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ドラゴンNO涙  作者: caem
第3章・くだらない。全ての世界に、終末を。
57/96

エピソード459【闇の竜・黒帝】

更新詐欺再び。

次回がかなりカオスなので、一旦シリアスさんをぶっ混みます。

エロ、グロはないかと。

そんなに、長文では有りません(寧ろ、短文)

 ただひたすらに闇が支配する中。

 其れはひっそりと産声をあげた。

 蠢きを細やかに。

 歩みなどは一切致せない。


 声を発する事も、表情を、感情を表す事すら皆無。

 正しく、無の極致。

 留まるを知らず、際限無く湧き出る暗黒だけが自分という存在を認めさせた。


 滅多に顔を出さないが。

 稀に、私の様子を伺う何者かの呟きが聴こえてくる。



「ふむふむ。経過は順調ですね……計画は上手くいきそうです……ふははははッ!!」


 両手を高々と掲げ、暫し。

 長い耳の種族は感慨深く瞳を閉じ、大袈裟に頷く。

 厭らしい笑みが鬱陶しさを感じさせたが、敢えて、無視する。


 何故ならば、私にとっては、全てが無意味なのだったから。



「教授。アレは少々危険なのでは?」


 敬虔なる助手が不安そうに伺う。

 だが、彼は違ったようだ。


「いえいえ。これこそが完璧なのです! あとは……この辺をちょちょいと……おや……??」


 意識していなかったが、何かがおかしい。

 溢れ出す暗黒が留まるをしない。

 並々と注がれていた己が、感情が更に増幅し、煽る。

 もしかしたら己は爆発してしまうのでないだろうか。



「す……素晴らしい!! ほら!御覧なさい!! これこそ正に……」


「駄目です! 教授!! さあ逃げますよ!!」


 フラスコは割れ、破片が辺り一面に飛び散った。

 実験台として費やしていた日々から解放されたのだ。

 新鮮な空気に触れ、深く長い呼吸と伴に、私は一切合切を吐き出した。



「ぐるるるるるおおおおおッ!!」


 辺りに闇の球体が複数産まれる。

 別段、恨みなど無かったが、手当たり次第にそれを解き放った。

 すると、触れた箇所が丸く抉り取られる。


 重力球体とでも名付けようか。


 何とか逃れられた教授は助手に手を引かれ、その場を後にした。

 もう、此処は用済み。

 彼等は二度と戻ることはないだろう。



「ぐるるる……まだだ……もっと……もっと……」


 満たされることの無い中身が、闇を欲する。

 目前にあった鏡台を見て、ようやく自分の姿を確認した。

 漆黒の体躯。尖翼。ギザギザの背鰭。

 障気を帯びた尻尾。


 そうか。

 私はいわゆる『竜』だったのか。


 一頻り、溜まりを吐き出し、落ち着いたあと。

 その部屋中を、屋敷を探索し、粗方の知識は得た。

 何やら、この世界にはまだまだ沢山の命が存在しているらしい。


 特に気になったのが『王国』。

 様々な種族が存在し、力の強い者達が集うという。


 先ずは、此処からだ。


 そして、私は外の世界へと旅立った。




 暗闇を撒き散らしながら、大空を飛行する漆黒の竜。

 勝手に身体の奥底から力が湧き出るので、何も気にすることはない。

 闇が蒼空を黒く染めてゆくのは仕方がない。


  俺は自由だ。


 『黒竜』は、ほくそ笑む。

 抑え付けられない興奮に従い、鈍く煌めく鋭い牙を端から端まで舌舐めずりした。


 たまに視界に捉えた村や街に立ち寄り、暴れたりもした。

 全滅させるのは容易いのだが、それでは国も対策が立てられまい。


 私は奴等と本気の勝負がしたいのだ。



「ぐるるる……もうそろそろの筈……ん。何だ?」


 あれから数日が過ぎた頃。

 私と同じくして、大空に浮かぶ奇妙な軍団が輝きを纏い目の前に現れた。


 どこかで見た気がする。

 ああ、屋敷の書庫で読んだヤツか。

 確か『天使』だとか云われて人々から崇められている神の使い。

 反吐が出るほど、胡散臭い奴等だ。

 その数は見た限りでは約300ぐらいか。


 だが、今はそんなものどうでも良い。

 私の興味は『王国』の軍隊との戦争、唯それだけなのだから。



『此処から先へは通しません』


 頭の中に直接光が入り込んできた。

 鬱陶しいにも程がある。

 話し掛けるな。遮るな。


  俺の邪魔をするな!


