あっという間……………
2話目の投稿です。
我に返った総大将ガーランドはすぐに行動を開始した。
「後方で待機しているこの部隊1万の内、半分の5千を救援に向かわせろ!まだ敵と交戦していない東の部隊に中央の敵の側面に突撃させるんだ!乱戦になれば大規模魔法は使えん!」
伝令の兵士は確認の為に聞き返した!
「東のローズガーデンが突撃してきたらどうなされるのですか?」
「バカ者が!東の軍を指揮する将軍であれば、そのくらい対処できるわ!」
6万もの兵力を持つ帝国軍は中央に3万の兵力を置き、左右に『1万』の軍を配備していた。ローズガーデンは2万5千の内、1万5千を中央に、左右に『5千』を配備していたのだ。
ローズガーデンが突撃してきても、半分の兵力で対応できるのである。
総司令から中央を救援するように伝令が飛べば、全軍を動かさず半分の兵力で救援に向かわせる事ぐらいは、将軍であればいちいち言わなくても瞬時に理解できるのだ。
伝令が走ったと同時であった。東側の軍が『吹き飛んだ』のは。
「なっ!?」
何度目かの驚愕の声が上がった。
「私はユグドラ王国の英雄カウス・グリーンウッドだ!死にたくない者は逃げよ!死にたいヤツは掛かってくるがいい!」
前回と同じように口上を声高らかに叫ぶ。そして剣を振る度に、衝撃波が発生し帝国の兵士達が吹き飛んでいった。
「あ、あれがユグドラ王国の英雄…………」
カウスの振るう剣は見えないくらい速く、ワンテンポ遅れて衝撃波が帝国軍を襲った。
総大将ガーランドは、西の城塞砦の報告書が正しかったと、今さらながら理解した。
普通は、たった1人で万の大軍を相手にできる訳がないのだ。ガーランドだけを責めることは出来ないだろう。
東の軍もカウスに散々と手酷くやられた所をローズガーデンの軍が突撃を開始した為、救援に向かわせる事ができなくなった。
唯一、後方の本陣から救援に向かわせた5千が中央の軍の助けに入った。敗走を開始した兵士達を留めて、隊列を組むように指示を出していった。
しかし、ここで総大将ガーランドは西の城塞砦と同じミスを犯してしまったのだ。自らを守る守備兵力を減らしてしまった事に気付かなかった!
中央のボロボロになった軍からカストルが前方の兵士を倒しながら飛び出してきたのだ。
5千の援軍は密集しておらず、敗走兵を束ねる為に、広く兵士を分配していたのだ。
そこに、中央突破を目指していたカストルが飛び出してきたのだ!
しかし、敗走兵の防止に努めていた将軍の部隊ではカストルを止める事は出来なかった。通り道沿いにいた兵士を吹き飛ばして敵大将のいる後方部隊へと突っ込んでいった。
「何者かが飛び出して行ったぞ!気を付けろ!」
カストルは速かったが、将軍を守る後方の守備隊は反応していた。
「少し距離があるから対応されるか?」
走りながら握った剣に力を込めるが─
カストルの後方からファイヤーボールが100個ほど飛んできた。
ドン!ドン!ドドドンッ!!!!
ファイヤーボールが守備隊の前線を崩した。
「シオンか!?よしっ!」
振り返る事もせず、そのまま剣を振るい突っ込んでいった。
「ぐわっ!?」
「止めろ!」
前線を崩された守備隊ではあったが、敵陣奥深くに入ったカストル1人に、前後左右から攻撃を仕掛けた。
「遅い!」
カストルが飛び上がり、突かれた槍が空を切る。そして、空中で剣を振り周囲の敵を吹き飛ばす!
「よし!もう少しだ!」
一気に距離を詰めていくカストルだった。守備隊は救援に半数を行かせたので、兵士の厚みが薄くなっていた。
「……………まさか、これほどとは。まさに一騎当千とはこの事だな」
総大将ガーランドは、自分の部隊に突っ込んできたカストルを見据えていた。
「ひぃぃぃいいいい!おい!どうなっている!敵がそこまで来ているのだぞ!」
これだけの兵力差で、本陣まで敵が来るとは思っていなかったガーランドは恐怖していた。
しかし、すでに逃げ場などないのだ。
ドコッーーーーン!!!!
遂に、ガーランドの前にカストルが現れた。
何故かちゃっかりとシオンも着いてきていた。
「お前が総大将か?」
カストルの言葉にガーランドは名乗りを上げた!
「いかにも!我が名はガーランド・オリバー!ローズガーデン侵攻軍の総大将を務めている者だ!よくぞここまできた!勇敢なる者よ!御主の名を答えよ!」
「私の名はカストル・グリーンウッド!ユグドラの英雄の息子だ!」
「同じく!シオン・グリーンウッドです!」
カストルとシオンは高らかに答えた。
「なるほど…………英雄の家族がこれほどまで厄介だとはな………」
ガーランドは静かに剣を抜いた。
「ならばカストルよ!帝国軍6万を束ねる我が首を取ってみるがいい!」
ガーランドは物凄い気合いと共に斬りかかった!
「シオン!手を出すなよ!」
ガキーーーーン!!!!
ガーランドの渾身の一撃を受け止めた!
ギリギリッ!
「びくともせぬとは、英雄の息子も英雄ということか!」
「ガーランドも今まで戦ってきた帝国兵の中では1番強いと思うよっ!」
ガッギーーーーン!!!
ギンッ!ギンッ!
最初こそは気合いの入ったガーランドが押していたが、斬り合いになるとすぐに押され始めた。
「ぐっ!?斬激が速すぎて見えぬ!」
ガーランドは賭けにでた!
ザシュッ!!!
カストルの剣がガーランドの腕を飛ばした!
「将軍!!!?」
「ガーランド様!?」
多くの兵士がもうダメだと思い、カストル自身も終わったと思った。
しかし、覚悟を決めていたガーランドは腕を無くしても、剣を握っていた片方の腕で斬り掛かった!
「なっ!?」
カストルの右肩に剣が入った!?
「お兄様!?」
幸いにも距離が近すぎたのと、片腕で斬り掛かったため、カストルの肩で剣は止まっていた。
さらに言うなら、カストルの軽装鎧は最上級の素材で作られ防御力に優れていた事もある。
「…………無念」
「いや、たいしたヤツだったよ。帝国軍総大将ガーランド・オリバー!貴公の武勇は私は生涯忘れぬであろう!」
カストルはそう言うとガーランドの首を跳ねた─
ガギーーーン!!!
ガーランドの首を落とす手前で、何者かがカストルの刃を止めた。
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