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5 夢の中で会えたらいいと

続けて読んでいただきありがとうございます

 私がヒーローになって、ちょうど1年が経過した。

 怪人の数は減るどころか右肩上がり。人間の数は……おそらく減っている。

 でも、誰にも正確なことはわからない。街の人口統計なんて、とうに意味を失っていた。ヒーローがすぐ駆けつけられない地方の田舎の町は過去のものとして扱われるくらい……。


「先輩、私今日1時間も寝れました」


「マジか、それ寝すぎじゃない? 私は50分も寝た」


 スクランブル先からふらつきながら空飛びながらの睡眠時間マウント遊びが毎日できていた。

 先輩の目の下のクマが日に日に深くなっていたし、私も酷かった。それを茶化して笑い合わなければやってられなかった。


「先輩、目が怖いです」


「あんたの目の方が死んでるわよ」


「先輩には勝てませんよ」


 怪人の発生数の増加とヒーローの戦死、新しいヒーローの選出数字の低下のため、残っているヒーローが疲弊していた。

 疲弊して倒れるだけならいいが、疲弊した体で怪人と戦えば、普段ならありえないミスをしてあっけなく死ぬことに繋がることがある。

 しかし、誰もヒーローに休めとは言わない。みんな、わかっている。私たちもわかっていた。私たちが積極的に休むようになれば、人類は滅亡する。


「次の戦闘が終わったら、その場で寝ませんか?」


「あんた……その考えは思いつかなかったわ。さっさと倒して寝よう、ご飯は……まあ、それより寝たいね」


「先輩、怪人倒したら寝れると思ったら、今までにかつてないほど、至極猛烈にやる気出てきました」


「あんた、小学生の言葉遣いに聞こえないんだけど」


 眠りたいがために戦う、なんていうのはヒーローとしてどうなのかと思いつつ、でも、それが唯一のやる気スイッチになっていた。

 いつしか、私達は、怪人を倒したら宿舎や拠点に帰る、というリズムから怪人を3回程度倒したり、どうしてもお腹が空いたらその場で寝ないで帰るという日々を繰り返すスタイルに落ち着いていた。

 時々地元民にヒーローが死んだと思われ、寝息を立てる私たちを体を揺らして起こそうとする人たちがいた。事情を説明したら、申し訳なさそうにみんなそっと離れていき、時々毛布なんかかけてくれた。

 その優しさは、眠気と同じくらい沁みた。




 その日は、そろそろお腹が空きすぎてお腹と背中の位置が反対になりそうな気分と連続スクランブルで短時間の睡眠も取れなかった。


 そういう時、重大なミスをしやすい。

 私の刀一振りを模した動きから作るエネルギーの刃を、上級怪人、特にその上澄みの怪人に、当てることが前提の作戦だったのに、外れてしまう。ミスを取り返そうと数回エネルギー波を作るも避けられる。そこに、その怪人の急所を抉るための遠距離技を溜めていた先輩に不用意に接近させてしまった。


「避けてぇぇ! 先輩ぃぃ!」


「ななし、離れろ!!!」


 先輩の声が、空気ごと震わせた。

 それだけで、全身に危機のサインが走る。合わせて急激なエネルギーの高まりを先輩から感じた私は即座に距離を取り、先輩と怪人の間から離脱する。

 怪人は先輩に急接近するが、怪人は間に合わない。


「これで最後だ!」


 巨大な光線が轟音と共に上級怪人を飲み込み、光線が消えると、怪人の姿はどこにもない。擬態しているわけでも、気配を消したわけでもない。やつは文字通りの消滅をした。

 私は初めて見る先輩の恐ろしい火力の技に興奮を隠せなかった。

 まだ技を繰り出したままの体制で空に留まる先輩に近づき、ぱいせん凄いっす、憧れちゃうっす、最初からこんな技あるなら教えてくださいよ、もっとバンバン撃ってちゃってくださいよ、みたいな軽口を言ったと思う。

