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ドラゴンNO涙  作者: caem
第3章・くだらない。全ての世界に、終末を。
40/96

覆す。そんな不条理、認めない!!その6。

再び異世界。

目まぐるしく展開していますがご了承ください。


( ノ;_ _)ノ

 様々な研究の成果が並んでいる豪華絢爛な室内。

 一部の奇特な連中なら垂涎ものであろう。


 とはいえ、その成果とやらは公式に王国から認められたものではない。

 唯ひとりの、己を満たす『私物』でしかならないのだ。


 彼はその部屋の中をうろうろと徘徊していた。

 あーでもない、こーでもないとブツブツ呟きながら。


 たまに、お気に入りの人形に載ってみては気分転換をしてみる。


 やはり赤い角を着けたのは正解だったな。

 格好良い。素晴らしい! 約3倍だ!


 ただし、機動力が高過ぎて造った本人でさえ振り回されてしまうのが難点か。

 次はヘルメットを作らねば、な。


 ヘルメットさえあれば大丈夫なのだ。

 彼の赤い人も言っていた。

 「これがなければ即死だったよ」と。


 一頻り、気が済んだところでそれから降りる。

 軽くため息を吐き、再び室内を徘徊し始めた。


 エルフを越えたエルフ。

 マッドサイエンティストな教授・バビロニア=バベルは悩んでいた。

 むむむ。何がむむむ、だ。

 イカン。癖になってしまった。


 ヒナ達の……もとい。カナミからの提案に興味津々で乗ってみたは良いものの

 中々にその作業に取り掛かれないでいたのだ。

 果たして、この計画が成功したとして王国からの見返りは獲られるのであろうか、と。

 地位や名声は再び我が手に還り……今以上にヤりたい放題出来るようになるのだろうかと。




「教授。悪い顔になっていますよ」


 見た目変わっていない気がするのだが、流石は助手。

 一緒に居たのね、気付かなかったわ。

 彼の微妙な表情の変化を看破した助手ロデム。


 彼に造られた生命体なのだから。

 『完全体』なのだから、当然と言えば当然か。


 ピタリと足を止めた教授が机に両手を乗せ体重をかける。

 ズレた眼鏡を掛け直す事なく、その瞳の奥には殺気すら漂っている。


 これまた珍しく、おちゃらけ大好きな彼が酷く真剣な表情を見せていた。




「んんん~、むむむぅ……ロデムよ……『ポイズン』に連絡を……」


「あら。教授ったら……私に御用事でしたの? なら丁度良かったですわ」




 何処からともなく顕れた美女。

 何の魔法だろうか。

 辺りは薔薇に咲き乱れる。

 甘い匂いと鋭い刺が妖しく艶やく。

 まさに、情熱の薔薇を体現したような魔性の女であった。




「それから教授。その名前はとうに棄てていまして、よ? 何処で聴かれているか分かりません。口にしないように」


 滑り込む指は隙もなく、教授の乾いた唇をぬるりと撫で潤した。


 彼女にとって異性を手玉にとるなど容易い事なのだ。

 全く油断も隙もない。


 ぺろ、ぺろり。


 何の意図もなく、突発的に彼女の指を舐めて差し上げる、天才を越えた変態。



「あん! ンもう、教授ったら……。あ、そうでしたわね。私の『毒』は効かないのでしたわね」


「うむ! 我が輩。エルフを越えたエルフ故に! うわはははは!!」


 何時でも何処でも例のポーズを欠かさない。

 両腕を高々と挙げ、相手を威圧するのだ。

 例え目の前に誰もいなくとも。




「に、しても珍しいですわね。教授が悩み事だなんて…」


「珍しくとも何ともないぞ? なぜならば……この世界に産まれたからには、全ての生命は悩んでいるのだから!」


 握り拳を高々と掲げ……天井を見やる。

 何処からともなく光は彼を照らしている。


 おい、おっさん。どこ見てんだ。

 おーい、帰ってこーい。



「で? ポイズ……ではなかったな。シアンナよ。おぬしは如何様で戻ってきたのだ?いや待て……みなまで言うな! 当ててみせやう……」


 意外と頭の切り替えは早いようだ。

 というか、現実逃避が得意なだけなのではないだろうか。



「本当に……相変わらずですわねぇ。教授は……」


「なればこその教授です。そこに痺れる。憧れるのです」


 んなコタぁない。



「……や。ややや! 分かったぞ! さては……見失ったのじゃな? えと、確か……」


「天災の『灼熱』ジャニアースですよ。教授」


「おう。それそれ! どうだ? 当たっておるだろ?」


