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3.

 再び目が覚めてもやはり僕は猫のままだった。

 目が覚めたら猫だったのだから、もう一度目が覚めれば元に戻っているかもしれない、という僕の淡い期待は叶わなかった。

 いや、僕はいったいそれを期待していただろうか?

 目を覚まして自分がまだ猫であることを確認した時、間違いなく僕はほっとしていたのだ。人になど戻りたくはない。いまさら人の姿に戻ったところで、僕に居場所なんてないのだから。

 自分が猫であることを確認してほっとした僕は、また丸くなった。僕は猫なのだ。あくせくする必要なんてない。ゆっくりともう一度、優しいまどろみの中へ落ちていく。

 猫になって初めて、自分が世界に受け入れられたような気がしていた。


*  *  *  *  *  *


 腹が減って目が覚めた。

 カーテンから差し込む光は幾分傾きオレンジがかっていて、今が夕方であることを僕に教えていた。

 猫としての当面の問題は、食べることだった。

 僕は仕方なくベッドの上から飛び降り、部屋の中を物色した。

 猫の姿では、部屋がやけに広く見えた。とりあえず食べるものを、ということで僕は冷蔵庫へ向かった。台所の隅っこで、一人暮らし用の白い小さな冷蔵庫が静かな部屋の中にかすかな駆動音を響かせている。

 冷蔵庫の扉を開くのは困難かとも思われたが、柔らかな毛に覆われた前肢は意外にも器用に動き、僕はちょっと背伸びをしさえすれば難なく冷蔵庫を開けることができた。

 冷蔵庫の冷たい光が、薄暗くなってきた室内を静かに照らした。


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