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平凡だった男が英雄になるまで  作者: わはーる帝国の皇帝
第一章 生ぬるくとも強くなる
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第四話 敗北

補足をしておきますがクロトがCなのはそのコボルトやオークの討伐数の多さでCになれたのです。

剣が当たる音がする、それは激しく鳴りやむことは無い。


中年の男が喋り出す。

「…以外にやるじゃねぇか、『凡人』」

俺のギルドで呼ばれている蔑称だ、最初は完全に侮辱で言っていたがいつしかそのままの意味で使われるようになった。



本人は気づいていないがその貪欲に強さを求める姿と闘力操作と魔力操作を見て馬鹿にするものは居なくなったのだ。


話を戻そう、相手は正当派の『王国剣術』の使い手でとにかく一撃の重さと連撃を求める剣術だ。


対して俺は我流で相手の攻撃を受け流し、隙ができたところで攻めるのが俺のスタイルだ。


恐らく初めて相手をする剣士なのでまだ均衡が崩れていないだけで慣れてきたならば俺が辛くなるだけだ、なので先程使って感覚がまだ少し残っている【魔闘】の準備をしていく。


その間も攻防は続く、横なぎの攻撃をしゃがむことで避けるがすぐさま上から剣が振り下ろされる、それを横に飛ぶことで避けてすぐさま脛を狙って剣を振るうが俺に近づきながらジャンプをして避けられる。


そのまま落下の勢いも乗せて上から来るが避けれる体勢ではないため闘力の出力を上げて上手い具合に受け流す。


このままでは…っ!


相手の剣は振り下ろされているのでこの隙に突きを放ちようやく一回攻撃を当てる。


「ほう…」


こっちが先制したが相手はまだ闘力は使っていないのだ、本気を出されたらこちらが負ける。


そして俺は一回離れる。

相手は一回止まり話しかけてくる。


「これから闘力を使う、着いてこいよ」


そう言った瞬間陽炎のように白い粒が溢れる。

「こっちも行かせてもらう!」


俺も陽炎のように灰色の光が体から出てその瞬間に突っ込む。


しかし相手は驚いているがギリギリ対応出来る速さのようで初撃を防いでみせた。


くそっ!あと2秒しか持たないっ!


すぐさま剣で連続で突きを放つがしかし木剣の腹で八割程防がれてしまう。


ちっ!四発しか当たらない、次の一撃で終わりになる!


俺は真上から一気に剣を振り下ろす。

相手は咄嗟に剣を上に向けて受け止められるが木剣を破壊してそのまま振り下ろそうとした時





勢いが一気に無くなる。

そしてそのまま強烈な眠気が襲い、耐えるがこの状態ではまともに出来ないだろう。

「すまん、降参だ」


そう言った瞬間倒れ込み、意識を失う。



















「っ!ここは…?」

俺は飛び起きるかのように素早く上体を起こす。

次に目が覚めた場所はどこかの宿屋のようでベットの上に寝かされていた。


剣はちゃんと三本ベットの近くに立てかけてありホッとした。


そして気絶する前のことを思い出し、何がダメだったかを考える。


「【魔闘】の持続時間が問題だな…」


他にもまだまだ改善点はある、【魔闘】の状態だとまだ上手く動けず十全に力を与えきれていないのだ、これをどうにかしなければならない。


さらに細かく思い出していくが【魔闘】の状態以前にもダメな部分があるのだ、それはもっとギリギリで避けれる箇所がチラホラとある、こればっかりは実戦でやっていくしかない。



