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ドラゴンNO涙  作者: caem
第3章・くだらない。全ての世界に、終末を。
52/96

覆す。そんな不条理、認めない!!その18。

更新予定詐欺再び(笑)

諸々の?都合により投稿させました。俺が。

長文?グロあり、エロあり、のほほんあり。

かなりカオスなので、御注意あれ!

「Was istdennlos?」


 母親は、目の前で喧嘩をしている子供達に、いったいなにがあったのか。

 優しく問い詰める。


「Bruder…… schlagen!」「Nein!Schwester!」


 どうやら、お互いに罪を擦り付けあっているようだ。

 やがて、どちらからかともなく、手を出してしまう。


「Rabäh。Rabäh」


 少し離れたところ。

 ベビーベッドで赤ちゃんが泣いて愚図りだしたようだ。

 ふたりが喧嘩してるからよ?仲良くしなさい、と母親は子供達の頭を優しく撫で仲裁を促す。


「……Aber da gibt es ein Problem……」




※以下、略します。もとい、訳します※




「これは……困ったことになりましたねぇ……」


 ぽっこりと膨らんだお腹を改めて見ては、欲望に忠実に、行為に至った自分を悔やんでいた。


 とりあえず、今は亡き主人の連れを頼りに、医師の元へと赴いた。

 看護婦と共に出迎えてくれた、小肥りで眼鏡を掛けた中年男性の医師が言う。


「順調に育まれておりますよ。このまま、ゆっくり、頑張ってください。決して激しい運動などは避けるように」


「はぁ。それはどうも……ありがとうございます……」


 妊娠したのに、あまり嬉しくないようだ。

 だが、身体は正直なのだろうか。

 自然と母親の手は、宿った命を優しく撫で回し、祝福の合図を贈る。


「に、しても……まさか、この身体で子供ができてしまうとは……」


「ん? 何か言いましたか?」


「いえいえ。こちらの話ですので、では、どうもありがとうございました」


 一礼。

 そそくさとその場を後にして、一先ず、病院を出てゆく。

 今まで味わった事の無いその感覚に、両足は覚束無く、足取りは重い。


 いまや『妊婦』となってしまった『悪食』の悪魔デルメト。

 内面の、もうひとりの『女』の性欲に促されてしまった事を悔やむ。


 古城『ローテンブルク城』に到着した彼、悪魔デルメト。

 かなり失われてしまった体力の回復を計り、とりあえず『食事』をしようと試みた。

 割りと近くにあった名も知れぬ男性宅に忍び込み。

 彼以外の同居人を軽く頂く。


ばりばり、ぼきぼき、むしゃむしゃ。ごくん。


 さて、メインディッシュだとばかりにがっしりとした体躯の中年男性を頂こうとした所で……

 風呂上がりの、艶やかな、立派な彼の躯に欲情が沸いた。

悪魔の内面に潜むもうひとりの『女性』が。


 主のデルメトにとっては、彼は美味なる食材でしかなかったのだが、彼女の性欲も中々に興味深く感じる。

 確かに、この人間の身体で性行為を致すれば、どうなるのだろうかと。


 以前から気にはなっていたのだ。


 そして、辺りの状況など全く知りもしない全裸の彼を、咄嗟に彼女は、欲望のままに犯しその躯を蹂躙し尽くした。


 風呂上がりのその場で果てる彼。

 勿論その後、主の悪魔デルメトに交替した事により、大変美味しく食事させて頂きましたが。


ばりばり、ぼきぼき、むしゃむしゃ。ごくん。


 雌カマキリが、行為の後に雄カマキリを、食事するのは迷信だとか云われていますが。

 悪魔は違うのでしょうか、ね。

 とにもかくにも、たったその1回の性行為で当たってしまうという奇跡。

 神様も憎い事をしてくださいます。

 一発でもにんしん。なら、二発目でも?ぎゃわー。よすのじゃよ。


 ただ、人間の場合と違うのか。


 その進行速度は早く、1ヶ月と経たずとして既に半年程の膨らみ。

 度々襲う吐き気。悪阻。苛立ち。苦しみ。


 これ以上はもう、堪えきれなくなった悪魔デルメト。

 に、しても……


 その検査の結果次第では、医師や看護婦、または関係者全員を。

 または、辺りの住人全てを平らげてしまおうかと思っていたのだが、意外にも『人間』を孕むとは。

 そりゃあ、母体が人間なのだから、当たり前といえば当たり前なのかもしれない。




「はぁ……はぁ……困りましたねぇ……」



 というのも、身体の中に宿った命を食事する事は出来ないらしいのだ。

 こうなると、どう足掻いても、母子共に、無事に出産するしかない。


 さっさと、その身体を棄ててしまえば良いのに。

 何故か、その気は起きない。これも彼、悪魔デルメトの悪い癖なのだ。


 『逃げ出す』などという惰弱さを嫌う悪魔なのである。

 負けないで、もう少し。最後まで走り抜けて。

 いや、走らないでくださいね。妊婦なので。

 先程も医師に注意されましたよね。


「……ひぃ……ひぃ……ふぅ……」


 いや、待ってください。

 まだ家までの道程は長いですよ。


「……ぽこ……ぺん……ぽこ……ぺん……だーれが……つついた……」


 何かヤバい。色々と。

 虚ろな眼で、ぶつぶつと何か呪文のようなものを唱えだした。


「……ご……ごぼおう……っ!!」


…………


 産まれた。産まれた。何が産まれた。

 それはいわゆる『卵』だった。

 しっとりと濡れたそれは直ぐにひび割れてゆく。


 あれ?

 先程の診断結果では、ちゃあんと、歴とした『赤ん坊』だったのですが?

