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試し書き

作者: ruin

 「フハハハハ、この力で奴の息の根を止めてやる。長かった、ようやくこの日がやってくるのだ。奴の支配から逃れるために沢山の仲間が犠牲となった。アンジェ、ヒューイ、梅太郎、お前たちの無念俺が晴らすぞ。」バコッ、プツン………


「…さい。…きなさい。」そう言って俺の体を揺さぶっている女がいる。聞きなれない声に目を開くと知らない女が覗き込んでいた。「起きなさい。いつまで寝てるの、早く支度しないと学校遅れるわよ」この女は何を言っているんだ。うるさい女を黙らせるために俺は女の顔に手のひらを向け、炎の魔法を打ち込んだ。「フレイム」……

「あんたまだ寝ぼけてるのかい、いいから布団から出なさい」な、なぜ魔法が出ない。この女は上級魔道士で俺の魔法を封じる結界でも張っているのか。「アイス」「ウィンドウ」ほかにも試したがどの魔法も使えなくなっているのである。俺がきょとんとしていると「ほら、そんな顔してないで顔洗って歯磨きしてきなさい」とこの女はまた、俺に命令してくる。そもそも、ここはどこだ。俺はエスターナの宿に泊まっていたはずなのだが、この部屋は女キャラクターのポスターが壁一面に貼られているではないか。この失礼極まりない魔道士と見知らぬ部屋、これから先俺に何が待ち受けているのかその時の俺はまだ知る由もなかったのである。



 アイちゃん待って僕を置いていかないで…。ハッと目を覚ますといつもの僕の部屋じゃない。ここはどこだろう。アイちゃんのポスターがない、お母さん勝手に剥がして模様替えまでしちゃったのかな…ってそんなわけあるかい!ひとりツッコミをいれ、今の状況を確認してみる。俺はアイちゃんに置いていかれそうになって目が覚めると知らない部屋にいた。これは夢の中で夢を見ていたというやつではないだろうか。つまりこの世界も夢で俺が想像するとこうやってアイちゃんが…ボンッ。小さな爆発が起こり俺の手のひらの上に火の玉が浮かび上がった。突然のことに驚いて火を握ってしまう。しかし不思議なことに暑くないのである。アイちゃんは出ないけど火の玉は出せる。これはいわゆる魔法なんじゃないのか、夢の中で僕は魔法使いになったらしい。とりあえずここを出て他に何ができるのか試してみたい。僕は荷物をまとめ部屋を後にした。



 鏡で自分の姿を確認したとき俺はこの世界を理解した。鏡に映っていた姿は俺の姿ではなかった。これは魔法の鏡で真実を移さない悪魔のアイテム、つまりこの鏡に案内してきた魔道士は魔族の仲間。どうやら寝ている間に、俺は転移魔法か何かで敵の懐に飛び込まされたらしい。魔法も使えない今は、奴らに騙されたふりをして逃げ出す機会をうかがったほうが良さそうだ。俺は魔道士の言うことを聞いたふりをして脱出のタイミングを探っていた。「もうこんな時間じゃない。早くカバン持って学校行きなさい。」どういうことだ、やつは外に出るように命令してくる、これは罠かも知れない外に出ると敵に囲まれていて、などと考えているとオカアサンと名乗る魔道士はカバンを押し付け俺を玄関まで追いやった。逃げ道をオカアサンにふさがれた俺は意を決してドアに手をかけ外の世界に飛び出した。



 今僕は夢の中で敵と戦っています。僕の夢なので僕は最強です、スライム型の敵が出てきますが魔法で一撃です。あれから外で魔法を試してみてわかったことがあります。残念なことにアイちゃんは召喚することはできませんでした。それどころか、どんなに念じてみてもアイちゃんに関するアイテムを見つけることはできないのです。僕の夢なのに僕の大好きなものがない、不思議な夢ですが、たまにはこういった俺強ぇーって感じの夢を見てストレス発散するのもいいかもなんて考えていると遠くから助けを呼ぶ声が聞こえてきた。「嫌だー。死にたくないー。」すごい台詞が聞こえてきて僕の夢はどんな方向に向かっているんだとぼやきながら助けに行く。男の人を助けるなんて正直気乗りがしない、どうせならアイちゃんみたいな美少女だったらいいのにと思いつつも目の前のモンスターを魔法で攻撃する「ファイア」ボンッ。爆発の煙で目の前が見えないが、どうせコイツも一撃だろう。そして助けた男の人の娘さんと…。「うわー…」グギッ。男の人の叫び声が途切れた。僕の魔法の巻き添えになってしまったのか、力の加減がまだ難しいなとのんきなことを考えていた僕の思考は止まってしまった。煙が消えたそこに映っていたのは、首がありえない方向に曲がってしまった男の人と、僕の攻撃を受けたはずのモンスターだった。



