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煩悩まみれの聖職者と女子高生(悪役令嬢)だけで世界を救うって本気ですか? 〜終末世界は残念な二人に託されました〜  作者: さかもり
第二章 各々が歩む道

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地平の楽園

 北大陸の北端。地平の楽園の聖地リベルに世界中から攫われてきた奴隷たちが集められていた。


 聖堂前にズラリと並べられ、ペターパイ教皇による選別が始まっている。

 選別とはタイラー神復活に向けて生け贄を選ぶことであり、教皇は適切な魂を捧げるために選別する役目を請け負っていた。


「マットソン僧兵長、穢れた女ばかりじゃないか? これでは贄として相応しくない」


 眉間にシワを寄せたのはペターパイだ。女の奴隷は特に念入りに穢れの有無が調べられ、穢れと認定されてしまえば、強制労働を強いられる奴隷となった。


 また贄となるのは穢れのない女性と認定されたものだけであるが、教皇に気に入られた女性はリベルの住人として迎えられることもある。


「申し訳ございません。最近は穢れが分からぬ下劣な下着が開発されておりますので……」


「まったく……。我らはタイラー様の意志を継ぐ者だ。地平の楽園は垂直美のみを愛す。巨乳などは教義に反するのだからな」


 地平の楽園はタイラーの性癖をそのまま受け継いでいた。

 男性は全員が板胸を愛し、女性は平たくあるべきと定めている。


 順番にチェックするペターパイは、とある女性の前で立ち止まった。


「この女の資料をくれないか?」

「は、はい! 南大陸から連れてきた女です!」


 ここで初めてお眼鏡にかなう女性が見つかったのかもしれない。ペターパイは即座に資料を要求している。


「女、お前には権利がある。我らは地平のみを愛する教団。もしも忠誠を誓うのであれば、タイラー様の加護を与えてやろう」


 ペターパイに話しかけられ、女性は顔を上げる。スラム街にでも住んでいたかのような身なりだが、彼女の目はまだ死んでいない。


「私はディーテ教が許せない。もしもチャンスを与えてくださるというのなら、どんな汚れ仕事も請け負います。ディーテ教徒など皆殺しにすべきです……」


 鋭い目つきで女性が言った。ここまでの話を盗み聞きしていたのか、ペターパイが望む回答を口にしている。


「殺意が込められた良い目だ。ならば、お前は生け贄から解放してやる。我らは地平で満たされた世界を望んでいるのだ。無駄な凹凸は穢れでしかなく、お前はその点でも優秀だからな」


「ありがとうございます。必ずやディーテ教徒共を殲滅してみせましょう」


 女性はどれだけ酷い扱いを受けてきたのか、この場限りの嘘とは思えぬ怒りに満ちた表情である。


「この世に巨乳など存在すべきではありません……」


「その通りだ。タイラー様が復活なされた折りには全ての人間がへべたくあるべき。優秀な遺伝子以外は滅ぼすしかない」


 ペターパイは嫌らしい笑みを浮かべている。どうやら彼は女性を救済したのではなく、単に彼女が好みであったらしい。中腰になるや、ペターパイは女性の着衣にある隙間へと手を差し込んでいた。


「これはいい。あとで私の部屋に来なさい。加護を授けてやろう」


「あ、ありがとうございます!」

「礼には及ばん。期待しているぞ?」


 言ってペターパイは満足げに自室へと戻っていく。去り際に彼女の名を口にしながら。


「アリス・バーランドよ――――」



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