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1.

10話完結です。短いお話ですので、さくさくと読んでいただけると思います。お付き合いください。

 朝目が覚めると猫だった。

 「朝目が覚めると自分が巨大な毒虫になっていた」とかいうのが、ドイツかどっかの有名な小説にあったような気がする。

 毒虫ってやだな、気持ち悪い。猫の方がだいぶましか。

 吾輩は猫である。名前はまだない、ってね。

 いやいや、気取ってる場合じゃないぞ。これはなかなかに大変な問題だ。

 目が覚めるまでは、いや少なくとも昨夜眠りにつくまでは、僕は人間だったはずだ。会社から疲れきって帰ってきて、倒れこむようにベッドに入って……目が覚めたら猫だ。

 こんなことってあるもんなんだな。絶対ありえない、と否定してみたっていいけど、まぁ実際そうなってるんだからしょうがない。

 気がついたら体中茶色くて柔らかい毛に覆われてるし、自分の手を見たってそれはどう見ても猫のものだ。無類の猫好きの僕が言うんだから間違いない。猫の手を他の動物の手と間違えるなんてこと、僕に限ってはありえない! ってそんなこと自慢したって何にもならないけど。

 試しに、洗面台に昇って(さすが、猫になっただけあって、自分の背よりも高い洗面台の上に軽々と飛び乗ることができた)鏡を覗き込んでみた。きれいな茶色い毛並みの猫が、そこにいた。どうやらまだ子猫のようだ。生まれて一年と経っていないようにも見える。うん、なかなか可愛いな。思わず飼ってあげたくなっちゃう。……って、これ、僕か。

 起き抜けで頭がぼうっとしていたせいか、それとも僕の生来ののんびりした性格が原因か。僕は比較的今の状況をすんなりと受け入れていた。普通だったらここ、気が狂っちゃうくらい取り乱すべきところなのかな。まぁ、そんなことしたって何にもならないしね。

 ゆるい頭でぼんやりと思ったのは、「この姿じゃ会社には行けないなぁ」とかそんなことだった。


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