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吟遊詩人の忘れ語り

-獄鎖狗の謎語の鍵-

作者: -Sare-
掲載日:2016/05/06

皆さん今日は。第二話目です。早速ですが今回はケルベロスさんが出て来ます。愛猫家の自分ですが、ケルベロスさんは大好きです。山犬とか、銀狼とかかっこいい!憧れる!其処に痺れる!

 特にケルベロスさんは蛇も付いているし、何より三つ首ですよ!多頭って何だか神聖な気がしますよね。八岐大蛇さんとか、ヒュドラさんとか双頭の蛇なら見た事がありますが、3つ首っていないですよねぇ・・・生物学的には如何なんだろう、出来るのかな。

 とまぁそんな事は置いて置いて、さっさと本題に入りましょう。

 ケルベロスは言わずもがな、番犬です。彼が護る地。其処にあるのは・・・。

 一人(ヒトリ)の男(オトコ)が地獄(ジゴク)の門(モン)を叩(タタ)いた

 其(ソ)の男(オトコ)は生者(セイジャ)だったが、愛(アイ)する者(モノ)を失(ウシナ)ったので、取(ト)り返(カエ)しに彼(カ)の地(チ)迄(マデ)来(キ)たのだ

 男(オトコ)は気(キ)が短(ミジカ)かった

 悲(カナ)しみを癒(イヤ)す間(マ)も無(ナ)く、地獄(ジゴク)に足(アシ)を踏(フ)み入(イ)れたのだ

 再度(サイド)、男(オトコ)は門(モン)を叩(タタ)いた

 男(オトコ)は苛立(イラダ)っていた

 其(ソ)の時(トキ)、唸(ウナ)り声(コエ)と共(トモ)に黔(クロ)い岩(イワ)の様(ヨウ)な物(モノ)が、男(オトコ)の目(メ)の前(マエ)に顕現(ケンゲン)した

 其(ソレ)は地獄(ジゴク)の門(モン)番(バン)、獄鎖狗(ケルベロス)であった

 三(ミッ)つの雄雄(オオ)しい頭(アタマ)を有(ユウ)し、蛇(ヘビ)と化(カ)した尾(オ)を振(フ)るう戌(イヌ)

 爛々(ランラン)と光(ヒカ)る六(ムッ)つの燃(モ)ゆる瞳(ヒトミ)と、十四(ジュウシ)の凍(コゴ)える瞳(ヒトミ)が男(オトコ)を射貫(イヌ)いた

 三頭(サントウ)の違(チガ)いは絳(アカ)、蒼(アオ)、翠(ミドリ)の其々(ソレゾレ)色(イロ)の異(コト)なる牙(キバ)のみで、焔(ホノオ)の様(ヨウ)に、口(クチ)の中(ナカ)は絳(アカ)かった

