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煩悩まみれの聖職者と女子高生(悪役令嬢)だけで世界を救うって本気ですか? 〜終末世界は残念な二人に託されました〜  作者: さかもり
第二章 各々が歩む道

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新たなる目的地へ

「セイジョ様の名は……アリス・バーランド様……」


 その名を聞いた直後に俺は剣を押し込み、感情のままに僧兵の喉元を斬り裂く。


 行方不明であったアリス。想像していたとはいえ、彼女はディーテ教を捨てて邪教に入信してしまったらしい。加えて聖女という地位まで手に入れているという。


「やはり俺はアリスに会う必要がある……」


 前世で関係を持った女性だ。俺を刺し殺した張本人であったけれど、今も彼女に悪いことをしたと感じていたし、罪を償って欲しいとも考えていた。


 このあとミクスでの動乱は数時間を要して鎮圧されている。多大な犠牲を被ったのは語るまでもなかったが、それでもドルマン伯爵は俺の活躍を称えてくれた。


「いや、フォスター子爵が街を訪れていて助かった。聞きしに勝る強者だな? 君がいなければミクスはどうなっていたか想像もできない」


 お礼としてドルマンは金銭の他、鉱山で取れる最高品質の鉱石を俺に与えてくれるという。


「これは非常に珍しい鉱石でアダマンタイトという。職人を選ぶ鉱石ではあるけれど、超一流と呼ばれる職人ならば扱えるはずだ。剣士である君の助けになるだろう」


「有り難く頂戴いたします。それで今後についても警戒を怠らないよう願います。俺はもう旅立ちますので、気を付けてください。邪教徒の狙いは鉱山であったかもしれませんし」


「そうだな。中央にも派兵を要請しよう。せっかく街が救われたのだ。必ずや邪教の手から守り切ると約束する」


 もうわだかまりはない。別れに際し、俺たちは固い握手を交わす。かといって、先を急ぐ俺は褒美を受け取るや、伯爵邸をあとにしていく。


 再び馬車に乗り込む。ここで俺はステータスを改めて確認してみた。最終的にレベルが10アップしたのだ。ステータス値がどれだけ上がったのかを知りたく思う。



【レベル】331

【体力】270

【魔力】235

【戦闘】225(+67)

【知恵】217

【俊敏】258

【信仰】274

【魅力】200(女性+480)

【幸運】99



 結果は考えていた通りだ。

 僅か10のレベルアップで各数値が10前後アップしていること。八分の一の伸びであるはずなのに、サブジョブ魔王候補とネクロマンサーはSランクジョブに相応しい大幅なステータスアップをもたらせている。


「待ってろよ、ヒナ……」


 俺は改めて意気込んでいる。一時はどうなることかと思えた[貧乳の怨念]のランクアップであったが、結果として悪くない方向へと進んでいた。必ずやヒナを救えるはずと俺は信じて疑わない。


『しっかし、そのヒナとかいう娘ッ子には妬けるのぉ』

『全くです。身体があるだけでも羨ましいというのに……』


 従順になった悪霊たちはヒナに悪さをしないはずだ。障害が全てなくなった今、俺は一刻も早くヒナに会うだけである。


「まあそういうな。俺は転生前にヒナと再会の約束をしたんだ。彼女は前世も若くして失われている。だからこそ、この度は最後まで生きて欲しい。途中退場なんかさせたくねぇんだ。俺が絶対に守り切ってやる……」


 本当に俺が望んでいること。ヒナという女性を求めていること。ヒナに嫉妬する二人には俺の感情が伝わっている感じだ。


 時間が経つにつれて馴染んでいく俺たちの魂は互いの思惑や感情まで伝わるようになっていたのかもしれない。


『次の目的地はライオネッティ皇国でよろしいですか?』


 ここでミアが聞いた。北西の街ミクスよりも先にアーレスト王国の街は存在しない。街道は東と南西にしか繋がっておらず、この先は道なき道を進むだけである。


「街道がなくてもミアには分かるんだろ?」


『もちろんです。ただ皇国の現状を知りたく思いますので、少しばかり寄り道させていただいてもよろしいですか? 何しろ千年以上も留守にしていたのですし』


 ミアはハイエルフである。よって千年くらいの留守であれば、家族はまだ生きているのかもしれない。先を急いでいたのは事実だが、俺としてもそこまで鬼にはなれなかった。


「まあ少しだけなら。俺は人族だけど、問題ねぇのか?」


『問題ありませんよ。少なからずハイエルフなら私の姿が見えるでしょうし、旦那様に不快な思いはさせません!』


 ミアがついているなら問題はないだろう。彼女の姿が見えないのならともかく、見えるというのだから。


『ふむ、妾も見てみたいの。ハイエルフの国を……』


 意外にもイーサが興味を示す。千年前の災禍である彼女はハイエルフを見たことがないようだ。当時、ライオネッティ皇国は南大陸をほぼ統一していたというのに。


「イーサはライオネッティ皇国を知らないのか? お前は南大陸にいただろう?」


『妾は北大陸の東側から飛んできたからの。東海岸にはエルフなんぞおらなんだな』


『そもそも侵攻軍の主力は私のアンデッド兵団でしたからね。ハーフならばともかく、ハイエルフは森を出ておりません』


 そういうことな。前線にエルフがいないのであれば、見る機会はなかったはず。ハーフエルフ以外は基本的に大深林で暮らしていたのだろう。


『初めてじゃから、妾は楽しみにしておる! エルフはどんなじゃろうな!』


 喜々として語るイーサはまるで子供のようにはしゃいでいる。サキュバス族としても、エルフたちは神秘的だと感じるのかもしれない。


『デカいのじゃろなぁ……』

「知るかよ!?」


 子供のように大人な期待をするイーサに俺は呆れている。まあしかし、サキュバスの血が騒ぐのであれば仕方のないことだ。


「あんま、うろちょろすんなよ……? ミアの姿が見えるのなら、お前の姿も見えるのだからな?」


『ああ、そうじゃった。うっかりしておったわ!』


 俺が釘を刺すとイーサはポンと手を叩いた。どうやら彼女は気付いていなかったらしい。


『妾も丸見えなのじゃ!』

「言葉を選べって!!」


 どうしても彼女が喋ると卑猥に聞こえる。とはいえ、実をいうと俺も楽しみにしていた。


 何しろエルフは美女揃い。しかもミアの親族であるのならドデカカボチャ級が期待できる。従って眼福になるだろうと俺は想像していた。


 兎にも角にも馬車は大深林へと入っていく。未知なるライオネッティ皇国を目指して。

 長旅の休憩地となるべく首都コロポルックへと向かうのであった。


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