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一話 【 旅の始まり 】


 「次に選ばれた人類を救いし勇者よ。 貴方の旅路に幸多からん事を」


 勇者として選ばれてから一週間。

 今日は王都から旅にでる日。

 人類に3人しかいないと言われる神様の巫女、聖女からの祈りを授かり今日、俺は魔王を倒す旅にでた。


 「さて、とりあえず西だな」


 魔王のいる場所は魔族と人類が争いを始めてから未だに見つけられていない。

 遠い西の果てに魔族のみが暮らす土地があり、魔王はそこで人類を支配する為に同族をまとめ上げて指示を出していると言われている。

 その為、先代の勇者達は皆、西を目指して旅に出ていた。


 「まずは最初の村のギルドで仕事を探して、少しでもお金を稼がないと」


 小さい袋の中身を空けると、銀貨が10枚ほど入っている。

 これは一般の大人が1か月間で稼ぐ金額だ。

 ひと昔前までは、魔王を討伐に出る勇者は優秀な仲間と一年間は遊んで暮らせる大金を国からもらっていたらしいが、時代は残酷な物で、魔王の討伐どころか見つける事も出来ていない人類は勇者に対してとてもシビアになりつつある。

 実際、今回の勇者の旅路に国の人間達は誰一人として見送りに来ていない。

 みんな、何処かで「どうせダメだろ」と期待していない事は理解していた。


 「お、あそこか」


 そうこうと考えながら旅に出て2日目。

 途中、野獣や盗賊に襲われたりしたが、なんとか逃げきり最初の村が見えてきた。

 距離的にあと半日もあれば到着するだろう。


 「よーし、それじゃあ頑張ります~・・か?」


 気合を入れ直して疲れている重い脚を一歩踏み出した時、何やら足元に柔らかい感覚を感じた。

 ゆっくりと視線を下げると、地面にうつ伏せに倒れている人がいた。


 「おォおお?! だ、大丈夫ですか!?」

 「う、うぅ・・」

 

 すぐに身体を持ち上げて安否確認をする。

 性別は女性。

 整った綺麗な顔立ちに全身黒のスーツを着ており、上に真っ黒なローブを着て頭を隠していた。


 「・・た」

 

 女性は弱弱しい声で何かを言おうとしている。

 耳を近づけ、女性が言おうとしている言葉聞く。


 「食べ物・・ください」

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