そう考えに耽っていたら扉が開く。

「なんだ、起きていたのか」


「あぁ、ついさっき起きたばかりだ、どのぐらい寝てた?」


「昨日の模擬戦した時からだな、今は早朝だ」


「そうか…ベットに運んでくれてありがとな」

なんてことないという風に手を振る。


そして一つ息を吐いてから真剣な面持ちになる。

「あー…単刀直入に聞こう、俺達のチームに入らないか?」


俺は少し考えるふりをして答える。

「すまん、今の所はチームに入るつもりは無い、機会があればよろしく頼む」


「やっぱりか…よし!飯を食っていくか?奢るぞ?」


「いいのか?」


「もちろんいいに決まっているさ」


俺は行くと返事をして立ち上がろうとしたが体が痛みよろめいてしまう。


「おい、大丈夫か?」

少し心配そうな顔をしている。


「大丈夫だ、ただの筋肉痛だ」

そうなんでもないように見せ掛ける、実際はかなり痛いがもう慣れた。


「…そうか、辛かったら言ってくれよ」


そうして俺達は一階におりてご飯を注文する。

その席には既に三人が座っており挨拶をしたあと勧誘のことを聞いていた。


中年の男がダメだったというと周りは残念がり機会があれば一緒に戦おうと言ってくれる。


そのうちの神官の服を着た男が話しかける。

「その筋肉痛治しましょうか?」


「あー、どんなふうに治すんだ?」

大まかに回復には二種類がある、一つは神の祝福で元の状態に戻すことと細胞を活性化させて治す方法だ。


「あ、活性化させて治す方です」


「それならよろしく頼む、聖力の方は大丈夫なのか?」


「今日は浅い所で狩りをするので大丈夫です、気にしないでください」


そう言い短い祝詞を唱える。


『この者の細胞を活性化させ、怪我を治癒せよ!『活性化』』


そう唱え終わった瞬間むず痒い感じかして数十秒して筋肉痛が無くなる。


「ありがとう、おかげで治った」


「なら良かったです」

神官の男は軽く笑う。


程なくして美味しそうはな料理が運ばれて来て目の前に置かれ、早速食べ始める。


「模擬戦の時最後に使った技はなんて言うんだ?出来れば教えて欲しい」

彼は迷っていたのかなんとも言えない顔で話し出す。


少し考えて答える。

「そうだな…今後とも模擬戦に付き合ってくれたら教えてもいいぞ」


「そんなことでいいのか?それでいいのならいいが…」


「もちろんだ、それで最後に使ったあの技は俺は【魔闘】と呼んでいる」


「この技は俺並に魔力と闘力を使えなければ出来ない技だ、これは魔力と闘力を混ぜて使い、瞬間的に身体能力を強化している」


「それは誰でも出来るのか?」


「相当訓練すればできるようになるな」


「そうか...今のままで頑張るしかないか」

少し残念そうだ。

あぁそうだ、ここら一帯で最も強い魔物を聞いてみるか。


「ここら一帯で一番強い魔物はどこにいるんだ?」


「まさか倒しに行くのか?止めといた方がいい、Bランクはないと倒せない」

Bランクからは完全に別格で よほど才能がない限りこれいじょうランクは上がらない。

「あぁ今すぐ倒しに行くわけじゃない、それを目標に訓練するだけだ」


「ならいいが…やはりこの地方で1番強いのはハイオーガだな、二番目に強いのはマジックウルフの群れだ」


「居場所はこの街から通常のオーガやコボルトのいる反対側の森だ」


あそこか、あと三週間ほどしたら向かってみるか。

ちなみになぜ知らなかったかという自分の身の丈にあったことしか知らないようにしないと俺は欲が出てそこに向かってしまう可能性が高いからだ。


その後は俺は喋らずに喋って聞いているだけで話は終わり次の模擬戦はどうするかを聞く。

「ごちそうさま、次の模擬戦はいつにする?俺はいつでもいいが」


「そうだな…三日後にして貰えないか?それなら万全の状態で動ける」


「それでいい、また今度な」


「あぁまたな」


さて剣は二週間ほどあれば出来ているだろうな、それぐらいにもう一度来るか。


俺はもう一度礼を言っていつもいる森に向かうため街を出て歩いていく。


「…久しぶりに人と話したな」


一言呟いてなんとも言えない気持ちになりながら昨日のことを振り返る。


…俺は弱い、素の身体能力のそこら辺の剣士にも劣る、常に俺は弱者なことを自覚しなければならない。


少し奇抜な手を持っているだけが強みの弱者なことを昨日は正確に感じ取れて良かったと思っている、より自分の弱さを自覚出来たのと改善点も見つかった、これからもっともっと強くならなければ。


決意を新たに俺は歩く、帰ったらオーガと戦うことを考えながら。



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