プロローグ
――某ライブ会場にて。
会場中がたくさんの人と熱気で溢れている。
「お次は人気急上昇中のグループ、“Maiso”のパフォーマンスです!!」
「きゃあぁあぁぁ――っ!!」
彼らを呼ぶ声と共に大きな歓声が上がる。それは待ってましたと言わんばかりの熱量だった。
そして舞台袖で待機している彼らをにもその熱量は伝わっているようだった。
緊張しているような顔をしながら、充が手のひらに人の字を書いて飲み込んでいた。
その様子を見ていた藍が呆れて表情をしていた。
「あんた、何してんの? そんなことしても意味ないよ?」
「……っ、だって! いつになっても緊張するじゃんか! ライブって! 失敗できないし!!」
「失敗できないのは当たり前でしょ? 何言ってるの」
「ほんと藍のそういう可愛げないとこ、嫌いじゃないんだけどね。少しだけ、ほんの少しだけ可愛くなってもいいと思うんだ、オレ」
「寝言は寝てから言ってもらえる?」
「すみませんでした……っ!」
藍に一刀両断された充は先ほどよりも落ち着いているように見えた。藍の作戦かどうかは定かではないが、いつも通りの言い合いが吉となっただろう。
二人の言い合いを見ていた奏はため息をついた。
「藍も充さんも、戯れあってないで緊張感持てよ。もうすぐ出番」
「ボクは本当のことを言っただけだけど? それよりもキミの方が緊張してそう」
「俺は緊張してない。お前はそうやって自分の緊張を他人に押し付けて誤魔化してるんじゃないのか」
充と藍の言い合いから火種が飛び、なぜか藍と奏の言い合いが始まってしまった。それをため息をつきながら充は制する。
「あーあー、もう。本当に二人は気づいたら戯れ合うんだから」
「戯れてない」
充の言葉を全否定する二人を見た充は「可愛くない」と呟いた後にステージに向かってゆっくりと歩き出した。
そして、後ろにいる二人の方を振り返って笑った。
「……ほら、みんながオレたちのことを待ってる。行くぞ」
二人は頷いて充の後ろをついていった。
皆さま、初めまして。さかと申します。
まずは「奏でる君への恋心」をお手に取っていただき、誠にありがとうございます。
これからも読み続けていただけるよう頑張りますので、温かい目で見守っていてください。