 まあ~た、この悪魔。仕出かしやがった。聞いてないよー。



「……か……ハァ……ッ……ハァ……ッ」


 口許から零れ落ちる粘液を拭い、じいっと吐き出したそれを眺める。

 やがて、殻は破れ、中身が御目見えされた。

 産まれたばかりだというのに、それは既に『赤ん坊』という基準を遥かに越えていた。

 くしくし、と目を擦り、母親を見上げる。



「お前の名は……シンバルンだ」


「はい。お母さま」


 嘘……

 第一声目が『おぎゃあ』では無い。

 ってか、ネーミングセンスがヤバい。


 しかも、一応は人間の姿形を保っているようなのだが、所々、違っていた。

 その額には小さいながらも立派な角。

 背中には、やはり生えたてで、ちんまりとした翼。

 尾てい骨辺りからは尻尾が生えている。

 『悪魔』と『人間』のハーフとでもいうのだろうか。

 悪魔デルメト、母親はそんな『彼女』を優しく迎い入れた。


 ちなみに、2人目は『タンバリー』3人目は『ドラムン』と名付けられた。

 つまり、3度は行為に至ったという訳である。

 更にいうと、3人目に至っては、かなり人間の赤ん坊に近かった。



 はい。今ここです。



「すみません。ベッカーさん。居られますか?」


 ドンドン!と乱暴に叩きつけられる扉。

 その煩さに釣られたのか3人目のドラムンが泣き出した。


「母さん、お腹すいたぁ……」「アタシもです。お母さま……」「おぎゃあ。おぎゃあ」


「ちょうど良かったわね。じゃあ、ごはんにしましょうか……」


 立て続けに起こった家族の失踪事件を担当する事になった若手の刑事が質問に立ち寄った一軒目にして。

 その家の母親に扉を開けられた時、彼は既に、一家団らんの『食材』となっていた。


ばりばり、ぼきぼき、むしゃむしゃ。ごくん。


「さて……そろそろ……お手紙を出さねばなりませんと、ね……」


 そう言うと母親、悪魔デルメトは。

 いまだ食事をしている子供達を他所に、椅子にゆっくりと腰を掛け、ペンを片手にする。

 もう片方の手にリンゴは持っていない。PPAPではない。



…………………………



拝啓。

薔薇の蕾が膨らみを帯び、豊かな季節の到来が待ち侘しい今日この頃。

如何、御過ごしになられておりますでしょうか。

偉大なるグランヴィア様。

バルテズールの黒馬鹿エルフはどうでも良いです。

寧ろ、さっさと、くたばりやがれ。


こちらの計画は頗る順調に進んでおります。

ですが。

強いては、もう暫くの後に、我が家にご招待させて頂きたく存じ上げます。


今はまだ、貴方様には少々窮屈かと思われますので。

環境が整い次第、再度、御連絡を致します。


ちなみに、私デルメトは『母親』になりました。

家族が……もとい、倦属が増えました。


上の子などは、とても礼儀正しく。

今も丁寧に食事などをしております。

おとなしすぎる所が多々見受けられましたので

そのあたりを、のちに矯正しなければと思っています。


真ん中の子は、少々乱暴な所がありますが、頗る元気な良い男児でございます。

上の子と違い、多少、礼儀作法に疎い面がございますので

貴方様が来られる迄には御無礼の無いようにきちんと躾ておきますゆえに。


一番下の子が、まだ赤ん坊なので何とも言えませんが……

とても、愛嬌のある可愛らしい表情でして毎日癒されております。

彼の泣き声を聞く度に。

ああ、私がもっと頑張らなければと勇気を貰う日々でございます。


ともあれ、3人の子宝に恵まれ、1日1日を愉しく過ごしておりまする。


あ、これでもきちんと計画は続行しておりますので。

くれぐれも、誤解の無いように、宜しくお願いいたします。


それと……微かに感じた波長により。

どうやら此方の世界にも、我々の同種が存在している様子でございます。


そちらも十分に調査をする必要があるので、もしかすると、もう少し時間がかかるかもしれません。

その際は、どうか御勘弁くださいませ。


長々と列ねてしまいましたが、御容赦のほど、宜しくお願い申し上げます。


貴方様に至っては、決して失敗など成されないとは思いますが

そちらでの御成功を、深く、心より御祈りしております。


では、かしこ。


