プロローグ【地獄の始まり】
第3章。前置きです。
ちょい短めですが‥ご容赦くださいませ…
その日、世界は衝撃的な知らせに怯える事となる。
折り重なる層が岩肌を造り上げ、朝日は美しく染めた。
時と場合によってその輝きは様々な色合いを映し出している。
渓谷は何処までも果てしなく拡がりを見せ付けた。
それがいつ始まったのか、東と西の渓谷は同時に形成されたのかそれとも独立に生まれたのか。
いつしか其の名は『グランドキャニオン』と呼ばれた。
「……はぁ、はぁ……。や……ッた……? 成功した……のか!?」
その者は余程疲れていたのか、汗を酷く流しながら大地を両手で掴み身体を支えていた。
やがて息を整え、次第に口許が緩み始めた彼の邪悪さが増す。
「クッ……クククッ……クククククッ!!」
奇妙な笑い声を発しながら、ゆっくりと立ち上がる。
山羊の王を彷彿させるような漆黒の角を持ち、背中には地獄で燃え盛る炎のような真紅の翼。
『悪魔』と云われる存在だ。
「グランヴィア様。成功致しましたッ!!」
両手を広げ声高々に蒼空を仰ぐ悪魔。
頭上を流れて逝く青雲が、その雄叫びに呼応したのか霧散してゆく。
「うむ。計画通りに実行しろ」
その者の傍には誰もいない。
どうやら彼にしか聞こえていないようだ。
「さて……先ずは媒体の選別を……」
そう言うと垂れゆく涎をそのままに。
彼の頭に生えている角から常人では聞き取れないような音波が流れる。
暫くして彼は、ある一方向を見定めた。
「見つけ……た!!」
そこから遥かに遠く離れた場所で……
サングラスをかけた屈強な男性が、広い公園の外周でランニングをしているのが見えた。
悪魔は一瞬にして彼の目の前に現れる。
「What!?」
「あ? 何を言ってるのか分かりませんが……まぁ、良いでしょう」
悪魔は突然その男性の口の中へと滑り込んだ。
その光景を見ていた他の散歩客が幻覚でも見たのかと茫然と立ち止まる。
次の瞬間、男はバタリと地面に倒れ込んでしまった。
「Are you ok?」
「Are you all right?」
突然倒れた男性を気遣い、声を掛ける数人の散歩客。
片手に持つ携帯電話で救急のコールをしようとする者もいた。
「……ち……相変わらず何を言ってるのか分からない……しかも魔力が……生命力が全然足りない……とりあえず……お前ら……全部……寄越せ!!」
その日、地球の何処かの街で、人間は生滅した。
「What happened!?」
「No……sorry……I don't know…」
「But……that's emergency!!」
※以下、訳します※
「何が起こって……いや、アレはいったい何なんだ!?」
路上の監視カメラに写ったそれは異様な光景を見せ付けた。
引き続き、その動画をこと細かく、紛い物ではないのかと
モニタールームに集まった面々は目を凝らしていた。
「あぁ……何てことなの……」
「……クレイジーだ……こんなのはあり得ないッ!!」
「しかし、現にあの街の住人達とは全く連絡がとれないし、姿形も確認出来ていないんだ」
「で……あくまでも! 仮説だが! この状況が真実として……何でネットにアップされているんだ! セキュリティはどうなってる!?」
「プログラムに異常は見受けられない……高度に仕組まれたウイルスか、または……。どちらにせよこのまま放っておく事は出来ない」
「じゃあ早く対応しろよ! 何人……いや、どれだけ費用を掛けてでも! 今すぐにだ!」
「待って! 大統領からの緊急メールだわ……あぁ、何てこと……」
「嘘だろ……そんな……ははは……」
「仕方がない。それがくだされたのならば。さぁ、我々も待避しよう……」
何処か遠く離れた地で、偉大なる統治者は指令を下したのだ。証拠を隠滅せよ、それを爆撃せよと。
…………………………
こことは違う世界。異世界大陸ファンタジスタ。
今は寂れた廃墟の一室でふたりは向かい合い、漆黒に染まった水晶球を見詰めていた。
「どうやらデルメトは成功したようですな」
「うむ。だがまだまだ『竜の涙』が必要だ」
「ですな。ならば……再び機を以て奴等から奪いましょう。前回は失敗した…という事は奴等の手にある、というのが最低限の条件かと」
「うむ。バルテズール。貴様に一任する」
「は。必ずや…………」
ふたりは席を立ち上がり、それぞれ違う道へと歩み始める。
闇に紛れていく彼等の、崇高なる計画が始まりを告げたのである。
『くだらない、全ての世界に、終末を』
地球と異世界を行ったり来たりするかもです。
ちょいと読みづらいかもしれません。
重々、ご容赦くださいませ……
m(;∇;)m




