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ドラゴンNO涙  作者: caem
第3章・くだらない。全ての世界に、終末を。
35/96

覆す。そんな不条理、認めない!!その1。

さて……追い討ちしておくか……

プロローグに続き……もう1本イッときます!

 屋上での昼食を済ませた女子高生仲良し3人組は腹が朽ちたのか横になっている。

 川の字になり、ゆっくりと流れ行く雲を眺めていた。あ!あれは天空の城…ではない。


 真夏の代名詞、入道雲にはまだ少し早い時季だ。

 丁度、過ごしやすい。羨ましい。

 暑いのは勘弁して欲しい。


 時折、心地好い風が吹き荒ぶ。

 とはいえ。体温を冷ます程度には少し軽いが。

 麗若き、『新陳代謝』という発熱には程遠い。


 発汗や、食事による消化を促さんとする体質を、火照りゆく身体を。

 少しでも冷まそうと微風は懸命に女子高生達を撫で回していた。ペロペロ…いや、そよそよと。

 いやらしい風さんだな。あやかりたいものだ。






「……平和だね~……」


「ああ。普通が一番だな……」


「え? トールが言うの? だって一番普通じゃあないのに」


 要らない突っ込みをした事でヒナはトールから本当の突っ込みを受ける。

 咄嗟にガードしたつもりだったのだが、裏拳まがいの手の甲は充分痛かった。

 突っ込みにも手を抜かない全力少女。

 躓いて転んでいたら置いていかれるのだ。


 彼女達3人は各々、つい先程まで居た異世界での出来事を顧みる。いや、まだ終った訳ではない。

 遅々として話が進まないのは何故だろうか。

 ま、そんな事はどうでもいい。


 あ、そうそう! どうでもいい、ついでに説明しておこう。


 彼女達3人が異世界に召喚されたり現実世界に帰還した際、着衣も入れ換わるようである。

 よって、今の彼女達にはファンタジー世界ならではの革鎧や弓や長剣などの装備はしていない。

 ちゃあんと『今風の女子高生姿』をしているのだ。


 「スカートが短い!」などと眼鏡をかけたグラマーな風紀委員や、校門前で「ここから先へは通さん!」とばかりに待ち構える教師に言われない程度には。

 だが、トールは引っ掛かるかもしれない。

 身長が180近く未だ発展途上国。

 何度か国に注文し更新してはいるのだが、制服が今ではぴっちぴちで…スカートの裾からは逞しい生足が御目見えしておられる。眼福、眼福……。

 健康的な、適度に褐色を帯びたふとましい脚はそれだけで充分魅力的なのだ! 断言する!






