから教育的指導が来ないか心配だが。
Σ(゜Д゜;≡;゜д゜)
次回は来週の火曜日辺りにしようかと。