 俺と同じタイプのカバンを持ち同じ方向へ向かっていく人々、人を乗せ馬よりも早い速度で移動する鉄の乗り物、ドアの向こうに広がっていた世界はあまりにも俺の知ってるものと違っていた。とりあえず敵に囲まれていて集中攻撃をされるという最悪の状況だけはなかったようだ。そしてオカアサンの巣食う家を脱出することにも成功した。俺はようやく自由になったのだ。「おはよう、はやと」背後から男が襲って来る。俺が反応するより早く肩を叩き横に並んできたこの男、歩くペースを合わせてくる。余裕そうにしているところを見ると、どうやら俺を挑発しているらしい。お前は俺の速さについてこれるかなとでも言いたいのだろう。たしかに先程は背後からの攻撃に反応すらできなかった。しかし隙を見せている今なら、俺の強化魔法で速度を上げ、奴の後ろをとってやることなどいとも容易いことだろう。俺は速度強化の魔法を唱えた「クイック」そしてやつの反応できない速度でオハヨウをやり返してやった。はずなのだ、クイックを使い常人では認識できない速度で動いているハズの俺と目を合わせたままこの男は笑っているのである。「どうした、はやと。いきなり俺の後ろ回って。クイックだっけ、なんだそれ。それより時間やばいし学校まで走るぞ、競争な。」そう言って走り始める男。俺は奴を逃がさないように、同じカバンを持った人々の集まるガッコウと呼ばれる城に向かい追いかけたのである。



 僕は走っていた。目の前で人が殺されたのである。夢だと分かっていても怖かった。ただひたすら走って逃げた。どれぐらい走ったのか覚えていない、気が付くと日が落ち始めていた。先程までの疲れがどっと押し寄せ、一歩も動けなくなった。夢なのにどうして疲れを感じるんだと疑問に思った。思ってしまった、もしかするとこれは夢じゃないのではないか、さっきの男の人は本当に殺されてしまったんじゃないか。でも魔法は使える、僕は今どうなっているんだ。あたりが暗くなり、明かりは遠くに見える街の灯りだけになったとき、恐怖が僕を支配した。早く街に逃げないとさっきのモンスターが襲いに来るんじゃないのか。疲れを忘れ僕は街に向かって走り出した。「待ちなさい。」暗闇から突然声をかけられ僕は動けなくなった。「あなた、もしかしてバン。」恐る恐る振り返ると見知らぬ女の人が立っていた。しかしよく見ると、耳が人間のそれとは違っていた。僕の今までのアニメやゲームの知識を引っ張ってくるとこの女の人はエルフっぽい何かだった。「こんなところで何してるの、アンジェお姉ちゃんは一緒じゃないの。」知らない名前が出てきた、まず、どうやらバンってのは僕の名前らしい、そしてアンジェっていうのは目の前の女の人のお姉ちゃんみたいなのだが聞いたことない。僕は目が覚めてからずっと一人だったし、現実世界でもアンジェなんて知り合いいない、僕は今に至るまでの話を正直にした。僕はバンじゃなくて、はやとって名前だってこと、さっきモンスターに人が殺されたこと、アンジェさんは知らないということ。全て話すと彼女は僕が何者か教えてくれた。僕はバンという名前だということ、モンスターを倒すハンターだということ、アンジェさんと一緒に魔王を倒しに行ったということ。彼女の話はあまりにも現実からかけ離れていて、恐怖に支配され視野の狭くなっていた僕の目を覚まさせるのには十分だった。やはりこんな現実はあるはずがない、僕の夢はとても設定が凝っているなと感心させられた。とりあえず今日はもう暗くなるから彼女の家に泊めてもらうことになった。


途中だけど試し書きだから おしまい

寝る前にちょっとだけって書き始めたらもう朝ですよ。気をつけたいね。

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