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ドラゴンNO涙  作者: caem
第1章・竜と悪魔と魔術師と
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むりやり喚ばれて、冒険者になったJK達。その5。

魔術師サイドの閑話みたいなモノです。


 その者達の表情は疲労の色を明らかに隠せない程に、衰弱を顕にしていた。

 幻想大陸ファンタジスタに於ける異能力者達『魔術師』である。

 【偉大なる魔術師・バレンシア】を師に仰ぐ者が殆どだが。

在野の、一際の才ある魔術師達も集う。


 そこはかつて『何か』が在った場所であり『何か』を失った場所。


 【虚】という現象が産み出した『全ての消失の空間』。





 数年前、突如として発現したその脅威は有りとあらゆる生き物を大地を空間を奪い、その場所に関する記憶までも『無かった事』にされる、というものであった。


 始まりは極めて僅な点であり、何物にも影響は皆無であったかもしれない。

 やがてそれはじわじわと侵食し続け、その進行と共に皆の記憶から、それは失われていく。

 誰も気付かず、誰にも気付かれず。虚無は侵食し続けた。



 だが、事態は急変した。


 人間界にて、被害者が続出したのだ。

 まるで、奇病のように、それはじわじわと。


 身体の末端から【虚化】は始まり最終的には何もなくなる。


 意外にも、人体に顕れた【虚】は進行が遅かったのが幸いしたか。

 医学や魔術での解析を始める事が出来たのだ。



 当時、いや未だに原因は解明されていないのだが、魔術師・バレンシアの、とある閃きが一筋の光明を照す。


 『魔力の放出』。


 【虚化】の患者に対して、魔術師が魔力を放出、ないし解放を試みたところ、どうやら、それは効果を示し、その進行を食い止めたのだ。


 ただし、精一杯、魔力の放出・解放を以てしても僅かにしか効果がないのが現状であったのだが。

 魔術師が数人係りで解放したところで、その進行を極めて小さく遅らせるぐらいだ。






「皆様、御苦労様でした」


 直径10メートル程の空間を、少し離れた場所で取り囲む魔術師達は「ようやく休めるな」と、とりあえずの解放感でしかないが、心の底から安堵した。


 その中心部には、かつては何らかの建造物が建てられていたのではないだろうか。

 その周囲の地面も含め、ぽっかりと空いた空間…【虚無】があった。


 魔術師達の甲斐あってか、何とか進行速度は何とか食い止められていたようだった。


 バレンシアの後方には数名の魔術師達が各々、何かしらの準備を済ませ待機している。


「では、順を追って交替及び引き継ぎを御願いします」


 一人、また一人と交替しつつ役目を果たした者達は休憩に入る。


「例の宝玉はまだ手に入らないのですか?」


 正直、声を発するのも精一杯だったが、その内の一人がバレンシアに問う。


「現在も捜索中なのですが……未だ入手出来ておりません。申し訳有りません」



…………



「竜の涙、でしたよね。確か……たまに古代遺跡で見付かる事はあると聞きますが」


「何でも……それひとつで何百人もの魔術師の魔力を蓄えている、だとか」


「闇市で、しかも高額で取引されているとかで、滅多に見掛けないとされている代物ですよね」


「冒険者ギルドにも依頼していますし……。早く、見付かれば良いですよね」


 バレンシアの落ち込みように、少しでも気を晴らそうとしているのか、魔術師達が会話に努めようとする。



「ですが、我々が求めているのは『竜の涙』ではなく『真竜の涙』なのです」




 『竜の涙』、『真竜の涙』。


 それは竜。すなわちドラゴンが溢した涙が結晶化したものだと云われている。


 只でさえ、ドラゴンは洞窟や深い谷間。いわゆるダンジョンに潜んでいるのに、その中でも一際珍しく、格の違う、伝説の『真竜』と対峙しなければならないのだ。


 まして、いくら知力の高いドラゴンとて、簡単に涙を流して頂けるものなのだろうか。

 単純に、戦いを挑み勝利したとしても、涙を流すものなのか。


 重い雰囲気の現場では、魔術師達は、淡い期待に応えてくれる冒険者達に託す事しか出来ないのであった……。



ヒロイン達が冒険者してる最中にも、彼女達を喚び出した魔術師は普段、活動しています。

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