冬空の星に【400文字小説】
ひんやりと空気の冷えた寒い日の夜。
私はなんとなく、星が見たくなって家を出た。
町中では建物の灯りに邪魔をされて星空が見えないから、車に乗って山の上にある展望台を目指す。
街灯や建物の灯り、信号、車のライトが作る人工的な星空の中を進んでいけば、それらは徐々にまばらになり、山道に入るころには自分が乗っている車のライトと時々設置されている街灯の灯り以外はほとんどなかった。
この道は何度か通ったことがあるのだが、少し怖いと感じた。
ヘッドライトの明かりだけを頼りに慎重に進んでいくと、森の木々が途切れ一気に視界が開けた。
「……きれい」
すでに夜中であるから他の車はないだろうと、考えてその場に車を止めてそこから目の前に広がる星空を見る。
ここまで来ても地上の星が明るくて、見えにくいけれど、確かに星空が広がっていた。
残念ながらその後に行った展望台は夜中だからと閉鎖されていたが、とても充実した気分で私は帰路についた。