通報されますた
テキトーに思いついたネタを投稿してみた。
あたしが妹の部屋から出た先、そこは異世界だった。
何で異世界?
直感には全く反応しなかったのに?
あたしは慌てて、背後を振り返る。だが、そこにある筈のドアは影も形もない。
変わりに広がっているのが草原。
見渡す限りの平原だ。所々に木が生えてもいるものの、それらはホントに疎らで、全周囲を見回すことが出来る。
遠くの方では山がそびえているのも見えるが、山々は霞んでいて、かなりの遠距離であることが分かる。
つまり、どういうことなのかと言うと、周囲には召喚者の姿も見えないし、召喚装置の様なモノも見当たらない。
ついでに、頼みの綱のあやめの姿もない。
と言うか、あたしの危機察知に引っかからなかったことから考えても、あやめが犯人な気がする。
うーん。
これは困った。
どうしようか?
なーんてね
こんなこともあろうかと、あたしの準備は万全。
アイテムボックスを開くと、未来の青狸型ロボット風味な口調で秘密兵器を取り出す。
「あやめの使用済みおパンツゥ!」
しかも未洗濯品!
うふふふふふふふふふ。
あやめは何だかんだと言っても、家族思いなところがある。だから、異世界にいるあたしのことをどこかで見ているのは間違いない。
だから、
「うふふふふふふふふふ。早くあたしを元の世界に戻さないと、この使用済みパンツの匂いをクンクンと嗅いじゃうわよ!」
だが、変化はない。
相変わらず、周囲には草原が広がっているだけ。
「嘘じゃないわよお。クンクンしちゃうわよお!」
変化なし。
あれ?
おかしいなあ。
「ホントのホントよ!」
そう言って、手に持っている下着を、顔のすぐ前まで持ち上げる。
「ホントにクンクンしちゃうんだからね!」
だけど、変化はない。
「もう!早く元の世界に戻さないと、ホントのホントに匂いを嗅いじゃうんだからね!」
でも、周囲の景色には一切の変化が無い。
うーん。
こうなったらしょうがない!
あたしは妹の下着に鼻を突っ込む。
「クンカ。クンカ」
ああ。
いい匂い………………………………………じゃない。
おかしいな、これ新品だ。
さてはあやめの奴、パンティーだけすり替えたわね!
あたしがそう思って、顔を上げると、そこは草原ではなかった。
「あれ?」
空間移動した感じは全くなかったんだけど。
流石はあやめ。
気が付いたら別世界なんて、チートである。
でも………………ここどこ?
何となく現代日本的な感じではある。だけど、あたしの家ではない。
そこは、現代的なコンクリート建築物の中のようだ。
周囲には何人かの人。カウンターらしきものがあって、その中の人たちは青い制服を着ている。
―ヤバイ感じだ。と言うか、不味い。
壁のあちこちに張られたポスターは、『特殊詐欺』や『飲酒運転』に関するもの。
―嫌な予感がする。
右手には、ガラス張りの自動ドアがあり、その外には交通安全ののぼりが立っている。ついでに、駐車場にとめられている白と黒のツートンカラーな車両には、赤色灯が搭載されている。
―ここって警察署じゃん。
タラリと冷や汗が出る。
「あー。そこの君。ちょっといいかな?」
その声に、恐る恐る振り返る。
そこにいたのは、よれよれのスーツを着ているおっさん。ただし、その手に掲げられているのは、警察な手帳。
いかにも、やる気無さそうといった感じのおっさんではある。
……眼光だけは鋭く、あたしが先程までクンクンしていた下着を捕らえているけど。
どうしよう?
これ?
あやエモーン、助けてええええええええええええ!
ちなみに、蒼姉は、今回の異世界転移の犯人をあやめだと思っていますが、冤罪です。
真犯人は別にいます。