 先輩の口元から、鼻から、赤いものが溢れ始めて……次の瞬間、重力に逆らえず、そのまま地面へと落ちていった。


 泥にまみれた先輩を、私は抱きしめた。

 その体は、まるでぼろ雑巾のように妙に軽くて、力が抜けていた。目の前の現実が怖くなり、抱きしめる力がギュッと強くなる。


「これで20歳になる前にヒーロー引退できるよ」


 コヒュー、コヒューと浅く呼吸を繰り返す先輩の目の焦点は合っていなかった。


「なんで、こんな……こんな風になっちゃったんですか!?」


「教える……つもりは……なかったんだけど、……もう教える機会が……ないから教え……る」


 先輩の言葉は、とぎれとぎれだった。でも、ちゃんと聞こえた。


「ヒーローは……自分の命を、エネルギーに変えることができる。でも、それって、本当は……誰にも、させたくないことでさ。そのために……ヒーローリングがある。リミッターとして、ね」


 私の胸が、息を締め出すように、締めつけられる。

 それって……。


「便利機能たくさんついているのに、作戦中にリング、外してる子……見たでしょ。あれね、たいてい……自分の先輩たちが、命を燃やして死んでいくのを見て……自分も、責任感じちゃうんだよね。

 そういう子に限ってヒーローになっちゃうんだ。

 ……バカみたいでしょ。私も……そのバカの1人だったってだけ」


 苦しいはずなのに、先輩は微笑んだ。

 こんな風になったのは全部私のせいなのに。

 その笑顔が、やけに静かで、やけに優しくて、私は、胸が張り裂けそうだった。


「……あなたは、こんなふうに、死なないで、ね。ねぇ、……ほたるの——」


 私は白い息が出なくなった先輩を強く抱きしめ続けた。

 私のミスで、私の力不足で、先輩は死んだ。

 ごめんなさい、という単純な6文字の言葉を声に出せなかった。

 謝罪も、感謝も、全部、声にならなかった。

 ただの悲鳴だけしか出せなかった。

 うるさいって言って起きてくれよ、先輩。




 私は先輩の死を乗り越えたのか、自分でもよくわからない。ただ、悲しみに沈む暇すらなかった。いろんな地域で多くの怪人が押し寄せていた。他のヒーロー達とチームを組んで怪人たちの討伐に遠征にも参加した。立ち止まれば、きっと心の奥底に沈殿していた感情と向き合うことになるから。とにかく、私は戦い続けた。

 やがて、バディの補充があり、先輩のベッドに別のヒーローの女の子が寝るようになった。

 先輩が使っていたベッドに、彼女がためらいもなくドンと腰を下ろした瞬間、反射的に口を開きかけた。


   てめぇ、そこ誰のベッドだと思ってんだよ


 思わず喉の奥で、そんな言葉が込み上げかけたけれど、それを呑み込んだ。

 ああ、私も同じだったんだ。あの時、先輩はこんなふうに私を見ていたのだ、と。

 先輩が最初に私を牽制してきた時のことだ。

 私は先輩の死んだバディの補充だったのか。

 少し怯えた目で私を見上げる、新しい私のバディに、


「ごめん、今のなし。ちょっと変になってた」


みたいなことを言い、曖昧な笑みでごまかした。




 作戦中、あの日から私はヒーローリングを外して、帯に無理やり巻きつけている。

 いつでも、命をかけなきゃいけない一瞬に間に合うように。

 何度か、そんな場面に携わったが、私の前世を超えて生まれ変わった影響なのか、捨て身の命を削る攻撃も、どこまで削るとやばい、というのがわかった。

 ヒーローの身体は、常識外れの回復力を持っている。だから、多少命を削っても、ある程度回復する。

 結局、私だけが生き残り続けた。

 死んだバディの代わりに新しいバディがやってくることを繰り返し、次々と私の隣から姿を消していった。私の力不足で死なせ、私の不注意で死なせ、私の身代わりになって死んでいった。

