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平凡だった男が英雄になるまで  作者: わはーる帝国の皇帝
第一章 生ぬるくとも強くなる
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第七話 ハイオークとの戦闘

一ヶ月後、俺はマジックウルフがいる森に入っている。


この一ヶ月間新しいことは覚えていないが既存の技の精度や持続時間を伸ばすことをひたすら繰り返していた。


そのおかげで【魔闘】の持続時間は十秒程になりその状態での戦闘もようやく少し慣れてきた頃だ。


なぜ一ヶ月ほどでここに来てしまったかと言うとハイオークと戦う為だ、決してマジックウルフに挑みに来た訳では無い。



俺は充分に辺りを警戒しながら自然と今日までのことを考える、覚醒した日から55日経って俺の魔力と闘力はやく五倍ほどに増えている、これは一般人が1だとするならば俺は5だということだ。


当然この程度では冒険者の基準には達しない、最低でも10は欲しいところだ。


それに魔大陸に向かう冒険者達は50以上は無いと魔物を倒すことすら出来ないと言われておりエイレーンはその基準を遥かに超える352なのだ、今の俺ではそんな次元は考えられないほどかけ離れている。


なぜ俺が冒険者になれたかと言うとギリギリ実技の方で受かったが全然期待はされていないのがひしひしと伝わってくるほどのエイレーネとの差が激しかった。


あぁそれとコボルトやオークは訓練した一般人でも倒せれる弱さで冒険者が小遣い稼ぎに倒すぐらいだ。


まぁ塵も積もれば山となると言うように冒険者になった日からずっとオークやコボルトを狩っていたおかげでCランクになっている。


さて…そうこうしているハイオークを見つけた、数は二匹、一匹は奇襲で倒すとして残りは普通に倒すか。


ハイオークが全員が俺の反対側を見た直後、駆け出す。


手に持つ獲物はカツジンに作ってもらったあの剣。

初めて相手する者には持てるだけの力で挑む、じゃなきゃ足元をすくわれる。



そのときハイオークは足音に気づき振り返るがもう遅い、その剣は見事に首を貫いていた。


剣を引き抜き後ろに飛んで他のハイオークの攻撃を避け、睨み合う。


ハイオークは仲間の死にも目をくれず現れた獲物を殺さんと射抜くように一挙一動も逃すまいとしている。


しかしハイオークは五秒も待てずに踏み込み粗悪な棍棒を振り下ろす。


(速いっ…!!)


その速度は今の俺と同等で地面に触れた瞬間土埃とともに軽い穴ができる。

棍棒はそれでも折れておらず魔力を流して耐久力を上げているのだろう。


(【魔闘】を使うのは帰りのことも考えて使わないでどうにかしたいな…)


最悪の場合使ってもいいがもしもの時の魔力と闘力が無くなる、帰りで不測の事態に陥る可能性も充分ある。


一瞬でここまで考え、煙が晴れないうちにしゃがむように足を斬ろうとするがそこまで力を込めていないような体勢で容易に受け止められる。


まさか受け止められるとは思っておらず一瞬力が抜け、剣を弾き返されてそのまま棍棒が迫る。


もう既に避けれる猶予はなく自ら後ろに飛んで少しでも衝撃を逃がす。


「がっ…」


それでも少なくないダメージを負い、木に打ち付けられる。


(内蔵が損傷したな…)


これは【魔闘】を使うことも視野に入れないとな…


この状態でもまともに動けるが長くは持たない、もう攻撃を食らう気は無いが次受けたら【魔闘】を使おう。


(油断したな…今まで格下か同格のやつとしか戦ったことがないからな、常に相手は俺の想像を上を行くと考えよう)


気持ちを切り替え、近づいてくるハイオークに一瞬で低い姿勢で詰め寄る。


一瞬ハイオークの動きが固まりその隙に胴体に向かって下から斜めに切り裂く。


当然ただのオークもこの程度では死なないし30秒も経てば回復してしまう、ハイオークの場合十秒ほどだろう。


ハイオークはその傷に構わず棍棒を振り下ろすが斜めに飛びながら引き戻すかのように同じ箇所をなぞる。


さすがにこれは痛いようでうめき声を上げ、一歩下がる。


そしてめちゃくちゃに棍棒を振り回し容易には近づけれないようにしている。


(あれだけでも掠ったらえぐれるな…)


仕方なく俺はハイオークが治るまで様子を見る。


少しだけ首を刺したオークを見るが再生しているような様子はなく、事切れているようだ。


やがて十秒ほどで傷は治り、治ると同時に迫り来る。

俺の間合いのギリギリで首を狙い剣を振るが、すんでのところで首を後ろに動かされ避けられる。


しかしハイオークは止まることなくそのまま突っ込んできているため皮が切られるがすぐさま再生される。


ハイオークの薙ぎ払いの攻撃は後ろに下がることで避けて振り抜いた状態のハイオークに今度は思いっきり近寄り心臓付近に剣を突き刺す。


(ちっ!外れたか!!)


感触的に心臓を外し、このまま剣を刺したままにするか一瞬迷うが離す。


その一瞬迷ったせいで腕をハイオークに捕まれ足と腕を折られたあとそのまま投げ飛ばされる。


「くそ…っ」


何万回と味わった痛みが来るが体が言うことを聞かない、このままでは殺される。


(動けっ!立ち止まるな!!まだ意識は失っていないっ!!最後のその瞬間まで諦めるなっ!)


必死に動かそうとするが片腕以外は動かない、無情にもよろよろとハイオークが近づいてトドメを刺そうとする。


そして俺はある一点に視線が注がれる。

(ははっ!あるじゃないか、まだ勝てる可能性が!)


思いついた瞬間【魔闘】の準備を始める。

集中して行く、限界まで、極限まで。


いつも戦闘でやるより遥かに早い速度で【魔闘】の準備を進める。


一歩


二歩


三歩


四歩


ハイオークが目の前に来る、その目は油断をしているように見える。


そしてゆっくりと棍棒を上にあげる。


(今だっ!!)


「がぁあぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」


【魔闘】を発動させる。

きしむ身体、霞む視界と聴覚、それらを無視してただひたすらに剣へと手を伸ばす。


(掴んだっ!)


その瞬間体が無理やり修復されていって激痛が走るがそんなものには構わない、今はこの一振に集中しろ!!


「ぶもぉおぉぉぉぉっっ!!!」


心臓を切り裂き、最後の抵抗かのように振り下ろされる攻撃を避ける。


「俺の…勝ちだっっ!!」


そう宣言して【魔闘】を解除する。

既に体の傷は治り、服に血がべっとり着いているが問題ない、そこまで血は流していない。


素早くハイオークの魔核を取り、走り抜けるように森の外へと目指す、勝利の余韻に浸りながら。


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