第4話 エ□本
「ほう、我が何者が聞きたいとな?」
母に叱られ終わり部屋に戻った俺は、ゴロゴロしていた図々しい妹モドキに一体何者なのかと聞いた。
「ほほう、やはり気になるか。そうであろうそうであろう。なんたって男子を魅了してやまぬ美貌、この幾多の貴人を堕落させてきた色気、それらを兼ね備えた我がいきなり現れたら、それはそれは聞かざるを得ないというもので……おい、何故お前は寝る準備をしておる」
あまりにも前口上が長く、それならいっそ聞かない方が楽かと思い寝ようとしていた俺をベッドから引きずり落とす妹モドキ。おい、容赦ならん音がした上に頭から落ちたんだが。
「そんなことはどうでも良かろう! 我の話を聞くのだ!」
パシーンと頭を叩く。あまりにも図々しい物言いに手が出てしまった。しかしベッドから落とされた手前謝るのも癪で俺が黙っていると、しばらく経っても叩かれた妹モドキの顔が上がらない。
強く叩きすぎたか? と俺が顔を覗き込むと、
「お兄ちゃんぶたないでよぉ…」
なっ、おま、それはっ。いや待て、落ち着け、落ち着くんだ俺。わかってるはずだろ、こいつは俺をベッドから引きずり落としやがったやつで、これは演技であって――
気づくと俺は、泣き止まない妹の頭を撫でていた。まあ仕方ない、泣いている女子を放っておくのは流石に気が引けるというか、べ、別にコイツの可愛さに屈したわけじゃないんだからね!
と、誰に言い訳するでもなく頭で考えていると、妹が顔を上げた。にやぁっと、そいつは笑っていて。
「お前はこういうのが好きなのだな。全くいつの時代も変わらんのう……」
と呟いた。
俺は敗北感を覚えながら最初の質問に戻る。
「そうだった、我が何者か、だったな」
俺は頷く。すると妹モドキは自信満々に立ち上がり、左手は胸へ、右手は腰につけ、声高に言い放つ。
「我は傾城の美女だ‼」
俺は傾城の美女を名乗る少女を見つめ、そっと立ち上がり眠るべくベッドに向かう。すると傾城の美女は走って回り込み、俺より先にベッドに座る。
「何故お前から聞いたというのに寝ようとするのだ」
答えがあまりにも馬鹿らしいからだよ。このつるぺったんすっとんとん。
「つるっぺった…すっと……っ! ほ、ほう…傾城の美女であるこの我を怒らせるとは……どうなっても知らんぞ……?」
その平坦な身体で何ができるっていうんだよがきんちょ。
「ふん、いくらでも言うがいいわ。幼女趣味の変態めが」
幼女趣味…俺が?
「おい、何だその嘲笑じみた笑い方は。ふん、強がったって無駄だ。お前の趣味はあそこを見たらわかるのだからな」
あそこ? おい、それは一体どこなんだ。
「決まっておるだろう、男子が春画を隠すのは――ここであろう?」
そう言いながら座っているベッドから降りてその下を弄り始める少女。おい! やめろ! そこには――
「やはりな」
少女が手に取ったのは、そう。エ□本である。●ロ本。そして、少女は慈悲もなくそのタイトルを読み上げていく。
「えーと何々? 『ヤメて! 隣に旦那がいるのにぃ♥ 人妻との禁断の行為』……ん? ま、まあ一つぐらい趣向が違うのがあってもおかしくはなかろう。次だ次……『先生ダメです! 男子生徒と先生との実践保健体育』…はてな、こんなはずでは……」
その後もエ□本のタイトルを読み上げていく。一体何のバツなんだこれは……!
そして全てのエ□本のタイトルを読み終わり、部屋には真っ赤な顔をした俺と納得しないような顔をした少女。
「何故だ…こいつが隠し持っていた春画は全部熟女モノ、幼女趣味には程遠い。なら何故我はこんな姿に……」
……少女の話を聞くに猫から人間の姿に変わるとき、近くにいた人の趣味嗜好に合った姿に変わるってことなのか?
「その通りだ。だから我がこんな姿になったのもお前が幼女趣味だからだと思っていたが…もしかして近くにもう一人人がいたのか?」
もしかして…こいつを引き抜いたときにこの猫アホっぽいなと思ったからそんな姿になった。とか……。と半分冗談で言ってみると少女は真顔でこちらを見てくる。お前のせいか…と呟く。
すると何を思ったかベッドに積み上げられた俺のコレクションを持って部屋を出ていく。
おい待て、それは洒落にならん――!
「お母さーん! お兄ちゃんがこんなに隠し持ってたー!」
ヤメローーーーーーーーーーーーーーーー!!!
俺の叫びも虚しく、このあと滅茶苦茶叱られた。
どうも、紳士です。
ギリギリ一週間以内に間に合った…かな? アウト?
まあそんなことは置いておきまして、今日はなんだかいつもより文字数が多いです。無心で書いてたら多くなってました。いつもこうだったら苦労しないんですけどね。
さて、四話になりましたが、まだ主人公と傾城の美女の双方名前が出てません。だって考えてないもん。誰かいい名前があったら教えてください。ついでに感想も書いてくれれば更新速度早まりますよ。きっと。
次も一週間後になるかなー、それともすごい早く投稿できるかも。
それでは。