 我等(ワレラ)は地獄(ジゴク)の誇(ホコ)り高(タカ)き僕(シモベ)、獄鎖狗(ケルベロス)である

 何故(ナゼ)汝(ナンジ)は此(コ)の扉(トビラ)を叩(タタ)くのか

 一(ヒト)つの頭(アタマ)が然(ソ)う口(クチ)を割(サ)くと、男(オトコ)は透(ス)かさず答(コタ)えた

 大切(タイセツ)な人(ヒト)を取(ト)り戻(モド)したいのだと

 其(ソレ)を聞(キ)き、一頭(イットウ)は嘲笑(セセラワラ)い、もう一頭(イットウ)が応(オウ)じた

 でも我等(ワレラ)は生者(セイジャ)は通(トオ)さないと

 代(カ)わりに汝(ナンジ)に試練(シレン)を与(アタ)えよう

 汝(ナンジ)に問(ト)おう

 三頭(サントウ)は良(ヨ)く響(ヒビ)く声(コエ)で言(イ)った


 門(モン)の鍵(カギ)は我等(ワレラ)が有(ユウ)している

 何(イズ)れの我(ワレ)が持(モ)っているのかを当(ア)てよ

 我等(ワレラ)は常(ツネ)に三頭(サントウ)で一頭(イットウ)である

 一頭(イットウ)では愚(グ)犬(ケン)と変(カ)わらぬ

 二頭(ニトウ)では同胞(ハラカラ)と見分(ミワ)けが付(ツ)かぬ

 三頭(サントウ)で初(ハジ)めて獄鎖狗(ケルベロス)となり得(ウ)るのだ

 一頭(イットウ)がいなければ満足(マンゾク)に狩(カ)りを出来(デキ)ず

 一頭(イットウ)がいなければ闇(ヤミ)を一人(ヒトリ)で這(ハ)わねばならない

 一頭(イットウ)がいなければ只(タダ)の肉(ニク)塊(カイ)と化(カ)すだろう

 我等(ワレラ)は常(ツネ)に三頭(サントウ)でなければならないのだ

 闇(ヤミ)の門(モン)番(バン)として

 さぁ、我(ワレ)が求(モト)めるのは力(チカラ)だ

 力(チカラ)は知恵(チエ)である

 勁(ツヨ)さに非(アラ)ず

 汝(ナンジ)の知恵(チエ)を持(モ)って鍵(カギ)を手(テ)にせよ


 試練(シレン)も何(ナニ)もないと男(オトコ)は嘆(ナゲ)きました

 手掛(テガ)かりになる物(モノ)が何(ナニ)もなかった様(ヨウ)に思(オモ)えたからです

 其(ソレ)に男(オトコ)は苛立(イラダ)っていました

 獄鎖狗(ケルベロス)の尊大(ソンダイ)な態度(タイド)もですが、男(オトコ)は気(キ)付(ヅ)いていたのです

 獄鎖狗(ケルベロス)が何(ナニ)も銜(クワ)えていない事(コト)に

 三頭(サントウ)から選(エラ)べと言(イ)うなら、何(ドレ)かが鍵(カギ)を銜(クワ)えているに違(チガ)いありません

 男(オトコ)はからかわれたと思(オモ)い、腹(ハラ)を立(タ)てました

 そして携(タズサ)えていた長釼(チョウケン)を取(ト)り出(ダ)しました

 勁(ツヨ)さは力(チカラ)ではない、汝(ナンジ)が勝(カ)っても得(エ)る物(モノ)無(ナ)き

 獄鎖狗(ケルベロス)の唸(ウナ)り声(コエ)が重(カサ)なります

 殺(コロ)した後(アト)に奪(ウバ)えば良(ヨ)い、男(オトコ)は釼(ツルギ)を振(フ)るいました

 門(モン)の前(マエ)で男(オトコ)と獄鎖狗(ケルベロス)は闘(タタカ)いました

 でも程(ホド)なくして、男(オトコ)の気(キ)持(モ)ちが勝(マサ)っていたのでしょうか

 男(オトコ)は獄鎖狗(ケルベロス)の頭(アタマ)を全(スべ)て斬(キ)り落(オ)としました

 断末魔(ダンマツマ)で呻(ウメ)く中(ナカ)、三頭(サントウ)は口(クチ)を揃(ソロ)えて言(イ)いました

 汝(ナンジ)は矢張(ヤハ)り愚(オロ)かな生者(セイジャ)、此処(ココ)を通(トオ)る事(コト)は認(ミト)められぬ、諦(アキラ)めよ、と

 然(ソ)う言(イ)い残(ノコ)すと獄鎖狗(ケルベロス)は消(キ)えてしまいました

 男(オトコ)が幾(イク)等探(ラサガ)しても鍵(カギ)は見(ミ)付(ツ)かりません

 男(オトコ)は焦燥(ショウソウ)に駆(カ)られ、門(モン)を見(ミ)ました

 其処(ソコ)には鍵(カギ)穴(アナ)と言(イ)うより、楔形(クサビガタ)の切込(キリコ)みがありました

 三(ミッ)つの絳(アカ)、蒼(アオ)、翠(ミドリ)に塗(ヌ)り分(ワ)けられた鍵(カギ)穴(アナ)

 此(コ)の形(カタチ)、色(イロ)、何処(ドコ)かで見(ミ)た様(ヨウ)な・・・

 男(オトコ)は獄鎖狗(ケルベロス)の問(トイ)の真(マコト)の意味(イミ)を悟(サト)り、悲嘆(ヒタン)に暮(ク)れました

 其(ソ)の時(トキ)、男(オトコ)は足(アシ)に痛(イタ)みを覚(オボ)えました

 見(ミ)ると獄鎖狗(ケルベロス)の蛇(ヘビ)が消(キ)えずに噛(カ)み付(ツ)いていたのです

 猛毒(モウドク)が男(オトコ)の自由(ジユウ)を奪(ウバ)い・・・


 程(ホド)無(ナ)くして、男(オトコ)は門(モン)を潜(クグ)る事(コト)が出来(デキ)ました

 死(シ)者(シャ)の行(ユ)く所(トコロ)、其(ソレ)が地獄(ジゴク)なのです

 


  -Fin-


 御疲れ様です。如何でしょう皆さん、ケルベロスさんの謎は解けましたか?まぁ作者自身、謎解きとか全くセンスも知恵もないので難しい事は考えませんけれど。

 謎は兎も角、彼が言っていた一頭がなければ~って伝わりましたかね?あれは頭一つではバンダースナッチ又はブラッディハウンド、二つはオルトロス、三つはケルベロスなんだよ~って事だったんですけれど。其が分かった上でもう一度読まれるとあの謎もより分かりやすくなるかも知れません。(誰が読むかよあんなBadEnd)

 然う言えば此の話、ちょっとパロディっぽくなっているんですよね・・・。其の話上では序盤の部分で此方は終わっているので近くもなんともないと言えば然うなんですけれど。あれです。其処其処有名な物語、振り返ってはいけないあの話です。

 あの話、結構好きなんですよね、BadEndだし。(Badだったら良いのか此奴・・・)足掻いても駄目って所が特に、無駄だよ此の虫けらめ、みたいな。後あの主人公が武器を用いずに地獄へ挑んだ事です。やっぱりね、化物だからって殺すのはいけないですよ。化物じゃない物っていないんですから。全ては常に変化している。化けなければ此の世界は生きられません。

 じゃあ寧ろ全て殺して世界=自分になって、自分は自分と定義して化物を滅ぼす?其も良いかも知れないですね。

 さて、今回は此処迄。では皆さん良い物語を。

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