「便利な世の中になったモンだよね~…」



 飛行機雲がその帯を散らかしてゆく空を見上げながら、ふと呟きを漏らしたカナミ。うんうんと二人も頷く。俺も。



 あの異世界大陸ファンタジスタでは、多少は慣れたつもりだったのだが、思い返せば、やはり不便が目立つ。

 あくまでも、彼女達3人は現代の女子高生なのだ。


 便所、風呂などは特に不自由で、行く先々で不愉快な思いをしたものだった。

 無論、シャンプーやリンスなどは無く、馬の背油で加工された石鹸で頭を洗わなければなかったのには少し引いた。

 いわゆる、旅館などでたまに見掛ける『馬油石鹸』なら良いのだが…異世界でそこまでクオリティを求めてはいけない。


 ただし彼女達3人は、森や川や田畑などの自然に恵まれた田舎での暮らしも経験していたので、昨今の都会の女子高生より馴染めたのはそのお陰かもしれない。


 まぁ、それ以前に異世界に喚ばれてはその度に生きて帰ってきているのは評価すべきだろう。

 または、それこそが魔術師バレンシアが3人を選んだ理由なのではないかと思ってみたりする。


 というか、ヒナとトールは高校2年生、カナミは高校1年生。

 そろそろ受験や進路を決めていかねばならない。大切な時期なのだから召喚しないで欲しい。




「さて、と~……」


 始業のチャイムは未だなので、寝転びながらスマホを取り出しネットゲームに興ずる事にする。

 多分、家でもベッドで寝ながらスマホを弄んでいるのは確実であるカナミ。

 最近少し腹回りが気になっていたが、異世界での訓練で搾れただろう。

 うん。そうだ、そうだ。




「え……なに。これ……??」




 ネットニュースを見たカナミは既視感と戦慄を覚えた。更に別の動画サイトでも再確認する。

 そう。そこに映っていたのは…あの『暴虐』という悪魔に連れ添っていた別の悪魔だったのだから。




「んんんッ!? ……何か……おかしい……」


 食い入るように動画を眺めていた彼女は、更に、ある事に気付いた。

 あらゆる角度からの動き。まるで演出のように。映画のワンシーンのように『空撮』されている事に。


 それは明らかに固定された監視カメラ等で撮影されたものではない。

 あの異世界からやってきた悪魔にこのような高度な撮影など出来ない…筈。

 つまり、それは…この地球に協力者がいる事を意味するのだ。




「ヒ…ヒナちゃ~ん……。こ、これ~……」


「ん? どしたの?」


 その動画を何気なく見せてもらったヒナもやがて驚愕を顕にした。



「え……嘘……でしょ……?」


 横で覗き込んできたトールがそのスマホを奪った。

 ピシッていった。

 力の限り握らないで!スマホは繊細なのです。

 というか、なに?その握力…



「そんな……馬鹿な!!」


 ばんな、そかな。


 ……異世界だけでの存在ではなかったのか。

 そこに映っていたのは…


 件の悪魔が一人の人間に乗り込み、その彼が周囲の人達を食べ尽くしていくという惨劇であった。血の1滴も残さずに。


 その咀嚼の方法と速度も尋常ではなかった。


 時には人間の腕から食べ始めては全身を呑み込む。

 または、頭をようく味わってから。子供などはほぼ丸呑みだ。


 顎が最早、人間のそれではない。

 地面にまで開かれた大きな口が『それら』を一瞬で丸呑みにしてゆく。


 面倒になったのか。

 悪魔は口を増やしてみた。身体の至る所に。

 そのまま触れた者を瞬時に咀嚼し食む。

 食む。食む。食むのヒト…いや、悪魔。


 動画を観るに、時間にしておおよそ5分も経っていないだろう。




 そして、その街から、人間は生滅したのだ。




「これ……ヤバくない……」


 マジ(マンジ)

 ヒナは真っ青になった表情を更に縦線で埋め尽くした。

 流れ落ちる冷や汗は滝の如く。

 滝はやがて河となり海へと辿り着く。水分補給は欠かさずに。


「英語だから海外だと思うけど。偽物じゃあないよね~……。だって~……」


 両手で身体を抱き締めて身震いするカナミ。決して身悶えている訳ではない。

 寒いなら、暖めましょう、この俺が。



「あぁ。この姿と、おぞましい感覚……間違いないだろう」



 今直ぐにでも闘えるようにとトールは剣を構えようとしたのだが、その傍らには空になった弁当箱とそれを包む布だけだ。

 箸は「解せぬ」と呟き存在を主張する。

 そうだ、我を使えと。いや、箸では剣になり得ない…かな?


「もしかして~……アタシ達を追ってきたぁッ!?」


「いや。だって……バレンシアさんの所に行くまでそんな気配は感じなかったよ?」


「そうだ。あの時は師匠達も居たんだ。見逃す筈がない!」


「だよね~……。そもそもバレンシアさんが気付くだろうし…」


 3人は揃って首を捻り悩む。むむむ。何が、むむむ。だ

 いかん。癖になりそうだ。シリアスさんは何処へやら。

 こほん。と誰かが咳をひとつ。

 仕切り直す事にする。



 と、その時だった。



 え!? どんな時ッ!? 何処!?

 何処!? 何時よ!? ……

 などという突っ込みはさておき。


 彼女達の頭の中に唐突に声が飛び込んできたのだ。

 世界を越えて。


 思わず頭を抱えるカナミは「うぅ。お兄さん頭が痛いよ~」等と宣っているが然り気無く放置する。

 そもそも、彼女は昼飯に脳味噌入りのシチューなど食していないのだ。

 あと、兄貴も居ない。



「緊急事態につき、貴女達を再召喚します。ご了承ください」


 テレビ番組で何の不具合があったのか突然デカデカと表示されるテロップを彷彿させる。

 そう言えば最近観ないな。




 理不尽極まりない魔術師の一言だったが、今回は仕方がないと納得したのか。


 女子高生3人組は高校の屋上から姿を消し異世界にお喚ばれされるのである。


気になった方々は私のタグを見てください!

ちゃあんと『悪のり』と記載していますので(爆)

( ノ;_ _)ノ


次回は、近日中にアゲる予定ですが……遅れたら、ホンマに申し訳ありません……


(´-ω-)人


すみません……


9月2日現在。

本文を読み直しながら加筆・修正致しました。

ご了承頂きたく……


m(;∇;)m

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