覆す。そんな不条理、認めない!!その13。
現実世回。いや現実世界。
茶番、再び。妄想だだ漏れ。かなり、カオスです。
エログロ有り?お気をつけくださいませ……
( ノ;_ _)ノ
「Was ist denn los?」
「Es ist okay?」「 Alles klar?」
僅かに聞き取れた一部の単語。
其れを頼りに、今迄に吸収してきた知識を総動員させて切り返そうと試みる。
「……No problem…… Fairly normal……」
流れる汗も、息切れも絶え絶えしく。
震える片手で、質問責めしてくる彼等を制する。
チカチカと、視界を遮る瞼を人差し指と親指で軽く抑え付けながら。
なけなしの力を振り絞り、強引に立ち上がろうとする。
ふらつき、額に浮き浮かばらせる汗を拭いつつも。
どっ、と。壁にその身を頼らせる、きめ細やかな鮮烈な褐色の肌。
ある程度、引き締められた腹筋は寧ろシックスパックに近い。
気持ち悪いのだろうか。
腹部を手で撫でまわす。ひっひっふー。
ふくよかで艶やかなるを極まりし胸が激しく上下している。
ぜぇ、はぁ。
だっだーん。ぼよよん。ぼよよん。
細やかな布で包まれたのはその身を案じた訳ではない。
咄嗟に隠した訳でもない。
元々、そういう習慣なのだったから。
突起物が目立つのは気のせいであろう。はぁはぁ。
彼女の言語を聞き取れずに、それでも親切丁寧に、懇切丁寧に心配をしてくれる。
そんな複数人に対してでさえも英語で応答してしまう内面の『彼』は苛つきを感じてはいるが隠す。
「Alles Ordnung??」
「 ……Unglaublich……」
…………
全く、わかんねぇな……。
ドイツ、ドイツ。ドイツ、ドイツ。ジャーマン。
小さく前に倣え。
※以下、略します。もとい、訳します※
現代世界にやってきて、米国の何処かの街に応じられた『悪食』の悪魔デルメト。
彼は、とある部族から歓迎されていたのだが、漸く解放されたらしい。
序でに。
当時、彼に身を寄せてきた色情魔…痴女に、適性もなくは潜り込むことにする。
意外といけた。
「ふむふむ。悪くないですね~……」
頚をコキコキと鳴らし、肩をブンブンと振り回し。
身体の隅々に意識が、感覚が廻っているかを確める。
試しに、自分のたわわに実った両乳を揉んでみる。
あふん。うふん。
??
自分の中で、快楽が産声をあげた。
どうやら、完全に目標を乗っ取ったワケではないようだ。
どちらかと言えば、『融合』に近いのか。
『もう一人』がとても悦んでおられるご様子。もじもじ。
「んむむぅん。はふぅ……ちと厄介ですが…まぁ、これはこれで! クククッ!」
自分の乳を弄りながら、彼女……いや、中の彼は厭らしい笑みを浮かべている。
突起物をコリコリするでない。あふん。
イエーイ、めっちゃ。ほりでー。
羨まし…くはないんだからねっ。
「さて。では……申し訳有りませんが……いただきます」
悪魔を崇拝する部族の住人達は、喜んでその身を捧げた。
抵抗の意思が全く無い。
中には、大きく開かれたその口に自ら飛び込んで、逝く者も。
はいはい。並んで並んで。順番待ちですよ。
あ、こら。横入りしないでください。
…………ぼりぼり。むしゃむしゃ。ばきばき。ごくん。…………
「……ぷはー……御馳走様でしたぁ……」
一頻り、食事を平らげた彼女…いや、彼。ええい、面倒だ。
悪魔デルメトは、静けさに酔いしれつつも次なる場所へとアンテナを張る。
ピコーン。ピコーン。
「む! 良さげな城をはけーん。あの御方が来られた際、招待のしがいがありますな!」
嬉しそうに揉み手をする。いざ、行かん。彼の地へと。
なんちゃら王に、俺はなる。
断じて、麦わら帽子は被っていない。
と、その前に…ふと、気になったのは今、全裸なのよね。
うはは。眼福、眼福。
この世界の常識では衣服を着用せねば、怪しまれる事この上無く。
というか、即座に逮捕されてしまうであろう。
普段は全裸なのですが、ね。悪魔なので。
仕方なく、其処らに脱ぎ散らかされた薄い布切れを胸に、腰にと巻き付ける。
スースーします。NOぱんつ。
「ふっほー! この感触……堪りませんなあ! 此れからは女性を選びますか、ね!」
待て、こら。おい、オヤジ。
『適性』とやらはどうなった。
これだから悪魔はイカン。
何でもカンでも有りにするんじゃあ無い。
おいっちに、さんし、と軽く準備運動をして、何事も聞いていない。
ち、覚えてやがれ。
その身体の背中に、思い付く限りの、様々な種類の翼を生やしてみる。
え。
なにそれ……聞いてないよー。
幾度か調整したのち、猛禽類の翼が気に入ったらしい。
きみにきめた。ぴっかあ。
「では…いざ! 参りますとしますか!」
今は既に誰も存在していない村を後にして、悪魔デルメトは飛び去っていった。
「さてさて……先程視界に捉えた場所は……かなり距離はありますが、まぁ、行けない事はないでしょう」
新たに取得した技を使い、気楽な一人旅を始めた悪魔。
鼻歌などを伴い、大空を軽快に飛んでいく。
途中で出会った雁の群れに、こんにちは。
彼等の背中に小人は乗っていない。
そもそも、ガチョウは一緒に飛んでいない。
「そろそろ……見えてきても宜しい頃……おや……??」
ぷすん。ぷすん。
ばるるる。ばるるるるる。
翼が言うことを聞かない。ためかせじゃあねえのかよ。
尋常ではない速度で蒼空をかっ飛ばしてゆく。
翼、はため、枷。逝きたい。
何度も抑え付けようと試みるも、全くといってコントロールが効かない。
制御不能。制御不能。
まさか……暴走……!?
