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ドラゴンNO涙  作者: caem
第3章・くだらない。全ての世界に、終末を。
55/96

エピソード555【傲慢なる竜】

短文ですが。

『炎帝』の竜のエピソードを。

エロ、グロ無しかな?

 忍び寄る炎熱。


 かつては、山紫水明の深い山で採れる木の実や河魚など。

 緑豊かに恵まれた土地であったのだが、今やその面影は何処にも垣間見られない。


 其れが大きく歩みを進める度に大地は、大気は焦げ爆ぜてゆく。

 常に全身に張り巡らされている火の精霊『サラマンデル』は歓喜に沸き、やんややんやと誉め称えている。


 全てを燃やせ。

 全てを炎で埋め尽くせと。


 我こそが最強の竜であるという証明を示す。

 『炎帝』の竜・カリギュリアが軍勢を率いて進軍し続けていた。


 暴君と呼ばれ、万物。

 生物全てから恐れ戦かれる存在。

 絶大なる脅威を誇示し、彼は周囲を見渡し、標的を見定めた。



「ほう……まだ、息があるか『氷帝』よ」


 言葉を発する度に荒々しくも猛々しい炎を吐き散らかす『炎帝』。

 粛々と続いてきた争いに、因縁の勝負に決着を付けるべく彼『氷帝』に近付いた。



「……掛かったな……ッ!!」


 絶対零度を其の身に纏い尽くした彼『氷帝』がほくそ笑み、止めを刺さんとした彼を騙し討つ。

 己の腹部を無謀にも曝け出し、降伏の意を伝えんとしてまでも。

 死んだふりを見事に演じきり、不意討ちに転じた。


 ガブリと、『炎帝』の頸元に噛みつき、二度と離さない決意を露にする。

 夥しい血を流しながら尚も、カリギュリアは余裕の笑みを見せた。

 噛み付かれた箇所から、氷と炎が鬩ぎ合う。

 だが、それまでのダメージが祟ったせいか。

 やがて炎は其れを蒸発させてゆく。



「ふ……お前の……勝ち……だ……」


 躯の外からも内からも炎に侵食された『氷帝』は今度こそ本当に。

 ゆっくりとその身を大地に擲つ。

 対し、『炎帝』は痛々しい傷痕を勲章に、勝鬨をあげた。



「今この時を以て……最強の竜は我。『炎帝』カリギュリアなり!!」


「「「「うおおおおおおおおッ!!」」」」


 何処からともなく、歓声が盛大に沸き上がった。

 その場に近付くだけでも危険極まりない行為なのだが、多分に、彼の倦属は耐性があるのだろう。

 下級から上級までの竜が群を成し『炎帝』カリギュリアを讃え拍手喝采を送る。


「漸く……長年に渡りし悲願が叶いましたな……カリギュリア様……」


 何処か遠くを見つめては、懐かしき日々を思い出す。

 傍に寄ってきた竜が沁々と語りかけた。


「うむ。此れで…遂に…『昇華』を果たせるのだ」


 感慨深く。

 一旦気を緩め、傷付いた身体をゆっくりと大地に落ち着けた。

 至る所に付けられた酷い爪痕にはサラマンデルが集い、それを治療しているようだ。

 暫くして、殆ど体力が回復した『炎帝』が皆に告げる。



「では。皆のものよ。これより『昇華』の儀式へと取り掛かる!いざ、陣を組み、祈りを捧げよ……」


 各々が散らばり、決められた位置へと移動し、静寂が辺りを包み込む。

 陣形の、ほぼ中心部にて鎮座する『炎帝』カリギュリア。

 やがて彼は、陽を遮り埋め尽くされた曇天を仰ぎ睨み付けた。



「きたれ……竜神よ!! そして……我を更なる位へと導きたまえ!!」



 純粋な願いを雄叫び、瞳を閉じる。

 うっすらと雲は扉を開き、一点の神々しい光が大地へと降り注いだ。



『よくぞ、唯の一介の下竜から登り詰めましたね、炎帝よ』


 竜の翼と双角を携えた人間が天空より舞い降り、傅く『炎帝』の頭に優しく掌を添えた。

 だが、次の瞬間。

 突如訪れた脳髄まで迸る衝撃に身悶え、呻き声を漏らす。



「……う……ご……ッ!? ……な……ぜ……ッ!?」


 いつの間にか、彼は取り囲まれていた。

 天使の大軍勢によって。

 祈りを捧げていた倦属なども既に、痛みに囚われ捕縛されていた。

 悲痛な面持ちで、それでも涙を堪えながら訴える。



『もう。貴方達は必要有りませんので』


 竜神はそう告げると同時に皆に指令を下す。

 掲げられたもう片方の手を挙げ、其れを承った天使達が各々請けもつ竜を粛清してゆく。


 そして、その様子を伺う彼。


 竜神は、姿を次第に変貌させてゆく。

 聖なる光と羽衣を身に纏い、清く光り輝く翼。

 『大天使』そのものであった。



「そ……んな……馬鹿……な……」


『貴方が他の面倒を処分してくれたお陰で、随分と楽に粛清できましたよ』


 感謝とばかりに軽く頭を垂れる大天使。

 だが、その最中にもカリギュリアへの攻めは途切れずに。

 辺りの倦属らは既にその原型を留めていない。どころか。

 カリギュリアはその異変に気付き、驚愕の表情を浮かべた。

 同胞達が、天使の姿へと成っていったのだ。



『大丈夫ですよ、貴方は十分にその資格があります。ほら、あれを御覧なさい』


 先程、激しい戦闘を繰り広げ、討ち取った『氷帝』。

 とうに命を失っているであろう彼が中級の天使により、その姿を変貌させてゆく。



『昇華してしまえば、全て復元致しますので。まだ息があったのが幸いでしたね』


 まだ、『氷帝』が生きていた事に、少し安堵してしまう自分に情けなさを感じるもどこか嬉しい。

 長年に渡り、宿敵として幾度も対峙してきたものの、最早、親友といっても過言ではないだろう。

 その彼が、全く無関係な天使などによって書き換えられていたのだ。



「さわるな……お前らが……気安く……触れる……ぬあああああッ!!」


 天使達の、大天使の粛清を強引に絶ち切ろうと踏ん張り、猛々しく吼える。

 劈くらう魂の主張は数名の天使の意識を刈り取り、その命を奪った。


 だが、時、既に遅し。


 大天使の粛清によりほぼ全身を蝕まれていた彼には、そこまでが限界だった。

 雄々しい巨体を揺らし、消魂しく音を発てて大地へと倒れ込んだ。



『安心して御逝きなさい。これからは同胞として御君に仕えるのですから……』


 薄れ行く意識のなかで彼は誓う。

 いつか天使に、この世界を創造した神に復讐の牙を突き立ててやると。


あれ?おかしいなぁ。

悪乗りしてない……why?

(; ̄Д ̄)?


次回投稿予定は10月4日か5日辺りにしようかと。

まったりペースで更新します。

( ・∀・)っ旦

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