追伸。

ただ今、4人目を宿しておりますが

相変わらず、悪阻に慣れませんね。


貴方様の忠実なる僕。デルメトより愛を込めて。



…………………………



「ふぅ。こんなモンで良いでしょう。我ながら惚れ惚れするような出来映えですね!」


 軽く溜め息をつき、母親、悪魔デルメトはその便りを綺麗に折り畳み封をする。

 そして、その手紙をおもむろに呑み込んだ。ごっくん。

 デルメトさんたら、噛まずに呑んだ。仕方がないのでお手紙を書かない。


「え! お母さま! その様な無機物を食して大丈夫なのですか!?」


 一番上の子、シンバルンが母親のその常軌を逸した行為に、心配するような目付きで、すかさず彼女に近寄り、背中を摩る。

 良い子だなぁ。



「はぁ……はぁ……大丈夫ですよ。ですから少し……放っておいてくださいな……」


 母親、いや悪魔デルメトは。

 彼の身体の中の更に奥深くに仕舞い込んだ何かを探しだそうとしていた。

 確か……隅っこの方で引っ掛かっていた筈の欠片を。


 此方の世界に召喚された際、その殆どは消滅してしまったのだが。

 その欠片が身体の何処かに、僅かに残っていたのは何となく気付いていたのだ。

 それこそは『竜の涙』の『欠片』であった。



「んむむむむ……むぅ~ん……んんんんん~……」




 目線定めるを、此処に非ず。変顔のオンパレード。

 最早、愛しの母親は其処には居らず。

 子供達は皆ドン引きして部屋の片隅にて肩を震わせながら、その身を寄せあっている。



「……ンあああッ!!」


 びくうっ!

 その身は弾けるように椅子から放り出される。

 突然発狂した母親のその姿を目の当たりにした真ん中の子などは失神寸前だ。



「お母さま……帰ってきてぇ……」


 おーい。水島ぁ……じゃあなかった。

 悪魔デルメトさんや。早く帰ってこーい。

 子供達がマジで心配しているぞ。

 まぁ、このまま逝ってくれた方が助かりますけどね。



「見付け……た……ッ!!」


 奥深くで、ポツンと。僅かに光輝く『竜の涙』の欠片。

 彼は、片手に持った手紙を『それ』に怪しい粘液で縛り付けた。

 あーた、万能過ぐる。



「後は……あの時の感覚を思い出して……んッ……ねるるりりりゃあああッ!!」


 その奇声、掛け声が更に気持ち悪さを引き立たせており、一番下の子が引き付けを起こし始める。

 粘りますね~。3人共。

 流石は悪魔と人間のハーフといったところか。


「か……お母さま……?」



 死ーん。


 ピクリとも身動きしなくなった母親へと心配のあまり、恐る恐る近寄るシンバルン。

 軽く突っつくも反応がない。


どうやらただのしかばねのよう…。


だと思った瞬間、母親は、悪魔デルメトは目を覚ました。ちっ。



「何とか……出来ましたね……はぁ……はぁ……」


 傍で泣きそうに。

 いや、堪えていた涙が滝のように溢れ落ちる娘の顔を指で優しく拭き取る。

 何故だろうか。

 最早、ちゃあんと、母親の顔になっている気がするのは。



「心配をかけましたね。シンバルン」


 そっと彼女を抱き寄せる。

 ついでに、その様子を見て駆け寄ってきた長男のタンバリーも。

 三男のドラムンは、雰囲気を察したのであろうか。激しく泣き声をあげた。



「大丈夫ですよ。私はまだまだ死ねませんから! ククククッ!!」




…………………………




 異世界大陸ファンタジスタの、とある某所。

 ふたりのダークエルフが肌を重ね合っていた最中に、近くでその異様な光景を見つめていた『虚化』なる現象。

 その不思議空間から、パサリと手紙が投稿された。

 窓を割ってまで部屋に投稿されてくる恐怖な新聞のように。


 だが、当然ふたりは、性欲に互いに身を委ねきっているので、それに気づく筈も無く。


 やがて、手紙は風に吹かれて何処かへと飛んでいった。




 嗚呼、栄冠は君に輝かない。


初めてじゃあないかな?こんなにぶっ込んだ……もとい、ぶっ飛んだのは(爆)

次回更新予定は金曜日辺りにしようかと……多分。

(^_^;)

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