4.
冷蔵庫の中には、ろくなものがなかった。飲みかけのコーラのペットボトルに、いつのものか分からないチョコレート。それに、各種の酒。
おいおい、僕はこんなもの食べて暮らしてたっけ?
さすがにそりゃないだろ、と自分に突っ込みを入れていた僕は、戸棚にカップラーメンの類をしまってあったことを思い出した。
とりあえずチョコレートだけとって、包み紙を何とか前肢と口でこじ開けてかぶりつく。甘い味が口の中に広がり、ほんの少しだけ幸せな気分になった。
後ろ足でドアを蹴って冷蔵庫を閉めた僕は(どうやら仕草までどんどんと猫っぽくなっているようだ)、流し台の下にある、食料を保管しているはずの戸棚を開けた。
おお、何だ結構食糧あるじゃないか。
ほっとして、戸棚に乱雑に放り込まれていたビニール袋に噛み付いて引っ張り出す。
袋の中から出てきたのは、カップラーメンにレトルトカレー、電子レンジで調理するパスタに、缶詰のフルーツ……。
おい、待てよ。どれも猫の姿じゃ調理できないものばかりじゃないか!
せめて電子レンジさえ使えればと思うものの、冷蔵庫の上に載せた電子レンジには、いくらジャンプしてみても届かない。まったく、誰だあんなところに電子レンジを置いたのは……って僕だけど。
まぁ電子レンジが開けられたところで、レトルト食品の袋をきれいに開けて電子レンジでチンして食べる、なんてのはこの猫の手では至難の業だ。
むむむむむ。
こうして僕は、独り暮らしの自分の部屋という、「僕のお城!」なはずの場所で、本気で飢え死にの心配をしなくちゃならなくなったのだった。