 その度に胸が静かに軋んだけれど、それでも私は悲しみに明け暮れて泣き出した少女みたいに立ち止まれなかった。

 私は、この地獄の戦いの日々を、最前列で戦い、人類が諦めようとした怪人さえも駆除し、命を差し出すようにして戦い続けた。そして、周りの仲間が命を投げ捨てながら散っていく中で恥ずかしくらいに無様に生き延びた。

 気が付けば私の待遇は、前よりも格段に良くなり一人部屋に住むようになったし、身の回りのことを職員さんたちがしてくれるようになっていた。

 日々の生活から雑務まで、誰かが代わってくれる。

 いつからか、怪人を倒すことだけが私に残された役割のように思えていた。きっと、それでいいと自分に言い聞かせていたのだと思う。

 そのことに、ふと気づいたとき、身体の奥が酷く空っぽなことに気づいた。心の中にできた空洞が、満たされないまま、ただ使い潰されてきたような……。

 いや、実際にそうだったのかもしれない。


 そして、あれほど頻繁に出現していた怪人たちが、ぱたりと姿を見せなくなりつつあった。

 世界が、ようやく静かになり始めた。それが、三年前のことだ。




 たった三年前のことなのに、世界はずいぶんと様変わりしてしまった。

 あの頃、SNSは避難情報の共有や安否確認、そしてヒーローたちへの励ましで溢れていた。

 みんなが、文字通り『協力して生きる』ことに必死だったから。

 互いに支え合って、何とか踏ん張っていた。あれは、希望にしがみつくような日々だったと思う。

 

 だけど今では、ヒーローの救助が少しでも遅ければ責め立てられ、成人のヒーローがタバコを吸っていたと非難され、変身したままコンビニで何かを買っただけで叩かれたりする。

 中には、絶対反撃されないからと、ヒーローにイタズラを仕掛けて怒らせた動画を面白がって投稿する人さえいる。

 最悪なのは、住まいや家族構成、学生時代の写真、かつての恋人の話までを掘り起こして晒すような、悪意しか感じられない行為だった。


 そんな日々の中で私の体は静かに蝕まれていった。

 命を削るような活動を続けていた代償で、右足はもう自由がきかず、内臓や呼吸器にまで異常が出はじめていた。

 変身していれば、全ての体の異常は一時的に良くはなるが、長時間の変身は結局命を削り、変身を解除した後の代償がより酷くなる。

 ヒーローであり続けることが、いよいよ現実的ではなくなっていた。

 そんな中、ヒーローがおもちゃみたいに扱われる姿を見て、心にできた空洞に、真っ赤に染まった炎が灯され、徐々に大きくなっていった。


 そんな矢先、怪人との戦闘区域に不用意に入り込んだYouTuberが命を落とした。

 自己責任の他何もない。しかし、戦闘区域への勝手な立ち入りをしたYouTuberの命を守れなかったことをマスコミ、SNSは格好のヒーロー叩きの対象としてた。そして、とんでもないことに、その怪人を倒しに出動していたヒーローに謝罪を求める運動まで始まった。

 協会からの指示もあって、彼は会見の場に立った。


 私はその会場のすぐそばにいた。

『謝罪会見』という名の晒し台に立たされる彼を、私はただ黙って見ていた。

 そして、記者の名前や社名が書かれたネームプレートを、心の奥深くに刻み込んだ。

 もう絶対に、お前らなんか助けてやらない。いざという時には、見捨ててやる。

 怒りを握りしめるように、睨みつけていた。

 私の見つめる会場の端っこで、今まで私より先に死んで行ったヒーローや先輩たちがいた。見間違いだろう。きっと、体調が悪いから脳みそが幻覚を見せるのだろう。その、ぼんやりと見えるモノクロの蜃気楼のような彼らは怒り溢れんばかりの顔つきでマスコミやヒーロー協会のお偉いさんたちを睨んでいた。

