覆す。そんな不条理、認めない!!その11。
今話。
短文ですが、かなりコアでオタクなので耐性ないし、適性の無い方々には御目汚しにしか。
( ノ;_ _)ノ
御了承ください……
「うん。とりあえず~……。準備は整えたと思うのよね~」
現状、最善の手は打った。
カナミは少し不安ながらも言い切ってみる。
その部屋の壁一面には様々なアニメやゲームのポスターが貼られていた。
有名な物から、あまり世間では知られていない物まで。
先ず最初に目についたのはガラス張りの棚。
かなりマニアックなフィギュアがところ狭しと詰められていた。
角度によっては下着が見えそうだ。にやり。
原点は、ラムちゃんだろうが、知らないが。
依りにもよって、異世界縛り。
変だね。宇宙は。大変。だだだ。
其れは、さておき。
だが、しかし。
隅に追いやられた化粧品達は精一杯主張してみる。
解せぬ。我を奴等と一緒にするな、と。
一方、視界をズラした僅か、その横。
大きな本棚にはぎっしりと彼女の趣味が詰め込まれていた。
背伸びしても、一番上の棚には届かないのだろうか。
足場の為に少し小さめの三脚が準備されている。
最上段。
すごく長いタイトルの小説がズラリと並んでいる。
いわゆるライトノベルだ。
または、文庫サイズや、振り回せば凶悪な武器にもなりそうなほど分厚い一般の小説も数冊置いてある。
重そうな本は極力、中段ないし下段に設置した方が良いと思うのですが。
あぁ。地震の度に思い出す……あわわ。
中段はスライド式。
表面、裏面に渡り、男女好み問わずの漫画の数々が神々しさを解き放つ。
各ジャンルが取り揃えられており、これだけで1週間は部屋に引き篭れそうだ。
下段。
誰も知らない。知られちゃいけない。
その美しい物を守りたいだけ。
漆黒のマントで隠された、闇に紛れて生きる怪しいゾーン。
早く人間になりたい。
ちらりと覗いてみる、と……。
同人誌と銘打つ怪しい本達が話し掛けてきた。
『ねぇ、此方の世界においでよ』と。うぅ。ぶるり。
うむ。見なかった事にしよう。
勿論、現役の女子高校生なので勉学に励む為の参考書なども欠かせていない。
勉強机に添えられた細目の棚ではあるものの寧ろ、その層は無駄に分厚い。
貴女……勤勉ですネ。
…………
いーや。怠惰デス。
勉強机とは別に用意された机の上には、最新型のパソコンと共に様々な周辺機器が取り揃えられていた。
聖域である。ジェミニはいない。
準備万端!
環境は整えた。
さぁネトゲだ。エロゲーだ。エロ動画だ。
祭りだ祭りだ。豊年祭りだ。大漁祭りだ。
どの掲示板を荒らしてやろうか。
誰のブログを炎上させてやろうか。
わっしょい。わっしょい。わっしょい。
それ、それそれお祭りだ。
いや、違う。
違う違う。そうじゃ、そうじゃ無い。
そういう事をしてはいけない。
というか、そういう訳にもいかない。
イキたくてもイケない。イケないコトかい?傷付いても。
はぁはぁ。もちつけ、ぺったん。
今、カナミの部屋には、まだ彼女が幼かった頃にお呼ばれされて以来。
数年の月日を経て、久々に招待された幼馴染みが居るのだ。
変態を越えた天才だか、天才を越えた変態だか。
エルフを越えた変態だったかな。
バビロニア=バベル教授の屋敷を後にした彼女達は、再度、魔術師バレンシアによって現代世界へと帰還を果たした。
どうやら今回は緊急召喚されなかったようで何よりです。
くたくたになりつつも、午後の授業を終えた彼女達3人は一旦それぞれ帰宅した後、カナミの家に集まり会議をする事にしたのだ。
果たして、真面目な会議など彼女達に出来るかどうか。乞う御期待。
ひとりは剣の道にその身を捧げた武士。
いや、剣道ガールの女子高生トール。
カナミのベッドに座り込み、チラチラ辺りを伺っている。
そわそわ。
どうやら彼女は枕からはみ出ていた本が気になっておられるご様子。
