13.夏祭りをサプライズプレゼント
男爵家でお茶をご馳走になりながら、魔術師は男爵にど直球にお願いした。
「2人の仲を進展させたいから、夏祭りをやりましょう。」
男爵はそんな理由で夏祭りをやるの?と思ったが、魔術師には恩がある。
領民の識字率が向上し、冬に出稼ぎに出ても今までより賃金が多くもらえそうだ。これにより納税金も多くなるだろうし、面倒だとも言いにくい。
そして、娘同様の女の子の恋を陰ながら応援したい。
様々なしがらみから、夏祭りをやることになった。
領民へ告知し、出店やらイベントやら色々やることがある。これってペイできるの?と何度も何度も考えたが、悩むだけムダである。やるしかないのだ。
いつも男爵は流されるままなので、今回は魔術師とその友達を早々に巻き込んで、バトンを半ば渡した。金は出すから後ヨロである。
魔術師もその友達もいじめられる側だったので、そもそも夏祭りでいい思い出がない。というか行ったことがない人もいる。どんなに優秀な頭が揃ってもこの手の話は何も思い浮かばなかった。何があったら若いカップルは喜ぶのか、まずは聞き込み調査や文献を漁り(といっても恋愛小説)、かなり苦戦しながらなんとか夏祭りを企画した。聞き込み調査をされた側は大変ビックリされただろうし、恋愛小説を熟読し、変な議論をするのは側から見たら面白かっただろう。
あとは第4王子をビックリさせるだけである。
第4王子は至る所で聞き込み調査をしている時点で何かやっていることを知っていたが、夏祭りをプレゼントされたことは初めてで、もちろんビックリした。また、魔術師が自分に心から尽くしてくれることに感謝した。
第4王子は次のお茶会でどうやって女の子を誘おうか、悩み抜くことになる。この天使も夏祭りに行ったことがなく、デートすらしたこともないので、何も思い浮かばなかったのである。