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ドラゴンNO涙  作者: caem
第2章・完全敗北、そして立ち上がる。
29/96

いきなりボス登場。JK達、雪辱を誓う。その17。

さて、週頭なので更新ッ!

第2章ラストでございます。

「で。もう言い残す事はないか?」




「いや! 俺ッちは、な? その……アイツが幸せになれば、ッてよ?」


「そ、そうそう! だからアタシは関係ないの~」


「うおいッ!! 裏切ってンじゃねーよ!?」


「てか……良かったね。トール……。先越されちゃった…」


「違う。そうじゃあない。アタシは初めから嵌められてたのかって聞いている」


 抜き身の長剣を片手に仁王立ちのトール。

 バレンシアの屋敷のとある一室で3人は彼女に正座させられ、説教されていた。


 あの……とてつもない初告白を彼等に視られた。

 いや、あの状況にさせられた……。

 辱しめを受けた。


 もし、初めから彼処に居たのなら、その場で話してくれれば良い。

 何もあんな行為は……恋などには発展しなかったかもしれない。

 いや、あれはあれだ。とても良かった。いや、そうじゃあない。


 思い出し、頬を真っ赤に染めていく彼女を余所に、ヒナ達はそろりそろりと部屋を出ようとする。

 だが、心と体は別なのか。トールの長剣は彼等の首元を捕らえていた。


「ひいッ! す、すすす、すまんかった!」


「このヒトの首で勘弁してください」


「うおいッ!? 売ってンじゃねーよ!?」


「……はぁ。もう良い。分かった」


「え? 何が分かったの? トールッち? まさか……ホントに首チョンパしないよね?」


「……して欲しいのか?」


 ギラリと剣をパッカードの首元に宛がう。僅かに斬れた。血が滲む。

 今宵の斬鉄剣は……トールは血に飢えておる。



「兎に角。今後は余計な事はしないと誓え」


「「「はい! すみませんでした!!」」」


 どうやら謝罪の意は示されたようだ。剣を鞘にしまい3人を解放する。

 これ以上の薮蛇は禁物だと見切ったパッカードなどはそそくさと部屋から逃げ出した。




「でも、さ~…良いの? せっかく、ねぇ……『ちゅー』出来たのに」


「言うなァッ!! うあぁぁぁ……は、恥ずかすいぃぃぃッ!!」


 こんな彼女は見たことがない。いや、見たくない。

 顔を両手で塞ぎ、床をゴロゴロ転がり回っている。


「そっか……トールはあのヒトの事好きだったんだね……」


 更に追い討ちをかけるヒナ。

 頭から『灼熱』を放出させてしまうのではないかと思う程に興奮し恥じらう。ぽっぽー、シュッポッポー、汽車はゆく。

 これ以上は耐えきれないと部屋から離脱しようとしたトールだったのだが、咄嗟に彼女は背後から抱き締められた。

 ヒナが彼女のお腹に手を回して抱き付いている。ふと甦る記憶がトールに一瞬危険信号を送った。

 だが、決して、高角度原爆固めの体勢ではないようだ。

 ヒナは彼女の背中に額をくっ付け、甘えるように呟いた。




「……一緒に、帰ってくれる……?」


「……ああ。今のままでは……今の自分ではまだまだ子供だからな……」


「だよね~。でも、トールだけじゃあないよ。アタシ達みんなまだまだ子供だモン……」


 厳しい訓練はしたつもりだが、自分達の人生経験不足は否めない。

 この異世界で例の目標『真竜の涙』を得るということも含め生きて行く為には。

 先ずは現実世界でも自立していかねば。『大人』にならねば、と。

 そう判断したのは強ち間違いではないのだが少しズレている気がするのは、さておく。



「じゃ、行きますか!」


 新たなる決意を以て、彼女達は改めて『偉大なる魔術師バレンシア』の待つ部屋へと赴いたのだった。




「失礼します!」


「……どうぞ……」


 扉を3度程に軽くノックをしてその部屋へと足を入れる。

部屋を取り囲む様にして、本棚が四方に並んでいた。

 少し威圧感がある。普段は図書館などに行かない彼女達はこの部屋に入る度に緊張していたのだ。


 正面には一人机があり、手を組んで彼女達を待ち構えていた。

 魔術師バレンシアはゆっくりと席を立ち上がり、部屋の中心部へと歩みを進めた。

 つい先程まで仕事をしていたのか、彼女は少し窶れているように見えた。



「大丈夫……ですか?」


 素直にヒナは心配の声をかける。他のふたりも彼女の様子に正直戸惑いを隠せない。

 何せ今から、現実世界へと帰還する為の魔術を施すのだ。


 ヒナ達は自分達もあの『灼熱』を解放した後、即座に激しい睡魔に襲われ今まで感じたことのない疲労感に満たされた。

 虚脱感とでもいうのだろうか。

 だと、すれば…このような『召喚』魔術ともなれば自分達が感じたものとは半端じゃない程の体力や精神力を必要とするのでは……。



「ご心配、ありがとうございます。ですが、大丈夫です。『召喚』はともかく『帰還』はそこまで疲れませんので」


 というより、失敗しては困る! と言いたかった。出来れば万全を期して欲しい。

 あれ? 彼女の心配をしていない? 自分達の心配ばかりしている……。

 いや、断じてそうではない! ちゃんと彼女の身体を心配しています!


 

「なら、良いんですけど……ちゃんと休んでくださいね?」


 うんうん、と他のふたりも頷く。

 よし、流石はヒナだ。なんともないぜ。


「では、皆さん。陣の中心部へと……」


 その部屋の床一面には広く大きな魔方陣が描かれていた。


「宜しいですか?」


 こくり、と頷く女子高生3人組。

 ちなみに、この場には他の面子はいない。

 一応、この召喚魔術は禁術なので他の者に見られてはいけないのだ。


 ただし『紅の蜃気楼』の面々だけには異世界から召喚された事を告げている。

 今回だけはバレンシアからも了承を得られたのだ。

 勿論、彼等も他の人に言うつもりも無ければ言う事も出来ない。

 何故ならば彼等もバレンシアの強大な魔術を喰らいたくないから。

敵に回したくないという本音である。


 彼女に深く関わった時点で既に彼等も被害者なのだ。

 それについては、まことに御愁傷様としか言いようがない。



「では、また。突然喚びだす事にはなりますが」



 彼女はそう言うと詠唱し始め、その術式を解放する。

 辺り一面に光が満ちてゆく。まばゆい光が照らされる……






……………………






 晴れ渡る蒼空をひとすじの飛行機雲が突き進んでゆく。


 眼下の校庭では、自分達以外の女子高生達や男子生徒が携帯を片手に各々青春を謳歌しているようだ。


 3人の女子高生達は今、普段は立ち入り禁止になっている屋上にて

現実世界へと帰還を果たしたのだ。


 気付けば、目の前には食べ掛けの弁当箱があった。




「あ。そういえば……お昼食べようとした時だったね……」



 3人は改めて、思う。


 召喚される時も選ばせてくれないか、と。


ふいぃ。茶番は終わりました。

いや第3章開始前に、ちょいエピソードを挟むので…まだまだぁぁぁ!


すんません。

もうしばらくお付き合いくださいませ!

( ノ;_ _)ノ

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