なんだろう……。目線は自然とそれを追う。
見付けた気になる文字。
フタナリ。
……何に蓋をするのだろう。
ナリって事は、コロ助が関係しているのだろうか。
これは蓋ナリ。これはフタナリ。
剣道を始める切っ掛けとなった偉大なる御方が関わっておられるのならば然り。
きっと素晴らしい内容で有るに違いない。
ぴらっと開いたページに驚き、顔を赤らめた彼女はその本を投げ飛ばそうとした。
なんて事をしやがる。
咄嗟にその聖典を優しく抱き締めたカナミは珍しくトールを睨み付けた。
てか、そんな所に置いておくな。そして元の枕元に戻すな。
もうひとりは活発系ヒロインのヒナ。
暇さえあれば全力疾走で息が切れるまでジョギングに励む脳筋女子高生。
そういえば、今日、部活に顔を出すのを忘れていた。てへ。
こう見えてヒナは弓道部のエースなのだ。
つよし……じゃなかった。ヒナ、しっかりしなさい。
そんな彼女は、カナミの部屋に散乱している物には全く興味がないようだ。けしからん。
「で……どう? 上手くいきそう?」
いぐぅ。らめぇ。
ヒナの問いに答えるべく、思考をひとまず纏めあげようとするカナミ様。
ぽくぽくぽく……ちーん。
このはし、渡るべからず。
なら、大ジャンプで。とりゃー。
ややもして、一息置いた彼女は最善の解答を示し出す。
「んとね~……ギリギリかも?」
一同…いや、他のふたりが揃って某芸人達の如くずっこける。俺も。
というのも、先程紹介したようにカナミ以外のふたりは直感タイプなのだ。
言うなれば、響きは悪いが……知力を使わなければいけない状況では
カナミに委せっきりだと言う事にままならない。パパなら有り。
「何かいつも……まかせてばっかで。ゴメンね……」
ヒナはカナミに素直に頭を下げた。
への字口に唇を曲げる。どんぐり眼ではない。
だが、それは相手を信頼している証しなのだ。
「やめてよ~ヒナちゃん、頭あげて……ね? 大丈夫だって……多分」
絶対に、とは言わない。
何故なら、物事に『絶対』など無いのだから。
「そうだな。ウチの道場にも……心強い方々がおられる訳だしな」
トールは実家の剣道場に頼る事にしたのだろうか。
ニヤリと不敵な笑みを浮かべている。
若干、頬を朱に染めたように見えた。ぽっ。
「そうだよね……うん! でもさ。アタシ何の役にも立ってないからさぁ……」
「良いから良いから! ヒナちゃんにはその時、たっぷり活躍してもらいます~♪」
「……うん!分かった!」
気合い十分。ファイトいっぱつ。リポビタンな握り拳は己を奮起させた。
流石は活発系女子高生のヒナ。
経験もないのにシャドーボクシングを始める。
その意気や、よし。
だが、そういうのは自分の家でやってください。迷惑きわまりない。
「えと、これと~……これと~……んでこれも~……」
大きめのリュックに夢や希望を詰め込むカナミ。
違う。いや、あながち間違ってはいないか。
何やら来るべき戦いに備えての準備らしい。
ん? ちょい待ち。それは要らんだろ。
「あとは~……連絡待ちだね~。ずっと気を張っててもしんどいからさぁ。ゲームでもしてよっか?」
そう言うとカナミはベッドの下からエロい本…じゃあない。
少し古くなり煤けた箱を、ボードゲームを数本引っ張り出してきた。
確か人生を歩むヤツだとか物件を買って人を嵌めるヤツだ。
「懐かしいな……昔、皆で遊んだよな」
「あ、そんなことあったよね……」
「やだな~もう! ふたりとも! まだアタシ達、若いんだから~」
遠い目をして懐かしむふたりを諌めるカナミ。
そういう台詞自体が年老いた証なのに気付いていないようだ。
会議と云う名の『お泊まり女子会』は、まだ、始まったばかりなのである。
やっちまったよ…とっつぁん…
次回こそは…まともに…多分。
更新予定は…土日辺りで。てへ。ぺろ。
同日、更に悪のり加筆。
……まだ、ギリギリだと思う。
(;´_ゝ`)