桐谷和奈が高校デビューに挑戦してもいいじゃない!!☆1☆
「新入生代表、桐谷和奈くん。」
「はい!」
名前を呼ばれたので返事をし、壇上に上がっていく。
普通、新入生代表は挨拶の内容を考えなければいけないので事前におしえるものなのだが、この学校、稜前高校は違っていた。
なんでも、常に注意することを忘れないように本番でいきなり当てられる伝統らしい。
そして俺が当てられてしまった。
皆は挨拶の内容を考えていたかもしれないが俺は違った。
俺は返事の仕方を考えていた。
結局、何も先輩の前でワルぶらなくてもいいなと思って真面目に返事したのだが、あれよ?べっ別にビビった訳じゃないかんね?
など思いながら歩いているとマイクの前についていた。一斉にこちらに視線が集まる。
あまり人の視線は好きではない。
中学時代、ラノベ読んでるのを不良が大声で言いやがってクラスメイト、いや、学年のほとんどの奴らが俺を変な目で見てきたせいだな。まじ深い傷だぜ…。
しかし今は俺が大勢を見下している。あ、すげぇ優越感。
その時、視界に入ったものを見て思う。
やべぇ……やべぇよ。何がヤバいかというと例のアレだ。「かーずーなー!!」
バカ親父だ。
あのビジュアルに加え、あの行動だ。あそこら一帯だけ親父を中心に空席になっている。
親父…やり過ぎ…。
教師であろう数人の男が親父に声をかける。
あ…だめだよ……。「なんじゃワレェ!!息子の挨拶聞かせんかいゴラァ!!」
あーあ。やっちゃった☆
何であのバカ親父は身内じゃない人にはあんななんだろ…。
しかし、ピンチをチャンスに変えてこそインテリワル。ここいらで俺が少しワルだとアピールしつつ親父をなだめるか。
俺は大きく息を吸い込んでマイクに向かって叫んだ。