プロローグ
アイドル候補生達が公演する劇場。スペースを埋め尽くす程の人が集まり、舞台上に立つアイドル候補生達を応援し、アイドル候補生達も応援に応えようと、いつかアイドル候補生から本物のアイドルに成ろうと熱気が高まり、最高潮で公演を終えた。
「皆ーー!!今日も来てくれてありがとーー!!来週もまた来てねーーー!!」
そうしてアイドル候補生達は舞台裏へと捌けた。この日最後の公演を終えて、皆楽屋へと戻り衣装から私服へと着替えようとすると女性のプロデューサーが楽屋へと入って来る。
「皆、お疲れ様」
『『『『『プロデューサー!お疲れ様です!!』』』』』
「ええ。…いつも御免なさいね。滅多に公演を見に来られなくて。もう少し来れるようにするわ。…さて、この話は終わりにして。…皆!素晴らしかったわ!特に鈴江みこりさん!歌とダンスのパフォーマンス!魅せ方が素晴らしい!…貴方は今日からメンバー入りね」
「ほ、本当ですか!?」
「ええ。嘘なんかつかないわ。私服に着替えたら私に付いてきて」
「は、はい!!」
アイドルとなった女の子は嬉しそうにガッツポーズし、他のアイドル候補生達も褒め称え、自分の事のように喜んだ。実際の腹の中は分からないが…。
「皆も着実に上手くなっているわ!このまま上達していけば皆も鈴江さんのようにメンバー入りも夢じゃない!頑張れ!」
『『『『『はい!』』』』』
「それじゃあ私は失礼するわ。鈴江さん。私は楽屋まで待ってるから慌てずに着替えて」
「はい!」
プロデューサーが出て行くと皆、鈴江みこりへと集まる。そんな中で一人黙々と衣装を脱いで私服へと着替える。彼女は茶色の瞳に赤毛の茶髪のボブパーマでムスッとしたような表情だが、顔立ちは整っており一見キツイというイメージを与えるような美少女ではあった。
「お先に失礼します」
誰にも聞かれず、返事もされる事なく一人楽屋を出る。すると、目の前のプロデューサーと目が合い。頭を下げる。
「お疲れ様でした」
「はい。お疲れ様」
プロデューサーの返事を聞くと直ぐに帰ろうとエレベーターへと向かう。
「待って。谷口穂香さん」
穂香はプロデューサーに呼び止められ振り返る。
「…はい。何でしょうか?」
「貴方…全然駄目ね」
「え…?」
間を置かずに言われた言葉、驚いて間抜けた言葉が出る。
「え?では無いわ。ダンスと歌は正直良かったわ。先程の鈴江さんにも遜色ない位。でも、その仏頂面。それが良くない。世の中には塩対応が受ける事もあるけど。大抵は愛嬌が振り撒く方が受けが良いの。折角才能があるのに……今のままでは貴方はアイドルには成れない」
「っ!!?」
「だから先ずは笑顔の練習を…」
と言い切る前にポーンッとエレベーターの到着音が聞こえる。
「エレベーターが来たので。それでは失礼します」
「あっ!ちょっと待ちなさい…!」
穂香はプロデューサーの静止を無視してエレベーターに乗って、一階へと降りた。