 ……そうだよね。

 みんなの未来を切り開くために、命を燃やし尽くした彼らが、こんな仕打ちを許せるはずがない。

 私だって、到底、納得なんかできなかった。


 気づけば私は変身していて、会見で言葉を紡ごうとした彼の手からマイクを奪い取っていた。

 もう、抑えきれなかった。心の奥で燃え続けていた怒りが、とうとう溢れ出たのだ。


「こんな謝罪をさせるなら、私はお前らのためには戦わない。どうせ、お前たちの腐り切った瞳には、私たちが他にも換えのたくさんあるシャープペンの芯にでも見えるんだろう」


 その後、予想通り大炎上した。

 騒ぎを鎮めるために、協会のお偉方は私を除名処分にした。まさに迅速な対応でした。

 よく顔を合わせる職員さんが、心底申し訳なさそうな顔でその通知を手渡してくれた。


「でしょ、やっぱり私たちヒーローはあいつらにとってシャープペンの芯なんだよ。まあ、私はもうほとんど残ってない芯なんだろうけど」


「ななしちゃんはみんなの英雄ですよ。私たち職員はそう思ってます。それに、しばらくゆっくり休んだら、体も良くなるかもしれないから、不幸中の幸いだと思って休も?」


 職員さんたちが私を労わってくれ、体の壊れかけている私が静かに暮らせるような病院兼施設に入るように勧めてきてくれたが、私は断って、一人で、静かに過ごして死ねる場所を選んだ。なりたくもなかった私の白髪のような真っ白な雪を見ないですむ、温暖な土地。

 色んな地域をインターネットで探し、引っ越し先を選別していた時によく面倒を見てくれる職員さんが私の引っ越し先のリストを見て、


「この町、源氏蛍の保存会っていうのがあって、夏のほんの数週間だけ一般開放されるんですよ。前に一度行ったんですけど、凄くきれいでしたよ」


 私は相槌を打ちつつ、なんとなくその話に耳を傾け続けた。


「森の環境を蛍に住み付きやすくなるようにする活動をしていて、増やしては森に少しづつ放しているって言ってましたね」


 職員さんは、両手を胸の前で組んで、少しだけ目を細めた。

 懐かしそうなその表情を見ていると、どこか胸がちくりとした。

 その時、不意にどこかで聞いたような口笛が耳をかすめた。

 先輩の癖だったあの音。でも、周りには誰もいない。吹いている人も、いないはずなのに。

 それでも、私はその町に決めた。

 蛍を追いかけたって、先輩にはもう会えないとわかっているのに。


ーーー


 誰かに肩を揺すられて、ぼんやりと意識が浮かび上がってきた。揺らされるということは、怪人が出たんだ、スクランブルだ、と一瞬身構えたが、そうではなかった。


「……さん、……さん、大丈夫?」


 目を開けると、見慣れない天井と、パリッとしたシーツの感触。私が今いるのは、清潔に整えられた保健室のベッドの上だった。いつ替えたのかも思い出せない自室のシーツとは明らかに違う。

 視界の端で、私を揺らしていた保健室の先生が心配そうに覗き込んでいた。見た目は、前世の私から見ればずっと若い。


「うなされていたけれど、大丈夫?」


「あぁ……はい、もう少し横になっていてもいいですか?」


「ええ、好きなだけ休んでいいのよ」


 先生はそう言って、カーテンをそっと引き直してくれた。まぶたを閉じると、夢の残滓がまだ頭に引っかかっているような感覚があった。ずいぶん長い夢だった気がする。

 それにしても私は学校に来ている意味あるのだろうかと思ったが、一応私は今世ではまだ中学3年生である。でも、ほとんど学校に行っていないので、正直学力レベルではひどいもんだと思う。前世の穴の開いた知識や、記憶、そもそも社会人になってからは数学や英語、物理なんてほとんど復習したことなんてないから、絶望的ではないだろうか。