「うおおおおおおおおおおお……ッ!!」
逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。逃げちゃ駄目だ。
激しく空気の抵抗を受け、顔が面白い事になっている。
バラエティ番組で罰ゲームとしてスカイダイビングに興ずる羽目になった女芸人。
まさしくそれである。
「こ……これは……また……気持ちいい……あはあッ!!」
……イッてる場合か。
どんどん地表に近づいてるの気付いていますか?
愛、覚えていますか?目と目があった時。手と手が触れ合った時。
うむ。俺は忘れた。
そして、その時は遂にやって来た。ざまあ。
「あわばばばばばばばッ!! うわらばッ!!」
激しく大地に到着。しない。
いや、しているのか?
最後、どこぞの継承者に謎の秘孔を突かれたのであろうか。
走り出したら、もう、止まらないのじゃ。婆様は言った。
いや、誰やねん。
その者は蒼き衣を纏ってもいないし。
金色の野に降りたってもいない。
いや、せやから、婆様て誰やねんて。
軽快に転がり、跳ね回り続ける。
寧ろ、清々しい。
ひゃっはー。良いぞ、もっとやれ。
そのまま永遠に転がり続けて、最も深いとされるマリアナ海溝にでも沈みやがれ。
大地で、水切り新記録に挑み続ける悪魔デルメト。
果たして、連続何回更新しただろうか。
あれって、石の形状や天候、川辺の状態が一致しないと延びないんですよね……
川辺の端から端まで辿り着くとか、もう奇跡。天晴れ過ぎる。
だが、そんな淡い期待に応えてくれるワケがないですよね。
ややもして、勢いは消沈。ちーん。
何か、ピクピクしている。おーい、生きてるかー。
その光景を見ていた、土地の住人達はそんな痛々しい彼女を心配しているようだ。優しすぎるだろ。
はい。今、ここです。
少し離れた所に、目的地の城が見える。
世界の中心ではない所で愛を叫ぶ皆さん。彼女を助けてください。俺も。
取り返しがつかなくなる前に。
……もう、無理っぽいので、話を進める事にする。
「おい! 大丈夫か!?」「何があった!? 傷は深いぞ!!」
そこまでは言っていない気がするが、それは、さておき。
心配してくれるのは嬉しいのだが、彼女の淫らな躰を視て口許を緩ませるのは男性として如何ともしがたく。
其処の貴方。涎を拭きなさい。
あと、然り気無く、乳に触れようとするんじゃあねえですよ。あふん。
「だ……大丈夫です……わ、よ……おふん?」
感じるな。
一応、乗っ取り主の姿形に合わせ、女性に成りきってみる悪魔デルメト。
いや、主は彼なのだが。
ふらつきながらも、目先の城へと足を運ぶ。そこかしこから流血しながら。
「おい、あの男に連絡だ!」
何か違う。
俺の背後に立つな、とか言われそう。
振込先が毎度の如く、スイス銀行とか有り得ないと思う。
10%の才能と20%の努力。そして、30%の臆病さ…残る40%は運だとか信じられない。
携帯を片手に。
警察やら、お医者さんやらを召喚してくれようとしてくれるのは実に素晴らしい精神の持ち主だと見受けられますが。
迷惑でしょうが、放っといておいてください。
「いえいえ……構わずに……」
気力を振り絞り、精一杯の歩みで目的地へと近付きを手繰る。
地面を引き摺っていく足跡が苦労を語る。
諦める、などと。皆無であろう。
崇高なる計画のもとに、動いているのだから。
うん。そう、信じたい。
「はぁ……はぁ……あと……もう少し……ん、ふう。」
何だかいやらしい気がするのは吝かでは無い。
ため息を漏らすな。感じるな。頼むから。
だが、一先ず、その動向を見守って頂きたく存じ上げます。
「か……ふぅ」
賢者タイム。ではない。
瑞々しさで埋め尽くしてきた地面の痕を、懐かしげに見やる。
漸く、目的地の古城に辿り着いては果てるも厭わずに。
なんとか保った熟れた躰に舌を舐めずる。
塩分補給。自分で。ぺろぺろ。じゅるり。はぁはぁ。
赤茶けた煉瓦に包まれた城が、夕焼けを灯す。
傍目に観れば、心が透く美しくも儚い光景であろう。
ローテンブルク城壁に身を任せてみる。
涙が……出ない。不思議。
視線は虚ろに、彼女は。
『悪食』の悪魔デルメトは、次第に近付いてきた夜の帳へと。
その意識と食欲を鎮めて逝ったのだった。
「流石に……今日は……はい、これま~で~よ~……」
もう。馬鹿やってる!(水谷チエコ風に
短文、おちゃらけ回です。お気に為さらず……
次回は予定通り、水曜日辺りに更新しようかと。
(^_^;)