「……全く。何でもお見通しですのね、教授」


 というか、机に置かれた一際怪しい機械が。


 モニターらしき物とタイピングらしき物が付属されている。

 ……まさか、異世界でインターネットをしているのではなかろうな。


 そう言えば、以前にも『異邦人』と接触したような事を言っていた。

 現実世界に繋がりを持っているのでは……



「まさかあんなに派手で目立つ彼を見失うなんて……はぁ。貴女。同じ完全体として恥ずかしい限りですね」


「あら? 教授に付きっきりで其所から一歩も出ようとしない貴女に言われる筋合いは無いと思いますけど?」


 何やら、ふたり。

 当事者にしか見えない火花が激しく散っておられる。

 察するに…この魔性の女と、幼く可憐な少女の間には相容れないただならぬ関係がおありのご様子。


 然り気無く、放っておいている教授が実にその間柄を現していますな。

 その険悪な雰囲気の最中。

 突然、意外な人物が事態を急転させた。



「へえ……ンだよ、手前ら。やっぱり連るンでやがったのかよ?」



「シアンナ……貴女。つけられていましたのね……」


「致し方ありませんわ?だって私、魔法以外はからっきしですもの」


 どの口が言うのやら。


「お喋りはその辺にして貰おうか。アンタら。ちぃとばかりやり過ぎたな。俺ッちのダチに手を出したンだからな……」




 聴こえてくる声の行方が判明出来ない。

 教授などは「そこか!」「いや、ここか!」などとまるっきり検討違いな場所に長槍を突き刺している。


 類い稀なる知識に、魔術に、魔法に長けた伝説の妖精・エルフにあるまじき行為である。

 エルフを越えたエルフだとか。

 へそで茶を沸かすにも生温い。



「この声、この口調……この雰囲気……この殺気……貴方。『閃光の狼』ですわよね?」



 伊達に、何十年も王国内部でその美貌と魔術と『毒』で勝手気儘に渡り歩いている訳ではない。

 主要人物を虜にするには常に危険が伴うのが当然なのだ。


 依って、人生経験も豊富で…有り大抵の事なら分かり得よう。

 まして、彼女は教授やロデムと同じくして、何百年と過ごしてきた化物なのだから。


 シアンナは彼の者を推測し、誘きだそうと舌を舐めずる。ぺろり。



「その名前で呼ぶンじゃあねぇよ。おッと……妙な真似すンじゃあねぇぜ?」


 何の魔法かは分からないが、無詠唱で行使しようとしたシアンナの右手薬指に填められた指環が砕かれた。

 正確無比なんてモンじゃあない。


 腕輪ならまだしも、たった一指しの指環を寸分たがわず狙われたのだ。


 キラリと僅かに輝く針が、ついでとばかりに五指の狭間に並んでいる。

 何処かがキュッとなる。

 鉛筆やカッターなどで指の間を突き刺した独り遊びを彷彿させた。


 そう。

 ここは既に彼の絶体空間。

 誰であろうと逃げ場など。無い。

 生殺与奪権は彼に有り。


 気配を絶つ事は基本中の基本。

 ましてや、室内の音を操るなどお茶の子さいさいなのだ。


 ごくり……。

 室内は緊張感で満たされる。


「どうやら……あの嬢ちゃんの言ってた通りだッたみてぇだな……」


 すうっと彼……『狼人』パッカードが闇から姿を現した。

 その片手には、この異世界にはまるで不似合いな物が握られている。

 チカチカと、規則的な光のサイン。




『あの~……全部記録してますので~…』


 !?

 某スネークさんも、そりゃ驚くわな。

 『性欲をもて余す』

 ……それは、さておき。


 その物体から声が聴こえてきたのだが、パッカード以外の面子はキョロキョロと辺りを伺っている。

 だが教授だけは直ぐに音源に気付き…好奇心を露にした。



「ぬ……ぬひょ!? な、なんだそれは!? 寄越しなさいッ!!」


 音の発生源を手に持つ狼人に襲い掛かる教授。

 だが、隙だらけなので避けるのは容易く。

 どうやら身体能力は皆無に近いらしい。


 パッカードはヒラリと身を翻し、教授は床に接吻した。

 常軌を逸した眼を浮かべ、部屋の床を一心に舐めている。べろべろ。

 う~ん。キモい。




『言質、捕りましたよ~?』


 唯の女子高生とは言い難く。


 カナミは彼等を手駒に取る事に成功したのであった。


何本か同時進行で書いているのですが……

間に合わねぇな(笑)


実力不足は如何せん……

ぼちぼち。纏めて読んでくださいな(笑)

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