-獄鎖狗の謎語の鍵-
皆さん今日は。第二話目です。早速ですが今回はケルベロスさんが出て来ます。愛猫家の自分ですが、ケルベロスさんは大好きです。山犬とか、銀狼とかかっこいい!憧れる!其処に痺れる!
特にケルベロスさんは蛇も付いているし、何より三つ首ですよ!多頭って何だか神聖な気がしますよね。八岐大蛇さんとか、ヒュドラさんとか双頭の蛇なら見た事がありますが、3つ首っていないですよねぇ・・・生物学的には如何なんだろう、出来るのかな。
とまぁそんな事は置いて置いて、さっさと本題に入りましょう。
ケルベロスは言わずもがな、番犬です。彼が護る地。其処にあるのは・・・。
一人の男が地獄の門を叩いた
其の男は生者だったが、愛する者を失ったので、取り返しに彼の地迄来たのだ
男は気が短かった
悲しみを癒す間も無く、地獄に足を踏み入れたのだ
再度、男は門を叩いた
男は苛立っていた
其の時、唸り声と共に黔い岩の様な物が、男の目の前に顕現した
其は地獄の門番、獄鎖狗であった
三つの雄雄しい頭を有し、蛇と化した尾を振るう戌
爛々と光る六つの燃ゆる瞳と、十四の凍える瞳が男を射貫いた
三頭の違いは絳、蒼、翠の其々色の異なる牙のみで、焔の様に、口の中は絳かった
我等は地獄の誇り高き僕、獄鎖狗である
何故汝は此の扉を叩くのか
一つの頭が然う口を割くと、男は透かさず答えた
大切な人を取り戻したいのだと
其を聞き、一頭は嘲笑い、もう一頭が応じた
でも我等は生者は通さないと
代わりに汝に試練を与えよう
汝に問おう
三頭は良く響く声で言った
門の鍵は我等が有している
何れの我が持っているのかを当てよ
我等は常に三頭で一頭である
一頭では愚犬と変わらぬ
二頭では同胞と見分けが付かぬ
三頭で初めて獄鎖狗となり得るのだ
一頭がいなければ満足に狩りを出来ず
一頭がいなければ闇を一人で這わねばならない
一頭がいなければ只の肉塊と化すだろう
我等は常に三頭でなければならないのだ
闇の門番として
さぁ、我が求めるのは力だ
力は知恵である
勁さに非ず
汝の知恵を持って鍵を手にせよ
試練も何もないと男は嘆きました
手掛かりになる物が何もなかった様に思えたからです
其に男は苛立っていました
獄鎖狗の尊大な態度もですが、男は気付いていたのです
獄鎖狗が何も銜えていない事に
三頭から選べと言うなら、何かが鍵を銜えているに違いありません
男はからかわれたと思い、腹を立てました
そして携えていた長釼を取り出しました
勁さは力ではない、汝が勝っても得る物無き
獄鎖狗の唸り声が重なります
殺した後に奪えば良い、男は釼を振るいました
門の前で男と獄鎖狗は闘いました
でも程なくして、男の気持ちが勝っていたのでしょうか
男は獄鎖狗の頭を全て斬り落としました
断末魔で呻く中、三頭は口を揃えて言いました
汝は矢張り愚かな生者、此処を通る事は認められぬ、諦めよ、と
然う言い残すと獄鎖狗は消えてしまいました
男が幾等探しても鍵は見付かりません
男は焦燥に駆られ、門を見ました
其処には鍵穴と言うより、楔形の切込みがありました
三つの絳、蒼、翠に塗り分けられた鍵穴
此の形、色、何処かで見た様な・・・
男は獄鎖狗の問の真の意味を悟り、悲嘆に暮れました
其の時、男は足に痛みを覚えました
見ると獄鎖狗の蛇が消えずに噛み付いていたのです
猛毒が男の自由を奪い・・・
程無くして、男は門を潜る事が出来ました
死者の行く所、其が地獄なのです
-Fin-
御疲れ様です。如何でしょう皆さん、ケルベロスさんの謎は解けましたか?まぁ作者自身、謎解きとか全くセンスも知恵もないので難しい事は考えませんけれど。
謎は兎も角、彼が言っていた一頭がなければ~って伝わりましたかね?あれは頭一つではバンダースナッチ又はブラッディハウンド、二つはオルトロス、三つはケルベロスなんだよ~って事だったんですけれど。其が分かった上でもう一度読まれるとあの謎もより分かりやすくなるかも知れません。(誰が読むかよあんなBadEnd)
然う言えば此の話、ちょっとパロディっぽくなっているんですよね・・・。其の話上では序盤の部分で此方は終わっているので近くもなんともないと言えば然うなんですけれど。あれです。其処其処有名な物語、振り返ってはいけないあの話です。
あの話、結構好きなんですよね、BadEndだし。(Badだったら良いのか此奴・・・)足掻いても駄目って所が特に、無駄だよ此の虫けらめ、みたいな。後あの主人公が武器を用いずに地獄へ挑んだ事です。やっぱりね、化物だからって殺すのはいけないですよ。化物じゃない物っていないんですから。全ては常に変化している。化けなければ此の世界は生きられません。
じゃあ寧ろ全て殺して世界=自分になって、自分は自分と定義して化物を滅ぼす?其も良いかも知れないですね。
さて、今回は此処迄。では皆さん良い物語を。