 ヒーローなんて、なるものじゃない。

 前世を持たない普通のヒーローたち、特に、あの最悪の時代を生き延びた若い子たちは、今どんな学生生活を送っているんだろう。

 想像すると、不安ばかりが胸に募る。




 そんなことを考えているうちに、チャイムが鳴り、保健室の扉がゆっくりと開いた。


「師匠? 起きてます?」


 聞き覚えのある、凛とした声。佐藤桜、クリムゾンチェリーというヒーロー名を持つ子だ。


「ここにいる。カーテン、開けていいよ」


 返事をすると、佐藤はそっとカーテンを開けた。少し申し訳なさそうな表情をしている。


「体調、まだ良くないんですか?」


「そうだね。最近はあまり……」


 私はゆっくり体を起こし、掛け布団を少しだけめくる。佐藤の視線がセーラー服に集まった。着慣れない制服を、じろじろと観察するように。


「師匠、制服似合ってますね。ちなみに、噂になってるの知ってます?」


 佐藤は悪戯っぽく笑い、声をひそめた。


「師匠って、『保健室の謎の美少女』って呼ばれてるんですよ。誰も教室で見たことないから、幽霊説まで出てるくらい。……ところで、師匠って、ちゃんと足あります?」


 佐藤は冗談めかしながらも、私の足元の布団をそっとめくろうとした。スカートがめくれて、パンツが見えたらどうする。


「ちゃんとある。でもヒーローだから、もし足がなくても飛べるよ。幽霊プレイ、余裕でできるね」


 そう返して、足元の布団を元に戻した。足元が冷えるのは、あまり好きじゃない。


「そういえば、師匠の杖って、仕込み杖なんですか?」


「違うよ。ただの杖。少しひねると柄の部分が外れるだけ。本物の刀なんて持ってたら、法律的にアウトだし、重くて扱いづらい。杖の柄を刀の柄だと思い込んで、それを技に反映させてるだけ。つまりイメージの補強。強く正確なイメージほど、ヒーローの能力には影響があるからね。極端な話、そこらの木の枝でも、刀だと思えば使える」


 私は立てかけていた杖を指さした。すると杖がふわりと浮かび、佐藤の手元にゆっくりと移動する。ヒーローのエネルギーをほんのわずかだけ、サイコキネシスのように使っただけだ。

 佐藤は杖の柄を外しながら、へぇー、こうなっているんだー、と感心している様子だった。そこまで感心するような仕掛けでもないのに。

 

「放課後は、いつもの公園で訓練ね」


「えー! 今日もですか!?」


「今の技量で中級怪人と戦ったら、生きて帰ってこれるかわからないよ。上級や最悪それ以上だった時には、瞬殺されるよ」


「でも、たまには休みをくださいよ、保健室の謎の美少女さん!」


「私は公園でね、地元ヒーローを2人をしばいている白鬼師匠と呼ばれているんだ。私の名前要素がどこにもないし、美少女らしい文言すら入っていない」


「それは仕方ないじゃないですか。ヒーローに変身した私たちを、変身せずにぼろぼろになるまでしごくじゃないですか」


「まあそうだけどさ、早く二人とも私を変身させて戦わせるくらいに成長してよ」


 そうじゃないと、本当に怪人に殺される。でも、あまり言いすぎも良くないから、私はそれ以上は言わない。余裕を見せている熟練した超越者みたいに立ち振る舞った。


「怪人だって変身せずにとどめをさせる人に変身されたら私たちぼろぼろじゃなくてひき肉にされちゃいますよ! たまには休ませてぇー!」


 保健室から、佐藤の声が学校中に響き渡る。もう一人のヒーローの坂本君にも聞こえたことだろう。それと、今日も訓練があることに絶望を感じたことだろう。

 だけど、こんなふうに訓練だけで済んでいる今は穏やかで、案外、悪くない日々なのかもしれない。

ブックマーク、評価などありがとうございます。とても励みになります。

感想もお待ちしております。


1話の後半の佐藤桜の視点でのストーリー、少し書き直ししましたが、読まなくてもストーリーが大きく変わって意味がわからないということはないようにはしております。

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