不穏な気配
パレードは獣人国の王都をゆっくりと一周していました。
そんな中、ふと気になる気配を感じました。
コソッ
「お兄様………」
「ああ、なかなかの使い手がいるな」
殺気はないが、気配をワザとだして気付くかどうか伺っているようだな。
「どうなさいますか?」
「ん~~、取り敢えず放っておこうか。今は人の目が多いし殺気もないから襲ってこないだろう」
確かにこちらを伺うだけで仕掛けてこないですね。
取り敢えず、油断はしないで、すぐに動けるようにしておきましょう。
謎の気配に気を配りつつ、パレードは何事もなく終わりました。
???
『あれがここ1年で名を馳せた英雄一家か。少し試してみるか』
俺は隠していた気配を少し出してみた。するとすぐに向こうも気付いたようだ。
『こんな僅かな気配にも気付くとは、英雄の名はダテではないな。どうする?仕掛けてみるか?』
しかしパレードで人目が多い。
ここは見送って夜に仕掛けてみるか。
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夜になり、お城の中でも大騒ぎでした。
代るがわる握手をして疲れてしまいました。
「歓迎は嬉しいが、食料事情は大丈夫なのか?正直、民を困窮させてまでの歓迎は遠慮したいのだが?」
お父様がライガ国王に苦言しました。
「確かに多くの余裕がある訳ではないが、ローズガーデンの支援と、北のリーゼ王国からも支援が来たので、たまにの贅沢ぐらいは大丈夫だ。それにいくつかの街や村が魔物で滅んでしまた地域は、周辺の村を統合して何とかやっていけるようになった。この1年は節制していたので、民も喜んでいるだろう」
「ああ、ローズガーデンは帝国から軍の兵站をガッポリせしめたからな。それをジャガー王国に融通したのだろう」
確か、すぐに戦争できないように何万もの軍の兵站を奪ったよな。
「ええ、本当に助かりました」
「まぁ、そういうことなら本日だけはご厚意に預かろう。明日からは普段の食事でいいから、気を使わないようにな」
お父様の言葉にライガ国王は感動したように、頭を下げた。
そして、部屋に戻ると出掛ける準備をしました。
お母様との相談は明日します!
城の警備に見つからないように城を抜け出すと気配のする森の方へ向かいました。
「あら?お兄様とエルザも一緒なのね」
「シオンか?一緒にこればよかったな。両親は俺達に任すってさ」
「了解です!」
タタタタッと走りながら会話していく。
「やはり向こうもわかっていたみたいですね。気配に気付いていることを」
「目的はなんでしょうか?」
カストルは何となくわかる気がしていた。
「俺は何となくわかるな。多分、腕試しだと思うよ」
「そんな事で?」
「強くなり過ぎると戦う相手がいなくなってつまらなくなるんだ」
確かに、全力で戦える方は領地でも少ないですが…………
こんな遠くから殺気を放って徴発してくる人物に、どんな思惑があるのか?
そう考えていると、森の中でマントを纏った人物が立っていた。
「よう!待っていたぜ!英雄一家よ。俺は【帝国3大英雄】が1人『バルド・ウォッカ』だ!手合わせ願おうか!!!」
!?
目の前の帝国の英雄と名乗った人物は20代後半ぐらいでローブを取ると、軽装の鎧姿で腰に剣を差していた。
「あ~~お兄様の言う通りでしたわ」
隣りを見るとお兄様はワクワクしながら、殺ろうぜっ!という顔をしていました。




