決着
二人は必殺の一撃を放ったが、ガギンッ!と、お互いに鍔迫り合いのようにギリギリッと、力比べのようになった。
『『次の一手を!!!』』
偶然にも、お互いに次の行動に移った。
剣を弾くと、更に目にも止まらぬ斬撃の打ち合いに発展した。
「「うおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!!」」
息をつかせぬ連続の斬撃に周囲の空気も振動した。
先程と違い息継ぎも出来ないほどの斬り合いに、二人はバッと後ろに飛び距離を取った。
「ハァハァ、これでも決着がつかないか…………」
「はぁはぁ、クソッ…………」
純粋な実力ではカストルの方が上のように感じていたが、実際は年齢の経験差が実力を埋めていた。
カストルも経験といえば豊富であったが、帝国の英雄バルドと決定的に違っている事があった。
それは、対人戦の経験だった。
領地では魔物と毎日戦っていたが、【知恵】のある相手との対戦は少なかったのだ。魔物なら簡単なフェイントで引っ掛かり倒せたが、実力が拮抗しているバルドは逆に、僅かなスキを作りフェイントを仕掛けてきて、カストルが虚を突かれることも多々あった。
バルドは魔物より、対人戦の経験が豊富で、実力の差を埋めていたのだ。
呼吸を整えて、再度仕掛けようとした時、待ったが掛かった。
「そこまでっ!」
ビリビリッと闘気を含んだ大声にバルドとカストルは止まるしかできなかった。
「誰だ!?」
「父上………」
カストルは不満そうな顔で待ったを掛けたお父様を見ました。
「うむ、カストルに任せるつもりだったが、まさか互角に渡り合える強者とは思わなかった。ここで散らすには惜しい人材だ。ここは引き分けにして、また戦ってはどうだろうか?」
バルドはお父様を見ながらフッと目を逸らして剣を納めました。
「確かに、ここまで楽しい死合は初めてだった。一度で終わらせるには惜しいな……………それに、あんたとも殺ってみたいしな?」
軽口を叩くがバルドは本能的にわかっていた。
目の前にいる者が、自分より圧倒的に強い事を。
「俺はバルド・ウォッカ。帝国の3大英雄の1人だ。あんたは?」
「俺はカウス・グリーンウッド。王国の英雄の称号を授かった者だ。そこにいるカストルの父上だよ」
!?
「マジかよ!メチャクチャ若いじゃねーか!?兄弟でも通じるぜ?」
お父様はエルフの秘薬を飲んで長寿になっていますからねー♪
「ハハハッそれはどうも。それより城へ戻ろうか。バルド殿も来ると良い。国王から良い酒を貰ったんだ」
「いいのか?俺は帝国の者だぞ?」
お父様は笑顔で言いました。
「君はただの旅人だろう?それに、息子と互角の実力を持つバルド殿の話を聞きたい。こちらも話せる情報は話そう。これは商談だよ」
一瞬、キョトンとしたバルドが笑いだした。
「ハハハハッ!!!良いね!話がわかるじゃないかよっ!最近はつまらんことしか無かったからな。ご厚意に甘えさせてもらうぜ!」
お兄様は不完全燃焼でムスッとしてましたが、バルドとお父様は笑いながらお城へ帰っていきました。
「お兄様、大丈夫でしたか?」
「……………悔しいな。父上はあのまま戦っていれば自分が負けると思って待ったを掛けたんだ」
「まさかっ!?」
「戦っていた俺だからわかる。多分負けていたな。もっと修行しないと」
お兄様は自分の手を見つめながら、次は勝つと誓うのだった。