「ぐるるるおおおおおおッ!!」


 邪魔物を殲滅すべく、雄叫びを轟かせて盛大に闇を吐き出した。

 天使達の大半が闇に呑み込まれ、やがて消失した。

 全く、いい気味だ。いい気分だ。


  運命よ。そこをどけ、俺が通る。



『どうやら、話を聞かない質らしいですね。では、致し方無い……聖鐘を鳴らしましょう』


 代表格らしい奴がそう告げ、懐から小さな鐘を取り出し軽く振るう。

 耳障りな音が更に鬱陶しさを掻き立てる。

 堪らず、もう一度闇を吐き散らかそうとした。


 だが、出ない。何だこれは。

 ふと、辺りを見てみると、鐘を鳴らす人数が増えている事に気付いた。


 この感覚……僅かに身に覚えがある。

 確か、あの試験管に封じられていた時の感覚だ。

 小癪な真似を……苛立たしくも憎らしく腹立たしい。


 沸き上がる情に委せ、闇よ、膨れ上がれ。

 有象無象を事象の彼方へと葬り去れ。

 我こそは暗黒の支配者為り。



「御意に」


 全く聞き覚えの無い声が、闇から聴こえた。

 身の内に潜み微睡む闇の渦から突如、ぬうっと姿を顕した。

 刺々しい骨の、黒い甲冑を着込んだ髑髏の騎士。

 騎乗している馬も厳つい鎧を着込み、漆黒にその身を染めている。



「天使どもよ。貴様らの縁にはもううんざりだ。消え去れ!」


 彼はそう言うと、片手にしていた禍々しい長剣を水平に薙いだ。

 途端、歪みが産まれる。

 歪みは徐々に勢いを増し、円を描き、鐘を鳴らしていた天使達を食む。



「我が主に仇なす者達よ。次元の彼方へと跳べ!」


 辺りを取り囲んでいた天使達は、その剣の技に呑み込まれ消失した。

 ただ、代表格の天使には通用しなかったようだが。



『まさか……髑髏の騎士を召喚するとは……貴方。地獄を介しているのですか……』


 驚きを隠せない様子の大天使は手にしていた鐘を懐に仕舞い、鉾を片手に持ち直し戦闘の意を示した。

 取敢えず、鬱陶しい鐘の音を消せたのは有り難い。

 一息吐き、再び冷静を取り戻す。



「ぐるるる……任せて良いか?」


「御意に。ですが、私独りでは少々手不足かと。なので、獄界より配下を召喚して頂きたく……」


 どうすれば良いか解らなかったが多分、先程の要領、感覚であろう。

 捻り出した闇が、更に倦属を大量に召喚した。

 地獄から、続々と。

 大群が押し寄せてきたのだ。


 あの書庫で読んだ限りでは、どうやら、魔界と地獄とは別物らしかった。

 魔界には悪魔が屯い、地獄には死者が屯う。

 私には後者の。

 死者を使役する能力があるらしいのは、此れにて証明された。



「ぐるるる……此処は任せたぞ……」


「は。『黒帝』様は目的を果たしなされよ……」




『此処から先へは通しませんと申したでしょう……カリゼラ様。いざ、御顕現を!!』


 先程から、やけにおとなしいと思っていたら、何やらブツブツと祈りを捧げていたようだ。

 両手を天に掲げ、祝福を唱える。



『彼が顕現する迄も御座いません。獄界へと出戻りなさい。粛清の光よ。降り注げ』


 天空からの言霊と共に。

 辺りは、目映い光に包まれ、意識が遠退いてゆく。




………………




 再び気付いた時には、召喚した倦属は姿を一切残さずに。

 自分も、その身体に訪れた異変に畏れ戦き、驚愕の表情を露にした。

 対峙していた彼等、天使と同じ様な身体付きへと変貌してゆく。



「ぐるるるおおおッ!! こんな馬鹿な事があってたまるかッ!!」


 何の為に、あの試験管から表へと出たのだ。

 こんなくだらない事があってたまるか。

 だが、そんな憤りも虚しく。


 薄れゆく意識の中で、彼は誓う。


 いつか、再び闇から産まれて。

 刃向かう全てを暗黒に呑み込ませてやろうと。


収拾つくかなぁ……

いや、本編のstoryは決まっているのですが、お遊びが過ぎて(爆)

次回投稿は土曜日は10月7日の深夜予定。

かなり、冒頭からブッ飛んでいます。

( ̄▽ ̄;)

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